▽バックナンバー一覧 ▽vol.12 「イラクへの自衛隊派遣 異常な状態で承認」 「ドミニカ共和国訪問」 |
■今月のトピックス1
イラクへの自衛隊派遣 異常な状態で承認
イラクへの自衛隊派遣について、国会での動きを報告します。
前例がない首相答弁の撤回。度重なる答弁の変更。たった2日間しか審議していないのですが、私たちが事実を解明しようと質問を続ければ続けるほど、どんどんぼろが出てきました。
それにもかかわらず、1月30日(金)18時、衆議院のイラク問題特別委員会で、採決の強行が行われました。委員長は、質疑の途中の段階では、「その件は、後刻、委員会で協議いたします。」と言っていました。それにもかかわらず、自民党の次席理事が質疑打ち切りの動議を提出し、委員長が、その動議を取り上げました。不信任案提出に値する委員会運営です。
ここまでなら、いつもの「強行採決」どおりです。しかし、今日の採決には、特別の問題がありました。私は、今、あきれています。
それは、採決を強行しようとする自民党議員が、民主党理事の抗議を阻止するために暴力をふるいケガを負わしたことです。(この自民党議員は、委員会の正式な委員でもありませんでした。また、委員会の理事には委員長に抗議をする権限があります。)
対照的に、今回、民主党の議員は、「採決の強行というような不測の事態においても、自席にとどまり、抗議の声を上げるにとどめよう」と一致して臨んでいました。これでは、どちらが与党でどちらが野党か分かりません。
私が衆議院議員になって3年半になりますが、この間、ますます自民党が余裕を無くしてきていると感じています。今回の派遣にしても、なぜそこまで急ぐ必要があるのかが、理解できません。民主党も、イラク復興支援については必要性を認めています。つまり、6月末と予定されているイラク人への主権返還を待ち、国連の関与の下での選挙監視団へ自衛隊を送ることならば、私たちも同意できるわけです。
度重なる答弁の撤回や変更。急いでいることしか伝わらず誠実に答えようとしない小泉内閣の姿勢は、自民党の中からも批判が出てきています。このような内閣に、実力部隊たる自衛隊の指揮を取らせること自体、非常に問題があると言わざるをえません。
与党側も、このような国会運営に対して謝罪をしながら、妥協案を示してきましたが、不十分であることを理由に民主党が断ると、即、職権で予算委員会・財務金融委員会を開きました。その後、31日未明に本会議が開かれ、与党だけで採決がされたということなのです。
この後、イラクへの自衛隊派遣を可能とする国会承認案件と補正予算案件は、参議院に移ります。衆議院採決での不正常な状態は、参議院にも引き継がれます。与党の側の真摯な対応が求められます(その後与党側の譲歩により、参議院は2日遅れで審議が始まりました)。
(2004年 2月1日 衆議院議員 中村てつじ)
■今月のトピックス2
ドミニカ共和国訪問
1月13日から18日まで、カリブ海の「ドミニカ共和国」を訪問していました。約47年前に行われた政府の移民政策によって移住してきた人たちにお会いするためでした。これは、超党派の議員連盟による訪問です。(ちなみにこういった費用は、他のどこから出るわけでもなく、議員個人の政治資金から出すことになります。だから取り組む議員が少ないのです。)
日本の九州ぐらいの広さの国を、ヘリコプターを使って回ってきました。石ばかりの土地。塩が吹いている土地。普通の土地だけれど、割り当てられた面積が約束よりもずっと少ない土地。
・・・そんなところばかりを見てきました。
現地の日本人の人たちの話は、非常に切実なものでした。自殺者もかつては出たドミニカ移民。日本での豊かな生活を捨て、「カリブの楽園」という触れ込みで応募し選抜されてやってきた人たちの苦労を感じた訪問でした。マイナーな問題かも知れないけれど、戦後の日本外交の不十分さが象徴的に現れています。これからも、取り組んでいかなくてはならないと強く思いました。
(2004年2月1日 中村てつじ)
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