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2005年3月15日 
第162回国会 衆議院 総務委員会
案件:放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(日本放送協会の平成十七年度の収支予算、事業計画及び資金計画)

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(32分) 「平成17年度NHK予算」   

 本日の総務委員会は、平成17年度のNHK予算案が議題でした。
 この日は、NHKの予算審議としては初めて生放送を行うということで、中村はその生放送の時間帯に25分間の質疑を行いました。

 中村は昨年9月、NHKの不祥事を審議した総務委員会の場で、当時の海老沢会長に対し、NHKが目に見える形で変わったことを示すためにも、責任を取って辞任してはどうかということを申し上げていました。
 海老沢会長は辞任されず、結果的に受信料の不払いが不払いを呼ぶという、中村自身が最も懸念していた展開となってしまいました。遅ればせながら海老沢会長が辞任された後も、不払いは増える一方であり、NHKに対する国民の信頼は、回復したとはとても言えない状況です。
 今後、どういった形で国民を説得し、NHKの信頼回復へつなげていくのかといった点について橋本新会長におたずねしました。
 
 新会長からは、昨年9月にとりまとめられた「NHKの改革の方針」に従って、着実に改革を進めていくという回答がありましたが、この回答は辞任された海老沢前会長の回答と全く同じであり、何ら新しい取り組みが加えられているものではありません。

 また、海老沢前会長の退職金がいくらになるのかといった点について問いただしたところ、その場ではきちんとした回答は出てきませんでした。

 更に、現在のNHKの経営陣のうち、会長・副会長以外は、海老沢前会長のもとで理事をされていた方がそのまま残っています。この点で旧体制を引きずっているとの批判があり、NHKが変わったということを再度、目に見える形で示すためにも、経営陣の一新についてどう考えているのかという点を会長に確認しました。橋本会長からは、自分なりの体制を考えてまいりたいという抽象的な回答しかありませんでした。

 中村は、NHKの応援団を自負しており、公共放送としてのNHKは、従来通り受信料制度で支えていくべきだと考えています。今回の質疑も、できるだけ国民の信頼を回復する一助になればという思いで臨んでいたのですが、案に相違して、NHKから返ってくる回答は、期待外れのものばかりでした。本当に残念でなりません。    

[2] 質疑項目

(1) 前会長辞任について

  ア 辞任の理由及び時期についてのNHK会長の認識
  イ 辞任の意味を視聴者に明確にする必要
  ウ 辞任を今後の業務改革に反映させていく必要
  エ 前会長の退職金額及び支給時期並びに平成17年度予算上の取扱い
  オ これまでに前会長の退職金として引き当てられた額
  カ 前会長の下で就任した理事の任期満了後の退任見込み

(2) 総務省及び中央省庁のテレビ設置台数並びに受信料の支払い状況

(3) 受信料不払い等が続いた場合における平成17年度予算欠損見込み

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[3] 会議録抜粋 

○中村(哲)委員

 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 昨年、二〇〇四年の九月九日、総務委員会の質疑において私は、当時の海老沢会長に対してこのような趣旨のことを最後に申し上げました。経営責任をとることにおいて一番大切なことは、視聴者の皆さんに対して御理解をいただくということです。そのためには目に見える方法が必要です。一つの方法は、海老沢会長以下経営陣全員がおやめになって、目に見える形で経営責任をとる姿勢をお示しいただくことです。もう一つの方法は、見える形で徹底的にうみを出し切って新しい形をつくることです。

 しかし、残念ながら、NHKの経営陣の皆さんが本気でうみを出し切ってNHKの新しい姿勢を見せようとする努力は不十分だと感じました。海老沢会長におかれましても、最後の会社人生、厳しい判断をしながら自分の歩む道を決めていただくことをお願い申し上げます、こういった苦しいことをさきの質疑の最後に申し上げたわけです。その後今日までの半年間というのは、受信料の不払いが不払いを呼び、私がその質疑で懸念を申し上げたとおりになってしまいました。

 受信料制度に支えられる公共放送としてのNHK、私はこのNHKが大好きです。「NHKスペシャル」も非常にいい番組だと思います。道路公団の巨大債務の問題や中国の都市と農村の現状についての番組は、公共放送であるNHKでしかつくれない、そんないい番組であったと思っております。

 しかし、このまま受信料の不払いが拡大していけば、公共放送としてのNHKは維持できなくなります。国営化か民営化かどちらかしかない、そんな状況に追い込まれます。先ほどのお話にもありましたように、受信料の強制徴収という手段もないわけではありませんが、今の国民の状況であったら、これは認めていただけないと思います。民主党のほかの議員に伺っても、もうNHKは国営化か民営化だろう、そういう意見が強いです。私のように、受信料制度を維持できるように信頼回復の努力をすべきだという立場は、残念ながら我が党の中でも少数派です。

 私のきょうの質問も、今まで不払いをされていた視聴者の皆様がたとえ少しでもお考えを変えていただいて受信料をお支払いしていただけるような質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、まず橋本会長にお尋ねいたします。

 海老沢会長の辞任について、橋本会長としては、前会長はどのような理由でおやめになったとお考えでしょうか。経営責任をおとりになったということでしょうか。その場合、何に対する経営責任をおとりになったとお考えでしょうか。

○橋本参考人

 受信料の支払い拒否あるいは保留の件数が大幅にふえまして、十七年度予算において受信料収入が前の年度を下回るという予算編成を初めて行わなければならないという、この点につきまして経営責任をとられたものというふうに私は理解しております。

○中村(哲)委員

 今のお話、未払い件数がふえて予算に対する影響が出てきたからおやめになった、そういったお考えですか。それだったら、その奥にある未払いの理由は何なのか、そこについての反省などがどのように認識されているのかということも問題なわけです。

 まず、それであるのならば、未払いがこれだけふえてきたというのであれば、辞任の時期について、現会長として、海老沢前会長がおやめになった時期は遅きに失したとお考えになっているのでしょうか。もしそうであるのならば、いつごろやめるべきであったとお考えになっているでしょうか。

○橋本参考人

 やはりそういうふうな予算編成、受信料収入が前年度を下回るという予算編成を行うということ、この点については、やはり不祥事以降の経営対応、こういうふうな対応の仕方に問題があった、その結果、視聴者からの不払い、保留がふえたというふうなことでございます。

 私は、やはりそういうふうな中で前会長が、十七年度の予算、計画を総務大臣に提出されました一月二十五日にやめられた、こういうところを一つの総合的な判断としてやめられたものというふうに理解しております。

○中村(哲)委員

 橋本会長の説明は、目に見える形でNHKが変わったということを示せていないんですよ。

 日経ビジネスの昨年十月二十五日の「敗軍の将、兵を語る」で、海老沢会長はこのようにおっしゃっております。「辞任する考えはありません。残り一年半の任期を全うしたいと思っています。無責任に放り出して、敵前逃亡みたいなことはしたくありません。」さらに、「安易に辞任することなく、自分の力でもう一度NHKを立て直す。それが私なりの責任の取り方です。」このように十月二十五日号の時点でははっきりおっしゃっているわけです。

 そこがどういうふうになって一月の二十五日の辞任に変わったのか、それを現会長としてどういうふうに認識しているのか、その点が重要なんです。そこではっきりしたメッセージを視聴者の皆さんにお伝えしていただかなければ、NHKのオーナーでありお客様である視聴者の皆さんは納得されないんです。明確なメッセージをお願いいたします。

○橋本参考人

 やはり前会長が辞任されたということは大変重く受けとめなければならないというふうに思っています。

 私は、この十七年度予算が経営委員会の議決をいただきまして総務大臣に提出された、これを機に前会長がやめられた、この重みを受けまして、さらに、これを、NHK改革のいわゆる原点に戻るというふうなことで視聴者の方々に改革を伝える、そういう気持ちでこれから改革、業務改善に向かってまいりたいというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 橋本会長、きょうずっと御説明いただいている改革の方針、これは九月七日のこの報告書、NHKが出された報告書に書いてある以上のものが何かありますか。ないじゃないですか。九月七日にお示しされた方針できょうも答弁なさっているわけですよ。だけれども、この半年間、未払いがどんどんふえてきているわけです。あなたがどういう認識で、今回の辞任のあり方、今後の人事のあり方、していくんだということをお示ししていただかなければ、これも浸透しないわけですよ。そこがわかっていないんじゃないですかということを申し上げているんです。それについて、明確な答弁がなぜできないんですか。

 今後、海老沢会長の辞任をどのような形で生かしていかれようとしているのか、具体的にお答えください。

○橋本参考人

 この十七年度予算の中には、やはり、昨年夏以来の不祥事あるいはその後取り組むべき重要な改革案が盛り込まれてまいります。これを、やはり、前会長辞任という事態を受けまして、視聴者の目線からしっかりと実行していくことが私の最大の役目というふうに考えまして、このためには、役職員一同、NHKが一丸となって改革に取り組む必要があるということで、組織内の風通しもよくし、あるいは視聴者の方々の御意見等も真摯に伺いながら、具体的な改革案に取り組もうというふうな所存でございます。

○中村(哲)委員

 今の御答弁で視聴者の皆様が納得されるというふうにお思いになっているのであれば、それは一つの認識だと思います。

 海老沢前会長の退職金について、その額と支払い時期についてお答えください。

○橋本参考人

 前会長の退職金につきましては、これは経営委員会の決定事項というふうなことでございまして、我々としては、やはり経営委員会の御意向を尊重しながら、この意向を十分踏まえながら、扱いについて今後慎重に対応してまいりたいというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 ということは、未定であるということで理解させていただいてよろしいですね。それだったら、平成十七年度予算には退職金の額は入っていないと理解してよろしいですね。

○橋本参考人

 現在のところ未定というふうに伺っております。

 それから、経費につきましては、現在、前会長の分ということで切り出しては計上されていません。これは通例、役員のそういうふうな退職事例があった場合には人件費枠等の中で処理されるということで処理しております。

○中村(哲)委員

 つまり、人件費等の中には海老沢さんの退職金は含まれているという御答弁ですよね。具体的に幾らということは含まれていないけれども、全部の人件費の中には海老沢会長の退職金は含まれている、そういった御答弁で理解させていただいてよろしいですね。

○和崎参考人

 今の先生の御質問にお答えいたします。

 退職金というのは予算の中には入っております。ただ、額とかそういうことについては計算はしておりません。

○中村(哲)委員

 予算の中には入っているんだけれども額等については積算していないというのは、人件費としてそんなのがあり得るんですか。どんぶり勘定で、これぐらいことし人件費がかかりますということが予算書に載っている、そういうふうに考えてよろしいですか。今の答弁は信じられませんよ。

○和崎参考人

 先生のおっしゃった人件費の中には、役職員の退職費用というものは積んでおりますということです。ただ、それが幾らかということについては、例えば、これからの、会長だけではなくていろいろな役員の退任もあるわけですから、そういうことを含めて積んでおりますということと額を決定しているということとは違うということを御説明させていただきます。

○中村(哲)委員

 全く今の答弁はわからないと思うんです、聞いている人は。視聴者の皆さんが今の御答弁で理解されているというふうにお考えですか。

 それでは、役職員全体の退職金は幾ら積んであるんですか。

○和崎参考人

 役職員の退職金というものは毎年積んではあるわけですけれども、それをいつ幾らという形にはなっていないということだけで、積んでいないということを言っておるわけじゃありません。積んでおって、それを人件費の予算の中に含んでおるということでございます。

○中村(哲)委員

 
それでは、海老沢会長の役職員としての今まで積算して積んできた額は幾らになるんですか。

○和崎参考人

 今先生の御指摘の会長の退職金ですね、これは経営委員会が決めるわけで、我々の方から幾らという形で今積んでいないわけです。

○中村(哲)委員

 
私は退職金の額を聞いているわけじゃないんですよ。あなたが引き当てを積んでいますと言ってきたから、それでは、海老沢さんの退職金分の引き当てとして今まで積んできた分があるんでしょう、そこは幾らなんですかということを聞いているんですよ。その答弁逃れ、経営委員会が退職金を決めるんです、そんな逃れるような言い方をしちゃだめじゃないですか。積んできた額は幾らなんですか。これは法令上決まっているでしょう。幾らなんですか。

○実川委員長

 和崎日本放送協会理事、わかりやすく説明してください。

○和崎参考人

 済みません。大変申しわけございません。今調べてあれいたしますが、正確な数字ということでございますので、今手元にございませんので、大変申しわけございません。

○中村(哲)委員

 私はこの質疑の事前通告を金曜日にやっているんですよ。普通なら月曜日の夕方にやる、しかし、そんなことじゃ十分に調べる時間がないかもしれないから、金曜日、それも原稿を全部打ち出して渡しているんですよ。そんなこと、事前通告ではほとんどない形ですよ。充実した質疑をするためにそこまでやっているんです。なのにデータがないというのはどういうことですか。水かけ論になりますから次に行きますけれども、これで視聴者の皆さんの理解が得られると思ったら大間違いです。

 前回の質問の最後にも申し述べましたように、私は、経営陣の皆様がやめればそれで済むという問題ではないと思っています。しかし、NHKのオーナーである視聴者の皆さんの御理解をいただくためには、目に見える形で経営責任を示す必要があるということを繰り返し申し上げているわけでございます。残念ながら、この間の不払いの件数の増加というのは、今までのNHKの経営陣の皆様がお示しなさってきた、そういった策というのが視聴者の皆様の御理解をいただけなかったことのあらわれであると言うしかありません。

 私たち政治家がNHKの経営陣の人事についてやめるべきやめないべきと申し上げることは、政治介入になりかねませんから、不適切であると思います。そのため、あくまで確認のレベルにとどめて質問をさせていただきます。

 海老沢会長のもとで理事をなさっていた方々が今日まで経営陣に残っていらっしゃいます。四月二十四日で任期が切れるということですが、この方々について今後どうなさるおつもりでしょうか。

○橋本参考人

 現在、最重要課題と考えていますのは、やはりこの改革施策が、どれもゆるがせにできない改革施策が盛り込まれた十七年度の予算を着実に実行してまいることが大事だと思っています。そのために、私のもとでこれを着実に実行できる体制、新体制が必要だと思っておりますし、慎重に検討してまいりたいと思います。

○中村(哲)委員

 新体制という意味がよくわかりません。一新されるということでしょうか。

○橋本参考人

 前回、経営委員長から、やはりこの新体制を検討するに当たっては、人心一新、刷新を求めるという御意向をいただいておりますし、私としてはその意向も尊重しながら、しかし、私として改革実行できる体制を、私なりの体制を考えてまいりたいというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 私は、事前に党の会議等ではすべて入れかえるということをお聞きしていたんですけれども、かなり後退したような印象を受けます。

 私自身は、もしかえるのであれば、質疑の前に新しいメンバーの顔を見せていただいて、こうかわるとはっきりわかる、この顔ぶれなんですと目に見えた方が視聴者の皆さんの御理解を得られると思いますよということは、二月の頭の方では申し上げておりました。それはあくまでNHKの御判断ですけれども、そうされる方が視聴者の皆さんにとっては理解がしやすいですよという趣旨で申し上げたわけでございます。

 しかし、今のような御答弁ですから、果たしてきょうの質疑をお聞きになって視聴者の皆さんがどういうふうにお考えになられるか、それは私は少し疑問だなと感じておるところでございます。

 先ほどの引当金の金額については、午後の民主党の大出委員の質問のときに答えていただくようにお願いしたいのですが、委員長、御判断をいただきたいと思います。

○実川委員長

 ただいまの要求につきましては、NHKにおいて適切に対処を願います。

○中村(哲)委員

 非常に残念な答弁が続いておるように感じておりますが、党の方で議論になったことを少しお聞きしたいと思います。

 総務省には、今何台のテレビ受像機がありますか。また、中央省庁全体についてはいかがでしょうか。

○山本副大臣

 総務省本省におきまして、二百三十六台のテレビが設置をされております。各省を合わせますと、全体で四千四十一台のテレビが設置をされております。

○中村(哲)委員

 その二百三十六台、中央省庁全体で四千四十一台という数の分だけ、受信料はお支払いになっているということでよろしいですね。

○山本副大臣

 総務省本省におきましては、受信料は適正に支払っております。その額は、二百三十六台で平成十六年度五百十四万五千八十円支払っております。

○中村(哲)委員

 霞が関全体ではわからないけれどもということですね。

○山本副大臣

 総務省が直接聞くわけにいきませんけれども、内々に聞いたところによると、当方と同じように支払っておるというふうに聞いております。

○中村(哲)委員

 政府が受信料を払っていないと言ったら国民の皆さんにお支払いくださいと言うこともできませんから、きちんと払っているということで確認をさせていただいたと思っております。

 さて、受信料の未払いの問題なんですけれども、最後にお聞かせをいただきます。

 野田委員の質問にありましたように、今現在、五十六万件の未払いが二月末までにある、未払い見込みが七十万件ということですけれども、口座振り込みの解約の件数というのは、今、実は十六年度一月末で五十六・六万件に上っている。

○実川委員長

 
時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

○中村(哲)委員

 はい。例年に比べると四十八万件もふえている。それを足すと現時点で七十万件ぐらいなんです。

 最後にお聞きします。平成十七年度予算では、支払い決算見込みでは三千六百七十二万件から二十万件増で予算を組まれております。しかし、最悪の場合ではどれだけの件数減で予算が回っていく、そのようにお考えでしょうか。

○和崎参考人

 七十万件という三月末の数字については、これが一銭も取り返せないとすると四十億ぐらいの影響が、マイナスが出てまいります。これについては十七年度、全力で取り返したいと思っておりますが、万一そういう状況に至らない非常に厳しい状況になれば、経費節減という形でやはり対応せざるを得ないということなので、十七年度の中の執行管理を厳しくやりたいというぐあいに考えております。

○中村(哲)委員

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。



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