2002年11月28日   
第155回国会 衆議院 憲法調査会地方自治に関する調査小委員会  

案件:地方自治に関する件

参考人:志木市長 穂坂邦夫 氏   →意見陳述を見る

[1]質疑事項   [2]会議録抜粋   ★衆議院憲法調査会ホームページ 


[1] 質疑事項(10分)

1)地方自治体の財源について、地方交付税、補助金の在り方を改め、地方による自主課税を中心にすべきと考えるが、いかがか。

2)参考人は、地方公務員の在り方について、地方公務員は住民参加等を率先してリードすべきであるとの考えであると思うが、実際は、前例踏襲主義に陥ったり、行政と市民を対峙するものとして捉えることが多いように思われる。これまでの市政運営において、行政と市民の関係をめぐり、苦労した経験はあるか。

[2] 会議録抜粋

○中村(哲)小委員

 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 参考人におかれましては、非常に示唆に富んだ御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。ほとんど私が思うところと一致しているのかなという思いで聞かせていただ きました。

 その中で、本日は二点、さらに突っ込んでお聞きをしたいと思っております。一つは課税のあり方、もう一つは地方公務員のあり方でございます。

 まず、課税のあり方なんですが、先ほどから財源の話が続いておりますので、これは簡単にお話をさせていただきたいと思います。

 私が総務大臣にお話をさせていただく中で、今地方自治体の仕事の七割は国が法令でやり方を決めている、それだったら、大臣、その七割というものを早くほどいて、できる限り地方 に任せたらいいんじゃないか、そうして、それと同時に、財源を移譲したらいいんじゃないかという話を私はさせていただきました。

 これは恐らく、参考人がおっしゃっていた点と違わないだろうと思うんですね。まず権能を決める、つまり出る方を決めてから入る方を決める、財源を決めるということなんですが、これを 言うと、まず大臣は、景気が回復してからだ、今財源の移譲自体ができないから、景気が回復してからこれは検討するということを言っているんです。

 もう一方で、参考人の御意見で は、右肩下がりというふうに認識しているのですけれども、私はこんな、景気を回復してからこの七割の権限、縛っているところを検討するというのは遅いんじゃないかなと考えますが、 まずその点、いかがでしょうか。

○穂坂参考人

 さっき右肩下がりというふうに申し上げました。もちろん景気の低迷はありますが、実態的に、今の出生率がずっと続く限り、二〇〇六年ですか、そこからもう人口は減 っていきますね。

 うちなんかはベッドタウンですから、しかもぶわっと人口がふえたのが、今五十二、三の方ですか、あるいはもう六十歳の方もいますし、要するに少子高齢が進んでく る。そうしますと、納税義務者は当然減ってきます。ですから、社会構造自体が、景気、不景気はまた別としても、右肩下がりになってくる。

 今までは、私どものような自治体がどんどん職員をふやし、事業をふやしていたのが、あるいはこんなちっちゃくても課ごとに会社があるとか部ごとに会社があるとかという、そういう縦 割りの中でやってきました。それは右肩上がりでしたから、全部非効率性はそこに吸収をされた。しかし、今はそういう時代ではないというふうに考えています。

 特に、今地方が、節約して、あるいは工夫して、そういう財源を地方に使う、あるいはワークシェアに使う。景気が悪いのは、国だけじゃなくて、地方でできることはしたい、だからできる ように制度を整えてくれればありがたい、こういう意味で申し上げているというふうに理解をしていただければありがたい。

○中村(哲)小委員

 関連して、課税のあり方というものについてどのようにお考えになっているのかなということをお聞かせいただきたいわけです。

 基礎自治体がほとんどのことができるようになったと仮定します、今はそうではありませんけれども。そういったときに、地方税と交付金と補助金という三つ財源があるわけです。私た ちは補助金もできるだけなくさないといけないと思っているし、交付税の方も改革しないといけないと民主党は思っております。

 それはちょっと置いておいて、課税自主権を考えるときに、 今の交付税とか補助金というものは、あらかじめ国がまず取っておいて、それを分配するという構造ですから、そうではなく、これがほぼゼロという形にして、まず地方が課税をするという 形にする方が、住民が自分たちのお金で自分たちのことを決めていくということにつながっていくんじゃないかなと思います。

 ちょっと荒唐無稽な話かもしれませんけれども、まず国税がゼロであるということもイメージしてもらいながら、地方が地方税を、自分たちの町で上がる税金はこういうものがあるというこ とで地方税を決めていって、そして集めたお金を国に納めていくような形、極論としてはそういう形もあると思うんですね。

 そういった形で、国が税制ですべて税金の項目を決めていくのがいいのか、今のようなやり方がいいのか、それとも、こっちはできるだけ少なくして、地方の方が、基礎自治体の方が 税項目を挙げていくような条例のつくり方で課税をしていく方がいいのか、そのあたりについてはいかがお考えでしょうか。

○穂坂参考人

 やはり、ある程度基本的なことは国の責任でやってもらった方がいいというふうに私は思っています。地方にとって特殊なもの、基礎的自治体でもできるような分野、限 られていると思いますが、それは自由でもいいと思うんですが、やはり、本来的には国が税制についてはある程度決める、私はそれでいいというふうに思っているんです。

 これが、例えば二百人とか、基礎的自治体の中には、三百五十万から二百人ぐらいまでたくさんあるわけですから、それが課税権を持ってもなかなか使いこなせないというのもありま す。特に、所得等々に関すること、法人税等々に関すること、事業税もそうなんですが、査定権が地方の力じゃ余りないんですね。

 ですから、どうしても、国税で決まったものの付録品というか、そこを参考にして機械的に決めるというのがありますから、究極的には理論として私も理解できますが、いきなりというの はいかがなものかという感じがします。

○中村(哲)小委員

 極論で一つの例を挙げただけで、でも、そっちの方向に行くのがいいということで、押さえさせていただきます。  次に、地方公務員のあり方についてお聞かせいただきたいと思います。

 先ほど参考人、マックス・ウェーバーの例を挙げられて、とかく職員というのは前例主義に陥りやすいと。そして、基礎的自治体のあり方を論じられる中で、今後、地方公務員のあり方 も考える必要があるのではないかということをおっしゃいました。そしてさらに、先ほどから、有償ボランティア、行政パートナーのお話もされております。

 恐らく、参考人の頭のイメージというのは、行政職員というものは、ある意味、住民参加の先頭に立って皆さんを束ねていくというか、皆さんと情報共有を図っていくような、そういうイメ ージなんじゃないかなと思うんですね。

 地方自治体に行きますと、行政と市民が対峙するような意識の地方公務員が多い。とかくそういう形が多いわけなんですけれども、そのあたりのところ、地方公務員のあり方をどうす べきかということと、市長御自身が、市長になられてから、公務員の前例主義というところで苦労した点などございましたら、お聞かせいただきたいと思います。

○穂坂参考人

 私のイメージとすれば、国と基礎的自治体の権能は物すごい違う。ですから、基礎的自治体の経営は、これだけ身分制度に守られた地方公務員だけが地方の行政サ ービスをするという形を、私は変えるべきだと思っているんです。

 それは、どんどん税収が上がった右肩上がりの時代はよかったと思うんですが、戦後の動乱期みたいなときは必要だったと思うんですが、冒頭でも言ったように、少しずつ成熟してい るわけですから、地方の収入に合ったやり方は、今の公務員制度でしたら一人一人の人件費が高くて、結局どこをやめるかというと、行政サービスをやめる、低くする。低くすれば、コミ ュニティーに少しずつでもほころびが出てくる。

 そういうことを考えると、やはり地方が自由な経営をするようにしたい。そこに、今の現制度を変えるわけにいきませんので、行政パートナー等々を入れて、そっくり市の形を変えていこ うと、地方なりに。そのことによって、制度も後からついてくるんじゃないかな、そういう感じもしているんです。

○中村(哲)小委員

 時間が参りましたので、たくさんまだまだ聞きたいことがあったんですが、終わります。


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