質疑一覧に戻る

2004年8月4日 
第160回国会 衆議院 総務委員会
案件:民主党提出・地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(27分) 「改正年金法廃止法案について」   

参議院選挙が終わり初の委員会審議ですが、この日は再度年金問題をとりあげるということで、地方公務員共済の廃止法案が議論されました。

中村は、前回に引き続き、みなし掛け金建ての年金制度の導入について質問をしました。
政府の回答は、制度として良い面があることは認めるが、
@もともと日本の保険料率は低い(13.58%)ので、導入するにしても保険料率をアップしてからでないと、将来の給付額が十分確保できない。
Aみなし掛け金建て制度は、支払った分だけ将来給付されるという自助努力の仕組みなので、現行の年金制度が果たしている所得の再分配機能が失われる。
といった理由から、導入には慎重な検討を要するということでした。

確かに、一定程度の給付額を確保するということは、重要な視点です。
しかし、所得の再分配機能は、年金制度だけで対応すべき問題ではありません。そもそも保険というのが自助努力を基礎とした制度であることを考えれば、所得の再分配は税で対応した方がわかりやすいとも考えられます。実際、民主党の年金制度はその点について配慮し、保険で賄うみなし掛け金建ての制度と、税で賄う最低保証年金制度の2階建てで提案しております。

現行制度は、この点(自助努力なのか、所得の再分配なのか)を整理していないために、かえって2つの考え方が混同し、制度の趣旨がわかりにくくなっています。

十分な時間が無かったため、議論は深まることなく、年金制度の審議もこの日一日で終わってしまいました。
年金制度を抜本改革するにあたっては、新制度で果たすべき政策目的は何なのか、基本的なスタンスからしっかり議論していく必要があると思います。前国会に引き続き、今国会でも十分な審議はできませんでしたが、参議院選挙で示された国民の声を具体化するためにも、引き続き、この問題は取り組んでいかなくてはなりません。

[2] 質疑項目

(1) みなし掛金建て方式について

  ア 現段階で導入し得ないとする理由
  イ いま導入した場合には十分な給付水準を得られないとみていることの確認

(2) 所得再分配について

  ア 個々の厚生年金・共済年金制度ではなく、社会全体の施策として考える必要
  イ 所得再分配を社会保険料ではなく、税金で行うことの必要性

(3) 職域加算の存在意義及び取扱いが在職 20年を境に異なる理由

[3] 会議録抜粋

○中村(哲)委員

 民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 政府の提出されました改正法に対する廃止法案についての質疑ということでございますので、私としましては、五月二十日の総務委員会での私のさせていただいた質問をフォローさせていただきたいと思います。それで、政府の改正法律の中身についての指摘をさせていただいて、この民主党の提出法案の理由ということにつなげさせていただきたいと思っております。

 質問の順番ですが、今用意している順番は、前回の質問と同じように、まず、みなし掛金建て方式について、次に年金制度一元化について、職域加算部分について、マクロ経済スライドについて、その順番に質問をさせていただきたいと思います。時間がありましたら、その他、前回積み残した質問をさせていただきたいと思います。

 まず、みなし掛金建てについてでございます。五月二十日の質疑の際にも、この制度がなぜ必要なのか、麻生大臣、また竹本厚生労働大臣政務官にもお話をさせていただきました。簡単に申し上げますと、私たちの若い世代にとっては、もう親が年金をもらう世代になっている、そういったときに、二重の負担の問題もあるので賦課方式を維持しないといけないだろう、だけれども、払った分はきちんと将来返してもらえる、そういった方式、いわゆる賦課方式だけれども掛金建てというみなし掛金建ての方式を導入するのがいいんじゃないかということを申し上げたわけでございます。

 その中で、なぜ今この方式を採用することができないのか、それについては、竹本大臣政務官が次のようにおっしゃっております。少し長いですが、読ませていただきたいと思います。

  先生おっしゃるとおり、スウェーデンのやり方は賦課方式、世代間扶養を概念上前提としまして、そして拠出した額の保険料、これを賃金上昇率に合わせて運用している、そういう前提に立っておるわけです。そういう意味ではわかりやすいわけでありまして、自分のお金がどのぐらいになっているか、確かにわかりやすいんです。

  では、いいじゃないか、日本でそれを採用したらどうかというお話でございますが、問題が幾つかあります。一つは、今麻生大臣言っておられましたけれども、今我が国の保険料は段階的に引き上げていこうとしております。今一三・五八、これを一八・三〇まで段階的に上げていくわけであります。今の時点でこの保険料率のまま導入いたしますと、給付水準が大幅に低下する可能性がある、これが一つ。それからもう一つは、実は所得再分配機能が公的年金制度にあるわけであります。厚生年金あるいは共済年金、こういうのがあるわけでございますが、今のやり方ですと、この所得再配分がうまく機能しない可能性がある。

  こういった意味で、即採用というのはなかなか難しいですが、なおいろいろ総合的な見地から検討はしていかなきゃならないものだと思っております。

このように竹本大臣政務官がおっしゃっております。

 簡単に私なりにまとめさせていただきますと、一つは、保険料率がこれからずっと上がっていくので、その途中でこういった制度を導入することはできませんよね、もう一つは、所得の再配分機能が公的年金制度にはあるから、これがみなし掛金建てではできませんよね、以上のような二つの理由だと思うのです。

 そこで、政府のみなし掛金建てを導入できないとされている理由について詳しく、これからもう一度確認をさせていただきたいと思います。

 まず一つ目の理由なんですが、みなし掛金建て制度自体は、保険料率を上げていく過程でなぜ導入することができないのか、これについてお伺いしたいと思います。

○森副大臣

 既に今、委員が前回の御質疑に基づいて分析をされたわけでございますけれども、今御承知のとおり、大変な勢いで少子高齢化が進んでいて、しかもいろいろな事情で保険料率が、ちょっと下げどまっていると言っては言い過ぎですけれども、まさにそういった状況に合わせてこれから徐々に上げていこうという提案をさせていただいているわけでございます。

 そういうことで、やはりある程度ステーブルな状態、安定した、つまり、そういうみなし掛金建て方式にしても、上げるところまで上がった状態でその導入を検討するならば検討の余地もあると思いますけれども、今まさにそういった状態にするための過程でございますので、これは前回も竹本政務官が御答弁したとおりでございまして、こういう状況では今はなかなか難しいというのが私どもの考えでございます。

 スウェーデンなども、あそこは大体人口構成がこれからも変わらないという前提でああいう制度がとられているものでございますから、やはり、今のこういった非常に厳しい状況に向かっていく中で導入するのは難しかろうというのが私どもの考えでございます。

○中村(哲)委員

 わかったようでわからないような説明だと多分若い世代は思うと思うのです。だから、一八・三〇がなぜいいのか、なぜ一三・五八ではだめなのかという理由はお話しになっていないのですよ。地共済の方は、国共済と財政単位の一元化をする中で二〇・二〇に上げることになっています。だから、二〇・二〇になったらいいのか。なぜ今の、一元化された後の一三・三三ではだめなのかという説明についてはされていないわけですね。

 ここは事前に、質問取りのときにはお答えいただいているんですけれども、確認させていただきたいのです。もう一度、いかがでしょうか。

○森副大臣

 これは、つまりこれからだんだん段階的に上げて一八・三%でサチュレートするということにしておりますから、そういった前提の場合と比べますと、今委員の御提案の制度を導入した場合、当然、財源が少なくなる分だけ給付が非常に少なくなるということを皆様方に御理解をいただかなきゃいけないと思うのです。

 民主党さんのこの間の代案でもそういった数字が入っておりませんから、どの程度まで下がるかというのが皆様方わからないままで議論されているわけですけれども、私どもとしては、大体所得の半分ぐらいは担保しないと年金にならないだろうというふうなことでその議論を始めているわけでございますから、今の一三・五八を維持したままでそういったみなし掛金建て方式を導入した場合に給付がどこまで下がるかということが、やはり皆様方の御理解を得るのがなかなか難しいのじゃないかというのがその導入が難しいと考える一つの大きな理由であります。

○中村(哲)委員

 私の理解が間違っていたらおっしゃっていただきたいのですけれども、一三・五八でみなし掛金建てをやった場合には給付額が少なくなり過ぎてしまう。一八・三〇まで上げないとまあまあ納得してもらえるような年金給付額は保障できない、そういった考え方があるということで理解してよろしいでしょうか。

○森副大臣

 そのとおりです。

○中村(哲)委員

 ある意味で親心というか、そういった気持ちで言われているのかなと思うのですけれども。

 だから、確定給付のあり方と掛金の関係、それが今見えないことに問題があるんですけれども、まず、それはそれで問題がある、だけれども、みなし掛金建てを導入するためには、まず引き上げていった一八・三〇で考えましょう、そういうふうに主張されていると理解させていただいていいということですね。――うんとうなずいていらっしゃいますから、次の質問に移ります。

 もう一つは、所得再配分機能があるということをおっしゃっているわけでございますが、私は、所得の再配分というのは、厚生年金だけで考えるのではなく、また地共済や国共済だけで考えるのではなく、社会全体、もしくは公的年金制度全体で考えるべきではないかと考えております。そうすると、もちろん消費税をどのようにするのかという問題も出てくるわけでございます。

 まず、私が申し上げております所得の再配分というのは、厚生年金や地共済、その世界だけで考えるべきではないのではないかと思っているんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。

○森副大臣

 確かに全体の中で考えるべきこととは思いますけれども、やはり年金の枠組みの中でもそういうことがきちっとされなきゃいけないんじゃないかというふうに考えております。

○中村(哲)委員

 私は理解できないんです。所得の再配分機能をなぜ厚生年金の世界だけ、地共済の世界だけで考えなくちゃいけないのですか。

○森副大臣

 ちょっとよく委員の御趣旨が理解できないのですけれども、それはつまり、最低保障年金とかそういったことも含めて考えたらどうかというお話でしょうか。(中村(哲)委員「そういうことです」と呼ぶ)

 最低保障年金ということを指していらっしゃるんだとすれば、やはり社会保険方式の一番大きなメリットというのは、まずみずからを助くる者を助く、自助自立の精神ですね、これがいかに機能するかということだと私は思うのですね。

 それは、最低保障年金というふうなことが持ち込まれますと、やはりそういった心持ちが薄れるだろうという心配が一つ。それからもう一つは、生活保護との関係が一体どういうふうに整理されるのか、この二つを申し上げたいと思います。

○中村(哲)委員

 今おっしゃっていることは、論理的に矛盾しているんですよ。社会保険方式で自助自立ということであれば、所得の再配分というのは論理的には矛盾するんですよ。

 なぜ自助自立の社会保険方式にもかかわらず所得の再配分をしなくてはいけないのか、そこについての御答弁をお願いしたいのです。

○森副大臣

 それは、そういったものを複合的に勘案して今の制度ができているのであって、いやいや笑い事ではない。だから、例えば国民年金、厚生年金、共済年金、全部一元化すればいいではないかという御提案もありますけれども、しかし、そうしたときに、例えば国民年金の人たちが、厚生年金の場合と違って事業主がいないからそれを半分負担してくれる人がいないとか、やはり今までのそういった組み合わせでもってかなり配慮の行き届いた制度になっているわけでありますから、必ずしも一概に自助自立の精神と、それから所得再配分の機能が矛盾するということは私は言えないと思います。

○中村(哲)委員

 それなら、なぜ所得再配分が必要なのかというところから考えないといけないと思うのですよ。

 それでは、そもそも所得再配分というのはなぜ必要なんですか。

○森副大臣

 それは大変本質的な御議論であって、私はやはりそういったことも将来的には、つまり、所得再配分は税金でやればいいじゃないか、それから、年金についてはそういったことはなくてもいいじゃないかという御意見があるということは制度論としては理解いたします。

 しかしながら、今までの経過の中でこういったシステムができていて、それなりに機能して、一つの国民の皆様方の安心のもとになっているのですから、それを前提としてこれからどうやって組み立てていこうかということで今回の制度改正になったわけでございます。

○中村(哲)委員

 いや、私はシンプルに聞いているんです。所得再配分というのはなぜ必要なんですか。

○森副大臣

 それは、老後の生活保障を年金でやっているということから、そういった所得再配分、本当に気の毒な人もいるわけですから、やはりそういった機能を持たせるということも私は政策論として当然あり得ると思います。

○中村(哲)委員

 いや、制度の中でなぜ所得再配分という考え方が出てくるのかということを申し上げているわけでございます。

 私なりの理解を申し上げますと、市場経済の中で全く自由競争に任せていくと、勝つ者と勝たざる者の差が大きくなる、だから国家権力が介入をして、多く収入がある者からは取って、そして貧しき者には分け与えていく、これが所得の再配分の機能です。

 なぜそういうことが自由主義の中で許されるのか。それは、社会権に見られるような実質的な人権の保障である。十九世紀から始まった立憲主義においては、まず国家からの自由というのを国民に保障した。しかし、それでは結局資本主義が拡大して労働者は搾取される。その中で階層が固定化してしまう。本当に自由というものを保障したけれども、本当の意味で人格的自立や実質的な人権が保障されていたのか。そういった疑念が生じたから、現行の現代立憲主義においては、形式的な自由権の保障だけではなく、国家が積極的に介入して社会権を保障していこう、そういった人権の歴史があるわけですよね。

 だから、所得の再配分というのは、国家が市場主義経済に介入をして、そして税金なりで国家権力で徴収した分を再配分するわけですよ。それが所得の再配分の意味だと私は思います。

 この理解で間違っていますか。お答えください。

○森副大臣

 そのとおりだと思います。

○中村(哲)委員

 だから、そうであるのであれば、原則的に、所得の再配分というのは、国家が強制的に徴収する税金でやらなくちゃいけないんですよ。社会保険でやるということは、社会保険というのは何の目的なのか。それは先ほど副大臣おっしゃいましたように、自助自立の考え方なんですよ。自分が払った保険料で将来自分が恩恵を受ける、そういった意味で、社会保険料というのは、考え方としてはまずあるわけです。

 それでは、社会保険料を使うことによって、先ほど申し上げましたような所得の再配分を全くしてはいけないのかどうか、そこについては論点があると思いますよ。だけれども、メーンの機能としては、社会保険料というのは自分が将来不安にならないために掛けていく、そういったものであるはずなんですね。税金は、また自分たちの国家を維持するだけではなく、貧しき者にも実質的な人権を保障していくために使っていく、これが社会保障の考え方ですよね。そこの整理をきちんとしないといけないんじゃないか、私はそのように思っているんです。

 だから、民主党は、ある意味で、一階建ての部分は最低保障年金、基礎年金を最低保障年金という呼び方をしているわけですけれども、そういった一階建ての部分はきちんと税金で全額保障しよう、そして二階建ての部分に関しては、自分が払った保険料を結局みなし積み立てですよね、みなし掛金建てという制度で将来返してもらう、こういうふうに整理した方が社会保険料と税金と、その性質を整理できるんじゃないか。私は、民主党案というのはそのような考え方でつくられていると理解をしているのですけれども、こういった考え方の方が整理されるのじゃないかということでお聞きしているわけでございます。

 説明が長くなりましたけれども、そういった意味で考えると、なぜ社会保険料で所得の再配分をしなくちゃいけないのか、そこについて検討しないといけないんですよ。そこについての哲学的な理由を述べていただきたいと思います。

○森副大臣

 委員がおっしゃっていることも私は非常に一理あると思いますけれども、それでは、先ほどおっしゃられたように、年金で所得再配分をやっちゃいけないということはないわけですね。特に、確かに国が強制的に徴収するのは税金だけれども、一方、年金も国民の義務でありますし、これは強制的に徴収するものですから、その中においてなるべく不公平がないような一つの機能を持たせるということも決して否定されるべきことではないというふうに私は考えます。

○中村(哲)委員

 今、副大臣がおっしゃいましたように、しちゃいけないというわけじゃないでしょう。つまり、政策判断だということなんですよ。だから、政策判断だから、みなし掛金建てにできないという理由に入っているのは必ずしも適当ではないんじゃないかというのが私の主張なわけでございます。

 この件については、議事録等を後日精査していただいて、また検討していただきたいと思います。

 時間もありませんから、二つ目の質問に行きます。

 職域加算部分についてでございます。

 職域加算部分については、前回、山口副大臣の方から御答弁がありまして、「この職域部分というのは、実は、公的年金制度という考え方と、もう一つ公務員制度の一環として私どもとらえております。 特に公務員というのは、もう御案内のとおり、さまざまに制限があります。あるいは、退職してからも一生つきまとう守秘義務等々、これはいろいろあるわけですので、やはり労働基本権との絡み等々も考えてこうした制度を共済年金の中に設けさせていただいております」、以下略させていただきますけれども、このように山口副大臣はおっしゃっております。

 これをそのまま聞くと、では、公務員にはいろいろ制約があるので、その分、将来お金で、職域部分という形で返すという考え方なのかな、そういうふうに受け取られがちだと思うのですね。

 しかし、私は、公務員の特殊性から考えてそれは正しくないだろう。公務員がなぜ守秘義務があるのか、またさまざまな制約があるのか。これは、公務というのが近代国家にとって非常に崇高な目的だからです。国民主権の国であって、それが一人一人の自由をある意味で国家に社会契約でゆだねる、その国家権力を担う公務員というのは、公務ができる、そのことだけですごく価値を持っている、だからそれに相応する義務があるんだ。

 私は、公務員は義務があって制約があるからお金で面倒見てやろう、それは基本的におかしいんじゃないか、そんなふうに考えておるんですけれども、やはりこのような御答弁、制約があるから金で面倒見るんだ、御答弁としてはそういう理解でよろしいんでしょうか。それとも、私が間違った理解をしているのか、御答弁をお願いいたします。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

○山口副大臣


 基本的には、今、中村先生おっしゃったような思いを込めて実は前回も答弁をさせていただいたつもりなんですけれども、一方においては、やはりいろいろな制約があるということも事実でありますし、そういった中で、本当に自覚と誇りとあるいはまた安心感を持って長期間しっかり頑張っていただけるようにというふうな思いでこの職域年金部分というのはあるんだろうというふうなことで、思いとしたら、もう先生おっしゃるような思い、もともとこれは恩給制度から変化してこうなってきたわけですから、そういったものは当然公務員の性格としてあると思っております。

○中村(哲)委員

 今おっしゃったのも、そういうのもあるけれどもこういうのもあるとおっしゃっているだけでして、義務があるから金で解決しようとしている部分もあるのかどうかということなんですよ。私は、そういう考え方はおかしいんじゃないか。公務員は、公務をできるだけで非常にすぐれた、すばらしいことをさせていただいているわけですから、それをやはり感じないといけないし、そこを金で解決するというのは基本的におかしいのじゃないか。

 そして、二十年という期間も、なぜ二十年か。この間も御答弁があったわけですけれども、長期間働くから二十年なんですよとおっしゃっているのですが、なぜ二十年なのか、十年じゃなぜだめなのか、その御答弁はなかったわけでございます。

 なぜ二十年なのか、その点についてもお答えください。

○山口副大臣

 金で買うみたいな発想は実は全くしておりませんで、むしろ、そういったことでしっかり保障してあげるということで、安心して、しかも誇りを持って仕事ができるだろうというふうな意味合いでございまして、決して金でつっておるようなことではございませんので、そういった御理解でお願いいたしたいと思っております。

 それと、二十年云々というふうな話も前の国会で先生の方から御質問があって御答弁もさせていただいたわけなんですが、これは若干繰り返しにもなりますけれども、これも公務員制度の一環として設けられたものというふうなことで、実は、地方公務員法には、相当年限忠実に勤務して退職した場合に支給をするというふうなことがありますので、それに準じてというふうなことであります。

 それと、私も、なぜ二十年なのかな、十五年はなぜだめなのかというふうな思いがありましたけれども、これももとの恩給制度ですね、かつて昭和六十年以前の場合の受給資格というのは実は二十年だったというふうなことを踏襲して二十年というふうなことになっております。

○中村(哲)委員

 時間が来ましたので終了させていただきますけれども、公務員制度に対する国民の見方が恩給制度のころとは私は大分変わってきていると思うのですね。給料が少なくて、働くのもしんどいから、やはり長期間働いた者はきちんと面倒を見てやろう、そういう考え方でできた制度なんですけれども、今果たしてそうなのかどうか。

 私は、今国民の皆さんは、公務員制度に対して、また公務員の働き方について厳しい目で見ていらっしゃると思います。自分たちはいつリストラされるかわからない、いつまで働けるかどうかわからない、その中で公務員はいつも安定して生活できるじゃないか、そういった国民的な不満があるから、今公務員バッシングがかなりなされているんだと思います。

 そういった意味で、公務員制度改革の一環ということですので、公務員制度改革についてはそういう視点から、与野党ともに取り組ませていただきたいと思います。

 以上をもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。




▲up

質疑一覧に戻る