2004年11月4日 第161回国会 衆議院 総務委員会 |
案件:情報通信及び電波に関する件他 |
[1] 質疑内容(41分) 「電話加入権問題等について」
今国会から情報通信担当の総括副大臣を拝命しましたので、情報通信分野における災害対応と、先般話題になっている電話加入権の話を取り上げました。
新潟の中越地震や台風等、最近災害が多発しています。電話回線も大きな被害を受け、現在復旧作業が進んでいるとのことでしたが、その復旧の費用はどのように賄われているのか総務省に確認しました。総務省は、基本的には事業者(NTT東西)が負担することになるが、接続料として回線利用者にも応分の負担をしてもらうこととなるという回答でした。
また、被災者の情報不足を解消するために、期間限定で電波の利用を特別に許可し、地域(集落)限定のミニ放送局を開局し、地域に密着した情報をラジオで提供したらどうかという提案をしました。総務省の回答は、要望があれば対応しており、実際に長岡市等では地域でラジオ放送を行っているとのことでした。しかし、放送機材が簡単に用意できるはずはないのですから、例えば国等が地域に提供する支援物資の中に、そうした機材を含めないとなかなか利用者は現れないと思われます。
電話加入権については、今後市場の相場が0に近づいていくものと予想されます。(メールマガジン「国会からの手紙」第211号・第212号参照)その結果予想される混乱を最小限に止めるために、政府に求められる対応の一つが税制改正です。
この電話加入権は、現在(法人税法上)非減価償却の無形固定資産とみなされています。これが、実態として無価値になるということは、単純に考えれば全国6000万回線×7万2000円≒約4兆円相当の資産が0になるということです。それだけでも大変なことですが、企業がこの無価値の資産を会計上適切に処理するためには、減価償却を認める必要があります。そのためには税法を改正する必要があるということです。
今すぐにでも税制改正に手をつけるべきと考えるのですが、政府の回答は、先ずはNTT東西が、電話加入権の値決めをしないと、財務省が先には動けない(つまり次年度以降に先送り)というものでした。形式にこだわる財務省の判断で、困るのは経済界だと思います。
(1) 災害への対応について
ア 断線したNTT回線の復旧費用の負担者
イ NTT回線を借りて事業を行う電気通信事業者の回線復旧費用負担の在り方
ウ 小規模放送設備(ミニFM局等)の利用促進の必要
(2) 電話加入権について
ア 現在の取引状況及び市場価値についての大臣認識
イ 現在の税法上の扱い(無形固定資産)についての財務省見解
ウ 情報通信審議会答申(平成16年10月)を踏まえた税法上の扱いの見直しの必要
▲up
○中村(哲)委員
民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
民主党の情報通信担当をしておりますので、その観点から、一に災害の問題、二に電話加入権の問題、三に光ファイバーの開放ルールの問題、四に電波の割り当ての問題の順に質問をさせていただきたいと思います。
まず第一に、災害の関係の問題であります。
災害がこの秋もたくさん起こってしまいましたけれども、その中で、被災地には、電話線が切れたというような事態がたくさんあると思います。こういった切れた電話線を復旧する費用はどのような形で今賄われているのでしょうか。
○山本副大臣
お答え申し上げます。
委員の御指摘は、今回各所で起きた災害においてNTTの電話の回線が切れた、その復旧の費用はどこから出ているのかという御質問だろうというふうに思っております。
例えば、今回の新潟県の中越地震におきましては、NTT東日本において、伝送路の断線によりまして、県内の三地域、小国町、越路町、山古志村、四千四百五十の加入電話回線が一時不通となりました。今現在、復旧作業が進んでまいりまして、山古志村の約千二百回線を除きまして、すべて復旧しておるところでございます。
御承知のように、NTT東日本におけるこれらの電話回線等については、同社みずからがもともと維持管理をしている電気通信設備でございまして、維持管理につきましても同社が責任を持って行うものだというふうに思っております。したがいまして、一義的には、復旧も同社の負担によるものだというふうに私どもは思っております。
○中村(哲)委員
NTTの設備だからNTTの責任で復旧をするのは当然だ、そういう御答弁であったと思います。
それならば、これを借りて事業をしているほかの通信事業者がどのような形で負担しているのか、そういった疑問がわいてくるわけでございます。いわゆる接続料には、そういった復旧のコストというのは含まれているのでしょうか。
○山本副大臣
現行の制度上は、接続料は、第一種指定電気通信設備接続会計規則及び接続料規則に従いまして、基本的には、実際に要した費用に基づいて原価が算定されております。
したがいまして、災害等の復旧に要した費用についても、接続料に係る費用に含まれるものだというふうに思っております。
したがいまして、今回のような災害に係る費用につきましても、NTT東西以外の事業者も、接続料の支払いを通じて応分の負担をしていただくということになっておると思っております。
○中村(哲)委員
そこについては、後日また議論をしなくてはいけないかもしれません。
関係してではないんですけれども、NGOの人たちといろいろ話をしていて、ミニFM局をもっと利用してもらったらどうなんだろうというようなお話を伺っておりました。
私も、ちょっとミニFM局というのはどういうものなのか余り認識をしておらなかったので、聞きましたところ、微弱な電波を流して、許可をとらない範囲でも、放送局で電波を流すとコミュニティー単位で情報が共有できるようになる、そういったことを現地に入ってよく感じるんだ、そういったことはなかなかまた知られていないんじゃないかというお話を聞きました。
そこで、こういった小規模な放送設備の利用を促進してコミュニティーを維持する政策ということが災害時に必要だと考えるんですが、いかがでしょうか。
○山本副大臣
今回の、例えば新潟県中越地震におきましても、今主流のいわゆる情報伝達手段というのが、停電であったり、そしてまた中継局の予備バッテリーの電力容量不足等によって、さまざまな手段が非常に不便を来して、被災者の皆さん方に御迷惑をかけている。そうした中で、やはり我々がもともと一番使い勝手のいいと言ったらおかしいんですけれども、原始的という言葉は余り使いたくはありませんけれども、やはりラジオという設備は、こういったケースにおいては一番皆さん方が便宜を供される手段だろうというふうに私どもは思っておりまして、既に阪神・淡路大災害のときに、このような制度を設けて、災害対策用FM局というものを認めるようにいたしております。
この災害対策用FM局というのは、災害時における臨時の放送局、まさにさっき先生御指摘になられましたように、コミュニティーの、限られた地域の連絡、伝達手段として最も効用があるんではないかということから、阪神・淡路の災害の折からそのような制度をつくっております。
○中村(哲)委員
システムとして、制度はあるということは理解できるんです。
次に問題になってくるのは、補給物資にそういった放送機材も含めたらどうかというような提案があったわけですね。つまり、食料とか衣服とかの補給物資の中に、そういった放送機材、市場価格でいうと三、四万らしいんですけれども、簡単なそういったものを入れると、半径百メーターぐらいの地域では、集落ごとにラジオが聞けるようになる、コミュニティーが維持できるようになる、そういった主張だったんですね。
先ほどの河合委員の質問のときの御答弁で、集落ごとにデジタルで防災無線を飛ばすというようなお話がありました。その情報を、今度はコミュニティーで、ミニFM局で流していく、そういったやり方が組み合わせとしては考えられると思うのですね。そういったことを推進していく必要があるのではないかと考えているんですが、いかがでしょうか。
○山本副大臣
今、災害の緊急の物資の中にそういった設備を一緒にされたらいかがかというお話があったわけでございますが、今回、私も驚いた一つの事例として、この新潟の地震におきまして、いわゆる臨時災害FM局開設、例えば長岡市でしたら、震災があったのは十月二十三日、十月二十五日に申請がありまして、十月二十七日にはもう開局をいたしております。それから、十日町市なんかも、やはり二十七日に申請がありまして、二十九日にもう既に開局いたしております。
では、その機材はどこにあったんですかというと、近くの隣の県にあって、すぐ搬送できたということで立ち上げが非常に早かったということでございます。
補給物資の中に入れてというお話もございましたけれども、常日ごろ、やはりそういうものに対する備えだけは必要だというふうに思っておりますけれども、たまたま今回の事例でも、早期に立ち上げることができたということでございます。
○中村(哲)委員
今、山本副大臣がおっしゃったのは、少し規模の大きな放送局の話じゃないかと思うのですね。私が申し上げているのは、もっとコミュニティーごとにつくるような放送局の話でありまして、そういうところをぜひ今後は検討していただきたいと思っております。
それでは、第二番目の電話の加入権の問題に入らせていただきたいと思います。これは、十月十九日の予算委員会で津川祥吾委員が麻生大臣にお聞きをさせていただいたテーマのいわば続きであります。
電話の加入権がなくなるというふうによくテレビでも流されていますし、新聞にも載っている、雑誌にも載っている。ふざけるな、そういった声がよく載っているわけでございます。私もよく調べてみたんですけれども、施設設置負担金というNTTが最初電話に加入するときにかけている料金と加入権というのは概念的には別になる。そして、調べていくと、加入権相場がどんどん下がってきている。特にこの一カ月、二カ月で大幅な下落をしている。
私は、状態としては、この年末年始にかけて加入権相場がもうゼロに張りついていくんじゃないか、そのように分析しているんですね。現実に、今加入権を売ろうと思っても、買ってくれる業者はもうほとんどなくなってきています。買う業者も、例えば三千円で買います、しかしそこから二千円プラス八百円の手数料は省かせてもらいます、そうしたら、もうほとんど手取りはないわけですね。実際、売る側としてみたら、ほとんど加入権の価値はなくなってきている。
何が原因かというと、それはよく言われていることですけれども、ことしの十二月から日本テレコム、ソフトバンクが参入する、来年の二月からはKDDIが参入する、基本料金のサービスが施設設置負担金なしで始まるからなんですよね。そういうことを考えたら、加入権相場はゼロに張りついていく。現実的にもう売る方はゼロですから、市場価格がゼロになっていくというふうに認識すべきだと思うのですが、政府としてはどのように把握されているでしょうか。
○麻生国務大臣
今御指摘がありましたように、これは電話の加入権というものと、昔、電話の銅線が敷設されていなかった時代に、これを早く進めていくための施設設置負担金というものは、基本的に本来は別物なんですが、設置負担金を払うとくっついてくるという話だったんです。
一つは今言われました点もありましょうが、もう一つは、携帯等々の発達によって、施設設置負担金というものなしで、マンションに移ったらもういきなり携帯電話しか使わない、だから、設置負担金をつけて払ってやる人はいないということになってきたというのが一つなんだと思うのです。
今、市場価格でいくと、施設設置負担金を払ってやろうとすると、公の場で売買されておりますのをマーケットから買おうとすると、大体二万円前後のものを払って買うというのが現実なんだろうと思うのですね。
それで、加入権の方は加入権の方で、今八百幾らだったかな、覚えていませんので、ちょっと正確な数字じゃありませんけれども、そのほかに今いろいろなのがあるんですが、簡単に言えば、ライトというのが出てきて、月々六百幾ら払えばもうずっといいですよということになりますと、表向き七万二千円で買って、七万二千円を六百幾らで割りますと二十年ぐらいになろうと思いますので、二十年ぐらい使う予定だったら月々払うよりはそっちの方がええという割り算もできますでしょうし、マーケットで買いますと、市場価格で売買一万円だ、二万円だということになりますと、もう少し安くて二年ぐらいのところでいけるということになりますので、マーケット自体の動きがいろいろあることは御指摘のとおりだと思うのです。
私どもは、この点につきましては、今いろいろ話題が出ておりますので、この意義が失われてきておるのではないかということで、少なくとも、NTT東西も施設設置負担金見直しの意向を有しているのは事実でありますので、電話加入権というものにつきましては、これはいろいろ今言われたように新しいサービスが入ってきますので、市場価格で変動するのは、これはある程度やむを得ぬ、基本的にそう思っています。これは、幾ら固定したって、株と同じで、額面は五百円だけれども、何とか株は百何十円になりました、百円切りましたということもありますから、それはやむを得ぬのだと思っておるのです。
ただ、今後どうなるかという予想につきましては、ちょっとうかつなことをなかなか言える立場にありませんので、無価値と言えるんじゃないかと言われれば、無価値ですとも言えませんし、そういった立場であります。
今、五千円とか三千円というお話がありましたけれども、通常五千円ぐらいで買い取りと聞いておりますので、中をとって二万円の大体一万円ちょっとぐらい、平均が大体そんなところかなと思っておりますので、一応の価格が成立しているといえば成立しているんだというように理解をいたしております。
○中村(哲)委員
九月に、電話加入権がなくなる、正確に言うと施設設置負担金がなくなるというような報道がありまして、それでもうがくがくがくとこの数カ月、二カ月ぐらいで相場が落ちてしまっているわけですよ。
将来的に何が向こうに見えるか。ドライカッパーを利用した日本テレコムやKDDIの新サービスがあるわけですよ。それは、施設設置負担金、加入権なしで新しく電話を引けるんです。だから、新しく電話を引きたい人は日本テレコムとかKDDIに頼むことになるわけですよ。
そうすると、今持っている、電話を引いている人も、日本テレコムやKDDIに切りかえたら加入権は浮くわけですね。だから、浮いた加入権は市場に出すじゃないですか。これは供給がふえるということです。需要の側はどうか。先ほど申しましたように、日本テレコムやKDDIに入れば初期費用がかからないわけですから、需要がほとんどなくなるわけです。供給はふえて需要はほとんどなくなる。だから、市場的には、構造的な理解をすれば、構造的にこの加入権の相場は限りなくゼロに近づいていく。これは火を見るより明らかだということなんです。
だから、今大臣、相場だから変動はあるとおっしゃいましたけれども、この構造的なファクターを考慮したら、ゼロに張りついていくというふうに今から認識せざるを得ないんじゃないですかということを伺っているわけです。いかがでしょうか。
○麻生国務大臣
今の現象面だけ見れば、そうだと言われる点に関しては否定するつもりはありません。ありませんが、私は、限りなくゼロに近づきますなんてことを言える立場にもないということも御理解いただければと思います。
○中村(哲)委員
構造的なファクターでどうであるか分析をしないといけないということなんですよ。
これは皆さん余り御存じないと思うのですけれども、ドライカッパーの開放ということが基本料金のサービスにつながるということを考えていた人は、ほとんどいなかったと思うのですね。二〇〇〇年の十二月に開放された、それはいわゆるADSLを開放するためのドライカッパーの開放だった。これは、基本料のサービスに参入するということは想定されていなかったと思うのですよ。だから、皆さん余り御理解されていない部分があると思うのですけれども、こういう加入権の相場になるということを想定していなかった責任も政府にあると私は思うのです。
その観点から、続けて質問させていただきたいと思います。
この加入権をいつまで無形固定資産の扱いをしていくのかということにつながっていくわけです。加入権相場がもうほとんどゼロに近づいていっている。今まで、この加入権というものは財産権として非常に価値がある、だから固定資産として扱う、そういった考え方だったんだと思います。
関連してですけれども、財務省からこの点について御答弁いただきたいと思います。
○倉田大臣政務官
現在、法人税法上、この電話加入権につきましては、一般の機械のように、時間が経過するとともに物理的に減耗する、こういう性質のものではないということが第一点。もう一点は、譲渡性がある。こんなことから、値段がつく、時価というものが出てくる。そういう観点から、おっしゃるような非減価償却無形固定資産、こんなぐあいにしてまいったわけでございます。
十月十九日に、情報通信審議会におきまして施設負担金のあり方について答申が出されました。しかしながら、答申が出されはしましたけれども、具体的にその答申を受けてどのようにするかということは、電気通信事業者、つまりNTT東日本と西日本が、実際にその負担金を、委員がおっしゃるような、ほかの会社のことも考えて、競争的な立場から、経営判断として具体的にどのように廃止していくのかしていかないのか、こういう問題がございます。具体的にその通信事業者がどうするということが決まっていない段階で、法的な税法上の扱いを今どうするかということは、私どもとしては言えない立場にございます。
○中村(哲)委員
それだったら、今後も無形固定資産の扱いをしていくということでいいんですか。そういう御答弁ですね。
○倉田大臣政務官
そのように申し上げているわけでございませんで、電気通信事業者が例えば廃止した場合にはどうなるか。電話加入権の性格が変わってまいりますので、法的な税法上の扱いも変えていく必要が出てくる、このように考えます。
○中村(哲)委員
そうおっしゃいますけれども、日本テレコムやKDDIは加入権なしでやるんですよ。だから、ほぼ加入権ゼロということと一緒じゃないですか。日本テレコム、KDDIがやるサービスは、基本料金でいえばNTTがやるサービスと同一料金ですよ。そして、加入権なしでサービスするということは、KDDIや日本テレコムのサービスは、加入権ゼロでやるのと一緒なんですよ。その御認識はあるんですか。その認識があれば、いわばその電気通信事業者が加入権をゼロにしているのと同じことじゃないですか。
だから、何でNTTだけ別なんですか。KDDI、日本テレコムは加入権ゼロ、価格ゼロのサービスをやるわけですよ。今の御答弁だったら、KDDIや日本テレコムにその基準を当てはめたら、もうすぐに税制改正しないといけないということになるわけですよ。何でNTTだけ別なのか。その辺の合理的な説明がないじゃないですか。
○倉田大臣政務官
お答えいたします。
確かに答申も出ております。しかしながら、先ほど申しましたように、NTT東日本、西日本、こういった具体的な事業者がその答申の方向で廃止するか否か、これは独自の判断があるわけでございます。その上で税法上どうするか、こういうことになります。
それで、そういう方向になってきた場合には、一般論としては、非減価償却固定資産というわけにいかない、減価償却を伴う固定資産になるであろう、一般論としてはそういうことが申し上げられると思います。
○中村(哲)委員
私が聞いている話では、NTTは、施設設置負担金はゼロにはしませんよ、少し安くはするでしょうけれども。そうすると、来年どういうことが起こるのか。NTTは施設設置負担金を残していく、しかしKDDIや日本テレコムは加入権料ゼロのサービスを行う。だから、実質的に、法人税で大事になってくる固定資産扱いのもの、今度この処分価格ということを考えた場合、つまり、企業が倒産した場合とか営業譲渡する場合とか、その加入権を処分する査定をしないといけないわけですよね。そのときは、NTTのいわゆる加入権というのはゼロ査定するしかないんですよ。ゼロ査定しないような理由はありますか。
まず、それをお聞きしましょう。来年になってKDDIや日本テレコムは加入権ゼロのサービスを行う。そして、NTTの加入権を持っている人、それについて処分価格をゼロと査定しない理由はあるのかどうか。そのことについて、倉田政務官、お答えください。
○倉田大臣政務官
ゼロとしないということを言っているわけではございません。加入権の実態を見ながら、おっしゃるようなKDDI等の出現によりまして今後どのような実態を持っていくのか、これに沿って税法上変える必要性が出てくるということもわかってはおります。
○中村(哲)委員
市場価格はほぼゼロに近づいていく。しかし、施設設置負担金は恐らく残るでしょう。そうしたときに、税制改正をその時点ではしないということでいいんですね。来年は税制改正しないということでいいんですね。
○倉田大臣政務官
委員は、NTT両社がこれを廃止しないという前提に立って物を言っていらっしゃるわけですね。
しかし、これはそれら事業者の独自の判断によって行われることでございますから、それによって実態がどう変わっていくかということも踏まえて、全体の実態、それとKDDI云々、そういった実態を踏まえた上で税法上の取り扱いは変えていくと現段階では申し上げる以外にないと思います。
○中村(哲)委員
全く倉田政務官はわかっていらっしゃらないと思いますよ。法人税法には、この定義のところの固定資産には、電話加入権としか書かれていないんですよ。NTTがやる電話加入権とは書いていないんですよ。
厳密に、正確に言うたら、KDDIや日本テレコムがするサービスというのは、加入権なしでやるわけですから、加入権料ゼロの電話加入権でサービスするわけじゃないですから、ここには該当しませんという話にそれはなるかもしれません。しかし、今おっしゃったように、通信事業者が廃止するかどうかは経営の判断だとおっしゃいますが、もうKDDIや日本テレコムの経営判断では加入権なしでやるわけですから、これはゼロでやるのと一緒なんですよ。
だから、何でNTTの判断だけを基準にして、日本テレコムやKDDIの判断を基準にしないのか。そこも説明がないじゃないですか。実質的にどうであるのかということを議論しなければ、経済は理解できないと思いますよ。そんな形式論ばかりずっと続けていくと、本当に経済界からばかにされると思います、国会は。そんな認識だから困るんですよ。
どうされるんですか。もしやめた場合にどうするんですか。そんなの当然じゃないか、質問の前提として。にもかかわらず、やめるかどうかは通信事業者じゃないとわからない。そんな無責任なことを言ってどうするんですか。事が起こってから全部対応するんですか。もう見えているのに、その状況が。来年になったら加入権の相場はほぼゼロになる、論理的にそうじゃないですか。ドライカッパーの開放をやめるというなら別ですよ。ドライカッパーの開放をそのまま残しておいて、加入権相場がどうなるかわかりません。そんな無責任な答弁ないじゃないですか。
それで、固定資産残すかどうかもNTTの判断だけを基準にするわけでしょう。KDDIや日本テレコムの判断を基準にしないわけでしょう。大体、法人税法がこういう形にできたときから状況が大分変わっているわけですよ。本来、基本料で取らなくちゃいけないようなものを、先に設備として負担してもらわないけないから施設設置負担金というのをつくった。そして、施設設置負担金を払ってもらった人には加入権をお渡ししましょう。
ある意味、ここでは不公平も生まれているんですよ。三十年前に買った人は、本当はもう設備は更新しているんだから、新たに施設設置負担金や上乗せされた基本料を本来払わなくちゃいけない。しかし、新しく払った、新しく加入した人の施設設置負担金で三十年前の人も加入権として維持をしてもらっているわけですよ。
しかし、そういった大きな構造が今変化しているということが、こういった情報通信審議会の十月十九日の答申でも示されているわけでしょう。一刻も早く対応しなくてはいけないんじゃないですかということを言っているんですよ。想像力が欠如したまま政策を考えちゃだめですよ。いかがですか。
○倉田大臣政務官
電気通信事業者による施設設置負担金に対する今後の取り扱いの内容とか、あるいは、おっしゃるところの売買等の実態、これを踏まえまして、適切に対応してまいります。
○麻生国務大臣
中村先生、多分こういう整理なんだと思うのですね。
基本的には、KDDIとか日本テレコムが加入権無料で入ってくるという話は、今現実問題そこにあるわけです。これと今のNTTの加入権とは直接関係あるわけじゃありません。それは影響を受けるかもしらぬよ。法律上はこっちはこっちの話。(中村(哲)委員「だから、形式的にはね」と呼ぶ)形式的にはそうなるんですよ。形式的にしかわからぬところですから、そういうことになるんです。それはやむを得ぬのです。それは期待しちゃ無理。まず加入権の話。それはそうなるんですよ。
傍ら、その影響を受けて、NTT東西の持っております一連の話、どんどん下がってきてゼロになるじゃないかという可能性は、ありますとも言えぬし、ゼロとも言わぬし、間違いなくずっと下方硬直することだけは確かだろうと私も想像できますよ。
そこで、NTTさん、審議会に基づいて、おたくはそれをゼロにするんですか、もしくは加入料を下げるんですかという質問を今投げかけられております。投げかけられた結果、それを判断して、やめますということになった場合は、当然のこととして、今起きたように減価償却を企業に認めて、企業側はそれは債権として持っているんだから、質権設定ができるんだから、そういったような話をという申請が出てこない限りは、財務省は申請なしでいきなり審議なんかしないんですよ。
だから、基本的に、NTTはその結論を出していないから審議のしようがない。今言っている背景は多分そうだろうな、他省庁の話ですけれども、そんな感じがしました。
○中村(哲)委員
いや、他省庁の話じゃないんですよ、一義的には総務省に責任ある話なんですよ。
麻生大臣、混同されているんです。七万二千円払わないといけないというのは、施設設置負担金なんです。施設設置負担金を払っていただいたユーザー側には電話加入権が発生するんです。そのユーザーが電話をとめた場合に加入権が浮くわけですね。その浮いた加入権は市場で売買されるわけですよ。その市場で売買される加入権に関しては、今相場がどんどん下がってきてゼロに近づいている。だから、NTTが施設設置負担金をどうするかとは別の次元の話として、加入権の市場価格自体がゼロに張りついているという現象が今もう起こりつつある。というよりも、起こってきている。それで、来年になったらそれが確定する、そういう認識を持たないといけないというのが一点。その認識を踏まえた上で、税制をどうするんですかというのが二点目なんです。
では、施設設置負担金が七万二千円であるのか、それを落とすのかわかりませんよ、仮に七万二千円であったとしても、処分価格である加入権というのはもうゼロに張りついていくわけですから、税制はこっちを基準に考えないといけないんじゃないですかということを申し上げているんです。しかし、倉田政務官は、いや、NTTがどうするかわかりませんと。関係ない話じゃないですか。上のこの施設設置負担金の話をしているのと違いますもの。市場で評価される加入権の話をしているわけです。
加入権がゼロに張りついていくのを放置しておいて、NTTがそれに合わせて、競争条件上加入権がゼロになるから、施設設置負担金七万二千円というのを下げなければ、それは、新規でNTTで契約してもらう人がいなくなるから、それは下げざるを得なくなるでしょう。しかし、ゼロにしない場合に、ではどう考えるんだということを聞いているんですよ。そのことまで考えていなくて、何が政務官ですか。政府の答弁をしっかり自分の言葉で語れなくて、何が政務官ですか。私は、副大臣来てくださいと言ったんですよ。政務官がちゃんと答えられるということを担保するなら、政務官が出てきてくださって結構ですと。
財務省は、いつもそうだ。ここで、以前、けしからぬ答弁をされていた政務官がいて、委員会がとまりましたよ。そんなことばかりしているから財務省はだめなんだ。誠実な対応をしなさいよ、もっと勉強してくるとか、そんなこともしないでどうするんですか、これを。
財務省、改めて聞きますよ。答弁をお願いいたします。
○倉田大臣政務官
私も、細かく勉強してきていないのは申しわけないんですが、電話加入権という概念は、これはNTT関係だけじゃないんですかね、第一に。あとは、電話利用権ということじゃないかと思うのですよ。そこのところでちょっと、形式的なことでいくとそういうことになる。
しかしながら、いずれにせよ、委員がおっしゃるような市場価格というものが影響を受けて、KDDI等に影響を受けて、それが非常にゼロに近いものになっていくという実態があるとすれば、それを踏まえて考えなければいかぬ、税法上の扱いも変えていかなきゃならぬであろう、これはわかっております。
○中村(哲)委員
今の、現状認識もされていない、将来に関しては起こってからじゃないと対応しません、今の答弁というのは、そういう答弁なんですよ。
どうするんですか。形式的な理由ばかり並べて、経済をほっておいていいんですか。それなら、法人税法は将来いじらないんですか。経済団体の要望も強いですよ。ほっておいていいんですか。
○倉田大臣政務官
そういうことを申し上げているつもりはございませんが、実態に応じて適切に変えるべきものは変える、そういうことでまいりたいと思います。
○中村(哲)委員 実態っていうのは、今どういう実態だと把握しているんですか。
○倉田大臣政務官
麻生大臣が先ほど答弁なさったとおり、中値では一万一千円ということを聞いております。
○中村(哲)委員
質問できないよ、こんな。何回説明しても、理解する能力ないんじゃないの。
○麻生国務大臣
今争っております財務省を総務省が手助けするのもいかがなものかと思いつつも、日本テレコムは、もう中村さん御存じのように、十二月開始、KDDIが来年二月でしょう、たしか。その結果、多分予想されるようなことになるであろうという前提に基づいて、税制改革を今どういうぐあいにするべきか。ゼロとは言いませんよ。私がゼロなんて言うと話が込み入るから、ゼロとは言いませんが、下方硬直してくるのを前提にして、ある程度企業の税制を考えておく、減価償却等々を考えておくべきではないのかという御指摘なんだ、そういうぐあいに理解しているんです。違うの。(発言する者あり)いや、だからさらに下がるだろうと言っているんでしょうが。まだ、今一万一千円なんだから、一応平均価格は。
だから、そういった意味で、だんだん下がって下方硬直するということになってくると、それに対応して税制も、減価償却なんというのは、企業が何千本も持っている分についてはそれぞれ資産として計上しているわけだから、その分だけは償却させてくれなきゃ困るじゃないか、無税償却させなければ困るじゃないかという御指摘でしょう。私どもも、その段階になったら、それは当然そう思いますよ。私どもとしてもそう思っておりますが、これは決まった段階でないと、KDDIは最終的に決めていないので、何とも言いようがないから言いようがないのであって、だってこれは申請しなきゃどうしようもないんだから。
だから、社会現象を先取りして、こちらの方でお約束しますなんということを、とても言う立場にありませんから、立場にありませんからというのは財務省がですよ、だから、そういった意味では、これがきちんと決まった段階で、はっきりした段階でということになると多分来年度の税制ということになるんだ、私どもはそう理解しております。
○中村(哲)委員
今、言い間違えられたんだと思いますけれども、KDDIじゃなくてNTTが決められるんだと思いますけれども、大臣が言い間違いをされるぐらい、この問題というのはわかりにくい問題ではあると思うのですよ。しかし、もう市場の価格がゼロなんですよ。皆さん、一万一千円とおっしゃいましたけれども、それは古いデータなんですよ。市場価格で考えると、買い取りしてもらうときにはゼロなんですよ。今売っているときでも、いろいろなサービスにはインセンティブがつきますから、それと組み合わせると、買う方でも五百円というのが出てきているんですよ。そういうふうなインセンティブと組み合わされて加入権というのは売られているんですよ。そういった認識もなく、いや、まだ一万一千円だ、倉田政務官、よくそんなことが言えますよ。そんなことで、よく税務行政ができますね。
もう時間がなくなりましたから、本当に残念です。あと大きな質問二つ残しましたけれども、こういうことでは本当に困る、その一言だけ申し上げまして、本日の質問は終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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