▽バックナンバー一覧  ▽vol.19  「自公一体化と永住外国人地方参政権付与法案について」  「電話加入権について(その2)」




■今月のトピックス1

自公一体化と永住外国人地方参政権付与法案について

 長年にわたって議論され、国会に法案が提出されはじめて6年になる政治的テーマとして、「永住外国人に地方参政権を与えるかどうか」というテーマがあります。私たち民主党は、1998年結党時の基本政策に「定住外国人の地方参政権などを早期に実現する」と盛り込むなど、早くからこの問題に取り組んでまいりました。

【自公一体化の隠れ蓑にされた法案】
 11月16日(火)、衆院選挙法特別委員会で「永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案」(公明党案)の質疑が行われました。私も20分余の質問をしました。この法案は、かつて民主党と野党時代の公明党が共同提出した法案に若干の修正をした法案であり、私も内容面については、おおむね賛成しています。

 しかし、今回の法案についての本当のポイントは、その内容面ではなく提出や審議のなされ方という政局面にあります。私は、自衛隊のイラク派遣などの目をそらすために、公明党が法案提出をして自民党が採決なしの質疑のみを認めたという「茶番劇」だと評価しています。

 本来、議院内閣制の下では、与党(政権政党)は、政府として内閣提出をする場合や与党として議員提出をする場合にかかわらず、法案を提出する場合には、事前に与党内ですり合わせて合意をえることが求められます。しかし、この永住外国人に地方選挙権を与える内容の法案については、自民党と公明党が連立政権を組む際の合意文書に実現への約束があるにもかかわらず、自民党内の根強い反対により、与党で一致した対応を取れないでいるのです。

 自公連立政権ができて5年になります。私は、これまで自民党と公明党の一体化について指摘をし続けて参りました。今年夏の参議院選挙の結果についても、私は「民主党が自民党に勝ったからといって喜ぶのは浅はかだ。相手は「自公新党」化しているのだから、自公合わせた票数・議席数で勝敗を考えるべきだ」と民主党内で主張しています。

 ただ、自公の両党が実質的に一体化しているからといって、形式的にも新党となることは両党にはできません。それは、両党の支持者には、相手の政党に対する非常に強い拒絶感を持っている支持層がいらっしゃるからです。例えば、自民党の支持層の中には、公明党の大きな支持母体である(宗教法人)創価学会に拒絶感を持っている方が多くいらっしゃいます。公明党の支持層の中には、自衛隊のイラク派遣に見られるような小泉政権の方針は「平和を望む自分たちの気持ちに反する」という方がいらっしゃいます。両党が、選挙のときは実質的に一体化しているのにもかかわらず、新党として合併しないのは、形式的には別政党という形態が相反する支持層を抱える自公両党にとって都合が良いからだと私は分析しています。

 そういう意味で、この法案は、「自公一体化の隠れ蓑」にされた法案だと言えます。こういう自公両党の政局的行動は、主権者たる国民の皆様にとっては分かりにくいものであり、政治不信を加速するものであると思います。私は、「これからも、こういうゴマカシには抵抗し、国会が実質的に誠実に物事を議論できる場にするために取り組んでいかなければならない」と決意を新たにしています。                            

衆議院議員 中村てつじ




■今月のトピックス2

電話加入権について(その2)


 NTTは11月5日、固定電話を引く際の施設設置負担金を来年3月1日から半額の3万6000円に値下げすると発表しました。電話加入権とは、NTTが施設設置負担金を支払った人に与える固定電話を引く権利のことです。しかし今、電話加入権の相場はゼロに近づいています。近日中に日本テレコムやKDDIが電話加入権なしで基本料がNTTと同じ固定電話サービスに参入することと、政府審議会の答申でも施設設置負担金の廃止が容認されたことが原因です。

 同じ固定電話で他社では加入権なしになるのですから、競争上、NTTも電話加入権を廃止すると当初は予想されていました。しかし、NTTが半額の値下げに留めたのは、「詐欺商法をしてきた」と批判され、問題の責任を自分たちだけに押し付けられることに対する抵抗だと思います。

 実は、法人税法上、電話加入権は「無形固定資産」とされ、国が「財産権」としてお墨付きを与えてきました。電話加入権を扱う業界の圧力もあり、今日まで施設設置負担金の値下げは検討されるも実現せず、また、NTT側も独占の利益を享受できるために甘えてきたと言えます。これまでこの問題を放置してきた政府の責任は重大です。私は、11月4日の衆院総務委員会で説明を求めました。しかし、財務政務官は、民間事業者に責任を押しつける答弁に終始しました。説明をごまかし責任を認めず、政府要職にいる政治家たち。もう要らないと心底思いました。

衆議院議員 中村てつじ


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