2004年5月20日 第159回国会 衆議院 総務委員会 |
案件:地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案 |
[1] 質疑内容(42分) 「年金制度(地方公務員共済)について」
いよいよ国会で、年金問題について本格的な審議が始まりました。総務委員会では、職域別年金制度の一つである、地方公務員共済について議論が行われました。
地方公務員共済を含む今の年金制度は、年金受給者がある程度の年金を受け取れるよう、必要な給付金を先に計算し、それに必要な財源を現役世代から保険料として聴取する方法(給付建ての賦課方式)をとっています。しかしこの制度は、少子高齢化が進めば、いつか破綻してしまうのではないかということで問題になっているわけです。
これに対し民主党は、新たな仕組みとして、みなし掛け金建ての年金制度を提案しています。それは、自分が支払った保険料が計算上累積され、支払った保険料に見合った年金を受け取るという制度です。給付建てではないため、受け取った年金で十分な生活ができるかどうかという点については保証がないのですが、人口変動には左右されにくいために、少子高齢化社会では適していると考えています。実際、少子高齢化が進んでいるスウェーデンなどでは既に導入されています。
この制度についてどう考えるのか、中村から麻生総務大臣、木村厚生労働大臣政務官に確認したところ、制度として良い面もあるが、@もともと日本の保険料率は低い(13.58%)ので、導入するにしても18.3%まで保険料率をアップしてからでないと、将来の給付額は不十分なままになってしまう。Aみなし掛け金建ての場合、(保険料を支払った分だけ将来給付される仕組みなので)十分保険料を支払えない貧困層が、将来十分な年金を受け取れない可能性がある。といった理由から、導入には慎重な検討を要するとの応えでした。
その他、国家公務員共済や地方議会議員互助年金も含めた一元化の問題、国会議員互助年金の廃止の問題、また、公務員共済に特有の職域加算部分に関する問題等について、質疑を行いました。
指摘すべき問題点は他にもたくさんあったのですが、時間切れで十分議論することができませんでした。
(1) 若者の年金離れを防ぐためにみなし掛金建て方式を導入することの是非
(2) 共済年金の一元化について
ア 地方議員年金と地共済年金を一元化することの適否
イ 大臣・副大臣・政務官を国共済年金加入とすることの適否
ウ 国会議員互助年金を廃止し、国会議員を国共済年金加入とすることの適否
エ 国共済との財政単位一元化による保険料率の引上げに伴う地方公共団体の財政負担増加に対する措置の有無
(3) 職域加算について
ア 職域加算部分に相当する保険料の半分に使用者負担分として税金が充てられる理由
イ 職域加算の取扱いが在職 20年を境に異なる理由
(4) マクロ経済スライドの適用期間を 20年とした理由
○中村(哲)委員
民主党・無所属クラブの中村哲治です。
もう毎回毎回私はこういうことを言うのは嫌なんですけれども、自民党の議員の出席率が非常に悪過ぎると思います。私たち野党の出席でやっと定足数が足りている。こんなことが許されていいんでしょうか。いや、もちろん与党と言っていませんよ。僕は自民党と言っているわけで、公明党の皆さんはちゃんとフルメンバーでいらっしゃるわけです。だから、連立与党であるのならば、こういった公明党の皆さんの真摯な姿勢も見習って、ちゃんと出席をしてください。筆頭理事もさっきいらっしゃいませんでしたけれども、今はいらっしゃいますから御指導をよろしくお願いいたします。
それでは、私は、本日、質問通告に従いまして、第一にみなし掛金建て方式の可否、第二に一元化、第三にマクロ経済スライド、第四に職域加算、第五にモデル年金、第六にその他、六項目の質問をさせていただきたいと思います。時間の都合で項目の前後を入れかえることがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
まず、みなし掛金建て方式の可否について伺います。
私たちの世代のように親が既に年金を受け取っているような世代、そういう世代にとっては、スウェーデンでなされているような、賦課方式でかつ掛金建てという、いわゆるみなし掛金建ての方式がいいと考えますが、総務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○麻生国務大臣
公的年金制度のあり方というのは、これはもう先生御存じのように、先進国の中でも実にさまざまでありまして、そういった意味では、スウェーデンの話が今出されておりますのと民主党案と、類似したところがあるのはよく存じております。
これは、社会的な状況とか、高齢化率が違ってみたり、社会保障制度というものに対する位置づけが高負担、高賦課ということにもなろうかと思いますので、直ちに採用するというのはいかがなものかと思いますが、いずれにいたしましても、この年金のあり方につきましては、今、できた当時とは合計特殊出生率も変わりましたし、平均余命もかなり変わったし、相続税の話にしても、昔は六十歳ぐらいで受け取る方が三十代だったんですけれども、今は受け取る方が六十歳なんというので、もう退職しちゃった後にいきなり受け取ってどうやって払うんだという話もあります。いろいろな意味で考えないかぬことが実はいっぱいあると思いますので、この種の問題については総合的に検討されてしかるべき問題だと思っております。
○中村(哲)委員
総合的に考えていかなくちゃいけない問題なんですが、我が国の今の人口構成の状況、またこれからの変動を考えないといけないと思うんですね。
私は一九七一年生まれでして、いわゆる団塊の世代ジュニアに当たります。つまり私たちの世代というのは、この国始まって以来、団塊の世代という親の世代を社会保障で支えていく側なんですね。さらに言えば、私たちの子供の世代が団塊の世代のジュニアの世代というふうに、また団塊ができるのかといったら、それは現実的にあり得ない。
私の妻の母は、私の妻の年でもう三人の子供を産み終わっていたと言っています。しかし、私の妻は今子供はいません。私自身のきょうだいは、上に二人いますけれども、二人とも子供は一人ずつです。そういった意味で、私たちの世代の実感としては、自分たちの子供の世代が多子になるというのはなかなか考えられないんです(発言する者あり)いや、頑張れという不規則発言もありましたけれどもね。
私たち地方から出ている人間にとったら、地方にもう同級生はほとんど残っていないんですよね。高学歴で頑張った人間ほど東京に出ていく。東京周辺では、私も官僚の皆さんと事前にお話しさせていただいていてお互い愚痴をこぼしていたんですけれども、大きな家に住めないじゃないですか。こういう社会が豊かになって個室化しているときには、四LDKぐらいないと二人目、三人目とか持てない。そういった中で頑張れと言われても、なかなか難しい。
また、女性の社会進出が進んでいる中で、職業を続けながら子供を育てるのはめちゃくちゃ大変なことです。私の姉も医者をやっていますけれども、正直、両親の支えがなかったら子供なんか育てていけません。
官僚の皆さんなんか大変だと思いますよ。全国から優秀な人たちが東京に集まってきていて、自分の親には面倒を見てもらえない。その中で相手を見つけようと思っても、なかなか相手が見つからない。そういった若い世代に特有の問題というのがあるわけですよね。そういった問題に向かい合っていかないといけないんですよ。
そういったときに、私は、私たちの世代、団塊の世代ジュニアというのは、非常に大きな責任があると思っているんです。私たちの世代以降の世代は、常に自分たちより多くの人たちを養っていかなくちゃいけない世代に確実になるんです。私たちでこぶは終わりで、これから人口はずっと下がっていくだろう、実感としてわかっている世代ですから、社会保障のあり方というのは、特に年金のあり方というのは、私たちの世代できちんと議論をしていかないといけない、私たちの世代の議員がきちんと国会で議論をしていかないといけない、そういう思いでいるわけです。実は、高井委員とも私は同い年なんですね。だから、そういった認識で皆さんに答えていただきたいし、議論をしていただきたいと思うんです。
私たちの世代の実感として、みなし掛金建ての方式がなぜいいのかということになると、給付と負担の関係がはっきりするんですね。毎年毎年払った分の保険料、それのみなし保険料資産というのを計算するわけです。そして、そのみなし保険料資産の計算というのはみなし運用利回りというのを設定してやるわけですね。毎年毎年そのみなし運用利回りは何%にするのか、それもきちんとルールを決めていけば、ああ自分たちが払ったものがこういう形で運用されたことになっている、そうすると、自分が六十五なり七十五になったときに、今自分が持っているみなし保険料資産というのはこれだけあるから、それでは平均余命があとこれだけあるから一年間の年金はこれだけだと、給付と負担の関係が非常にはっきりするんです。
私は、何も積み立て方式でやれと言っているわけじゃないんですよ。賦課方式でやることに非常に意味があると思っているんです。二重の負担の問題を考えれば、積み立て方式というのは私もあり得ないということも十分理解しながら、このみなし掛金建てという方式を今御提案させていただいているわけでございます。
だから、これから総合的に考えるという今の大臣の答弁ありましたけれども、積極的に、今この国の置かれている状況、これから人口が減っていいく状況、若者は無業化が進んでいます。そういった中で、どういった方式であれば安心して若者が払っていこう、前の世代をきちんと支えていこうと思えるかどうかなんです。受け取る側の皆さんはどんな方式だっていいんですよ。しかし、私たちの世代がもうみんな払わないと言って払わなければ、賦課方式でやっていけないわけですから。だから、若い世代が納得できる方式をみんなで考えないといけないんです。その点を伺いたいんです。
諸外国の例、諸外国の状況、いろいろあるでしょう。でも、日本の固有の今の状況、それを踏まえて大臣に御答弁いただきたいと思います。
○麻生国務大臣
これは、私の話、総務省の話かと言われたら、ちょっと違うんじゃないかと思うんですね。したがって、厚生省の領分だと思いますのでうかつなことは言えぬと思って、詳しいことは厚生省からも来ていますので聞いていただいたらいいんだと思うんです。
今のはみなしの話ですよね、ずっと掛金が上がっていく、この上の部分だけをやるという話なんだと思うので。これはスウェーデンと同じものなんですが。その一番のもとのところの保険料の拠出額とみなしの運用益というところの話で、私、制度としては決して悪くないと思いますよ、はっきり言いますけれども。
ただ、段階的に保険料を引き上げていく今の状況じゃなくて、ある程度の保険料水準に到達してからでないと、その段階で検討しないと、今上げていく段階でどうかなと。これは人様の領分のことなので、余り詳しくないのに偉そうなことを言うわけにはいかぬけれども、今、少しずつ少しずつ上がっていく段階でうまくいくかねというちょっと正直な感じが私はしますが、詳しくは厚生省の方にお願いします。
○竹本大臣政務官
大臣のお答えになったとおりなんですが、厚生労働省として少し補足をさせていただきたいと思います。
先生おっしゃるとおり、スウェーデンのやり方は賦課方式、世代間扶養を概念上前提としまして、そして拠出した額の保険料、これを賃金上昇率に合わせて運用している、そういう前提に立っておるわけです。そういう意味ではわかりやすいわけでありまして、自分のお金がどのぐらいになっているか、確かにわかりやすいんです。
では、いいじゃないか、日本でそれを採用したらどうかというお話でございますが、問題が幾つかあります。一つは、今麻生大臣言っておられましたけれども、今我が国の保険料は段階的に引き上げていこうとしております。今一三・五八、これを一八・三〇まで段階的に上げていくわけであります。今の時点でこの保険料率のまま導入いたしますと、給付水準が大幅に低下する可能性がある、これが一つ。それからもう一つは、実は所得再分配機能が公的年金制度にあるわけであります。厚生年金あるいは共済年金、こういうのがあるわけでございますが、今のやり方ですと、この所得再配分がうまく機能しない可能性がある。
こういった意味で、即採用というのはなかなか難しいですが、なおいろいろ総合的な見地から検討はしていかなきゃならないものだと思っております。
〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
○中村(哲)委員
官僚がつくられた作文をそのままお読みになっているような気がいたします。これからどういうふうな方向に政治家として持っていきたいのかというような、魂を込めたお話をいただきたいんですね。
きょう、総務省が提出している資料、「地共済の給付現価と財源構成」、そういうペーパーを皆さんにお配りさせていただいていますけれども、先ほど公務員部長が西村智奈美委員の答弁でもしておりましたように、この部分というのは必ずしも今実際に穴があいているというわけではないんですけれども、積み立て方式でしたときにこういうふうな穴があいている計算になる、そういうふうな図であります。
実際これだけ、六十八・七兆円分、地共済の方でも積み立て方式だと穴があいているわけですよ。だから、それを急に埋めないといけないということで今保険料率をずっと上げていっているわけですよね。まさに若い世代、将来の世代が、残した負担を埋めていかないといけない、そういう状況にあるわけです。そういう状況にある中だからこそ、負担と給付をはっきりさせるような方式、みなし掛金建てという方式を導入しないといけないんじゃないですかということを言っているわけです。
このみなし掛金建て方式というのは、必ずしも今回の民主党案に限らないんですよ。私、民主党案を外して今議論させていただいています。地共済のこのスキーム等を仮にとるとしても、みなし掛金建てという方式を地共済で導入すればいいんじゃないか、私はそういうふうに主張させていただいているわけでございます。だから、そういうふうに皆さんには問題意識を持っていただいて、これからも御答弁に当たっていただきたいと思います。
時間もありませんので、第二の項目に移ります。一元化についてです。
まず、地共済と国共済との一元化の前に、政治家と地共済との関係について少し議論をさせていただきたいと思います。
地方公務員共済年金、地共済には、市町村長や知事などの特別職も被保険者になると聞いております。それであるのならば、国共済と地共済の一元化の前に、同じ特別職である地方議員も入れるようにすべきじゃないか。つまり、地方議員互助年金との一元化を考えるべきでないかと思いますが、総務大臣、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣
一つの御意見だと思いますが、あくまでもこれは互助年金というぐあいに考えられた方がよろしい。議員の場合ですよ。議員の場合、互助年金と考えられた方がよろしいんだと思います。
これは、地方議員でいる在職年数がいわゆる他の被用者年金制度の期間と通算されないというところ、十二年したらやめちゃうとか、片方は三十年いるとかいうことになりますので、そういった意味とか、また重複の適用が認められていることなんかいろいろありますので、公的年金制度とは、御存じのように地方共済の場合は重複はできませんので、そういった意味ではかなりな部分違っているという感じがします。根本的なところが違っていますので、直ちに一元化というわけにはなかなかいかぬのじゃないかなというのが率直なところです。
いずれにいたしましても、この議員の話というのは、地方議員のところの問題はやはり互助年金というところが一番の違いかなという感じがいたします。
○中村(哲)委員
互助年金という考え方であっても、ある意味、地共済自身が互助年金の意味合いもあるわけじゃないですか、公的年金なんですけれども。だって、公務員だけで年金制度を完結させるわけですから。だから、程度の差は違いがあるかもしれませんけれども、すべてそういうふうにやっているわけではないんですよ。そこは認識していただきたいと思います。
第二の質問に移りますが、国共済の質疑の際、中塚委員の質疑の議事録を見ると、答弁では、三党合意もあって、民間出身の大臣も国共済の被保険者となれるように政令を改正する、そういうふうに触れられておりました。しかし、当たり前のことかもしれませんけれども、国会議員出身の大臣については触れられていません。何で国会議員だけ特別なのか。
大臣も未納の期間がおありになりましたけれども、民間出身の大臣はよくて国会議員出身の大臣はだめだということに私はならないと思うんですよ。まさに大臣もそういう制度があったら未納期間はなかったわけですから、そういった意味で、国会議員出身の大臣、副大臣、政務官も国共済、年金に入れるように私は法律を改正すべきだと思うんですけれども、それについていかがでしょうか。これは財務省にお伺いいたします。
○七条大臣政務官
国共済の方につきましては私どもの方の所管でございますから、財務省としてお答えをさせていただきます。
確かに、今先生が言われましたように、三党合意の中で、民間の大臣について国共済の年金制度に加入をする、これは一つの考え方として非常に前向きで、そうでなければならないと思っておる一人であります。当然、兼業禁止になるという、いわゆる大臣規範の中に書いてあることを含めますと、企業年金に入っておられた民間の方々がそれをおりて一段階だけの国民年金だけで、こういうことになれば不合理が起こってくることも出てまいりますから、これはこの国会中に何とか政令改正をしていく方向だと思っております。
ただ、それが次の段階に入ったときにどうなるか。私たちのような国会議員あるいは大臣も含めて、国会議員がこれと同じようなことをしていくということになってきたときには、先ほど来から問題が出てきております国会議員の互助年金をどうするのか。この互助年金という問題について、これに賛成か反対かということについては国会内の御論議をいただかなければならないということでありますし、当然、私はそこでコメントすることができませんが、もしこの互助年金がないという場合とあるという場合では答えが変わってくるのではないか。
そういうふうなことを含めますと、今の制度のままでは引き続きこういう取り扱いを行うことが適正であると私たちは考えております。
○中村(哲)委員
だから私は、この際、国会議員互助年金も廃止して、国共済に国会議員も入れるようにすべきじゃないかと考えております。
今、御存じのように、国会議員の互助年金は在職期間十年以下の人たちは支給されません。一時金として八割返ってくるだけです。退職金の規定もあるのに退職金ももらえない。そして、掛金は八割返ってくるだけということになります。さらに言えば、三年未満の在職期間の方たちは掛金も返ってこない。退職金もないし、掛金も返ってこない。国会法で定められている退職金をもらえない上にです。そういうことを考えれば、国会議員も国共済に入れる方が妥当なんじゃないか、私はそのように考えます。
政治家の判断、政治家の議論として、麻生大臣に、この件についてどのようにお考えになっているのか私は答弁をいただきたいと思います。
○麻生国務大臣
これは中村先生、吉田内閣のときに、国会法で、議員はとにかく退職金は受けることができるということになっておるんですよ、昭和二十二、三年にできた法律だと思いますけれども。ところが、御存じのように退職金はない。そこで、昭和三十三年に国会議員互助年金法というのが議員立法で成立したという経緯なんです。
それによって今日いろいろな条件がずっと出てきたというのが経緯でもありますので、総務委員会、総務省所管として、単なる互助年金の支給関係事務だけやっておる私らにとって、おまえ、もともとからどうにかしろと言われても、ちょっとそれはなかなか、これは議員立法でもありますので、国会で討論していただくより手がないんだ、私はそう思います。
○中村(哲)委員
我が国は議院内閣制をとっております。だから、私が麻生大臣に伺っているのは、総務大臣としてだけで伺っているわけじゃないんですよ。やはり国務大臣として、閣僚、キャビネットの一員として、本当に我が国の最高意思決定に当たられているお一人としてお聞きしているわけです。もちろん、与党自民党の中でも非常に大きな力を持っている政治家ということも認識させていただいているところでございます。政策決定にずっと主要なところでかかわられてきた、そういった政治家として麻生大臣に伺っているわけです。
議院内閣制における議会の質疑というのは、そういう意味があるんですよね。皆さんは都合のいいときだけ、いや、私は総務省の大臣なので所管のことしか答えませんとおっしゃいますけれども、それだったら、何で政府と与党の事前審査もあるのか、そういう話になってくるわけです。
まさに、そういった意味で、議院内閣制、そして日本の政治風土を考えれば、麻生大臣というのは非常に力を持っていらっしゃるわけですよ。だから、こういったことで議論をさせていただきたいし、これから仮に総務大臣を離れられて次は総理になられるかもしれません、そういったときにお考えになっていただきたいということでございます。だから、そこをやはり大臣としては、いや、おれは政治家だからこう答えてやろう、そういう意気込みで答えていただきたいと私は思うんですが、いかがですか。
○麻生国務大臣
この種の話に乗せられてひっかかっていった人が、子供のときから政治の世界をかいま見てきましたので、難しい質問にはなかなか簡単には答えられないところなんですが。
議院内閣制というのはもう中村先生おっしゃるとおりなんですが、御存じのように、先ほど高井先生だったか、議論しましょうと言うけれども、ここは議論はできない。ここは質問しかできない。それに対して答えなきゃいけない。私の方から、高井先生、じゃ伺いますけれどもと言わないとこれは議論になりませんが、それは認めてもらえないわけですから。何か党首討論なんて書いているけれども、英語ではあれはクエスチョンタイム。おかしいでしょうが。ディベートタイムと言ってもらわないと、英語ができないんじゃないかと。青森県出身の人が決めたからああなったのかなといってこの間からかったら、ほかの青森の英語のできる人からえらい勢いで怒られましたけれども。
基本的には、私どもとしては、議院内閣制としていろいろするというのは、中村さん、正しいですよ、した方がいい。ただ、それをすると、ほかの役所のところになってくると、これはなかなか難しいから一杯酒を飲みながらすると言うと、またかなり不謹慎な意味にとられてもかなわぬし、率直なところ、いろいろな話をさせていただいた方がいいなというのは私どもも思いますけれども、なかなかそこが規約があって難しいというところだと存じます。
○中村(哲)委員
端的に意気込みだけ聞かせていただければ結構だったんですけれども、大臣も問題点を認識なさったということで、検討していただきたいと思います。
それで、国共済との一元化について伺います。
私は、時間の都合もあって、この制度について組合員との関係も聞きたかったんですが、それは聞きません。地共済の組合員にこの制度の必要性を言ってもなかなか伝わらないと思うんですね。
これは、財務省が出していただいた資料を皆さんに配らせていただいております。「平均保険料率」、そういうふうな表ですけれども、見てもらったらわかりますけれども、地共済の組合員は、一三・〇三%で済んだのが一三・三三%になるわけですね。国共済の人たちは、一四・三八%が一三・三三%に引き下げられるわけです。地共済の組合員の方が多いから、少ない国共済の人たちと比べたら、〇・三%上げたら国共済の人たちは一・〇五%引き下げることができる、そういうことになっているわけなんですけれども、何で自分たちがこんな負担を背負わなくちゃいけないのかと。
恐らく旧自治省、総務省の人たちが地方に出向されたときに、国家公務員だけいい目しているじゃないかと、多分、総務省出身の地方に派遣された、出向された人たちは、部下からか上司からかわかりませんけれども、結構ねちねちと嫌みを言われるんじゃないかな。もちろん、そのときは出向された方も地方公務員になっていらっしゃるから、そんな話は出てこないのかもしれませんけれども。まあ余談になりましたが、組合員にはなかなかこの必要性は理解されないと思います。そこは余り議論しても仕方がないのでしませんが。
それと、もう一つ問題になってくるのが地方自治体の財政に与える問題です。
つまり、地方自治体は、大臣の目から見てわずかかもしれませんが、こうやって保険料が上がるわけですよね。そうすると、上がった分だけ、使用者側の責任として、保険料折半ですから、支払う保険料が上がるわけです、ふえるわけです。そうすると、必然的に地方公共団体の財政に与える影響というのは大きくなるわけです。ここの財源措置がとられているのか、総務大臣と財務省に伺います。
○山口副大臣
私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、先ほど来中村先生御指摘のとおり、地共済の方がいいんですね。ただ、年金の一元化の場合は、旧国鉄の場合もそうだったんですけれども、常にそういう問題をはらんでおります。
しかし、地共済の場合も、町村合併等々によってどうしても人数が減っていくだろうというふうなさまざまな流れの中で、やはりここはひとつしっかりしたものをつくろうということで私は御理解をいただいておると思うんですが、確かに、今お話しのとおり折半ですから、当然地方財政に影響を及ぼすというふうなこともございますので、そこら辺は地方財政計画の中でしっかり見させていただいて、交付税措置ということでやらせていただきます。
○中村(哲)委員
つまり、交付税で面倒を見る、そういうお話だと思います。
財務省、御答弁いただかなかったので、そういうことだと思うんですけれども、答弁されますか。
○七条大臣政務官
同じ答弁になってしまうかもしれませんけれども、当然、一元化をしていくということで、今、国家公務員といわゆる地方公務員の場合は多少負担率が違います。ですから、地方の方が一緒に合わせてくると高くなるということは先生さっき言われたとおりでございますが、当然、これらは地財計画の中でやらなければならない。その地財計画の中で運営するというのは、国家から充てていく資本の中でも含めて考えなければならないということでございますから、同じ答弁になりますが、よろしゅうございますか。
○中村(哲)委員
納得いたしました。決して地方いじめにならないように配慮していただきたいと思います。
時間の都合で、第三項目の前に第四項目、職域加算部分について伺います。
先日の財務金融委員会の質疑、平成十六年五月十四日の中塚委員の質問に対する財務大臣の答弁がありました。同じことは地共済にも言えます。職域加算部分は、厚生年金に置きかえて考えれば、三階建て部分の厚生年金基金に相当する部分だと概念的には考えられます。
そうしたときに、財務金融委員会でも触れられていた点ですけれども、一三・〇三のうちの職域加算部分の保険料に相当する部分の半分は税金なわけですよね。そこの根拠は何なのかというところについては、財金では時間切れで聞けていなかったわけです。ここがまさに今週刊誌で公務員の職域加算部分がおかしいんじゃないかと言われている根拠にもなり得る部分だと思うんですね。
私も事前に官僚の皆さんとお話しさせていただいて、いや、職域加算部分についてはいろいろありまして、ちゃんと私たちは保険料を払っているんですよ、その部分でやっていることですから、責められることはないと思うんですけれどもという話はあったんです。私もそのとおりかなと思ったんですけれども、よく考えてみれば、職域加算部分の保険料の半分は使用者が負担する税金になっているわけですから、ここについてはやはりはっきりした理由が必要だと思うんです。大臣、いかがでしょうか。
○山口副大臣
この件につきましては、先ほど稲見先生の御質問にも若干そういった御趣旨のお話があったわけなんですが、この職域部分というのは、実は、公的年金制度という考え方と、もう一つ公務員制度の一環として私どもとらえております。
特に公務員というのは、もう御案内のとおり、さまざまに制限があります。あるいは、退職してからも一生つきまとう守秘義務等々、これはいろいろあるわけですので、やはり労働基本権との絡み等々も考えてこうした制度を共済年金の中に設けさせていただいておりますけれども、当然、公的年金制度の一部なので労使折半というふうなことで、国の方も半分、地方公共団体につきましても、もうこれもお話のとおり、地方公共団体の事業主というふうな性格に基づいて負担をしておるということであります。
○中村(哲)委員
つまり、職域加算部分の半分は税金だ、これは公務員制度の特殊性だということなんですよね。だから、公務員制度改革が今なされていますけれども、そことの並びで議論していかないといけない、そういうことで確認をさせていただきたいと思いますけれども、まさに国民の目から見て公務員が特権階級になっている、そういうことにたえられるような公務員制度改革をこれから政治家同士でやっていかないといけない、議論をしていかないといけない、そういうことなんです。
関連して、それでは次に、在職期間二十年を境にして、職域部分が半額か全額かと分かれるわけですよね。これもなかなか筋が通っていないんじゃないか、意味がわからないんじゃないかと私は思っているんですが、なぜ二十年までの人だったら半額しかもらえなくて、二十年以上の人だったら全額もらえるんですか。そこの合理的な理由は何なんでしょうか。
○山口副大臣
地共済の制度というのは、先ほども申し上げましたけれども、公務員制度の一環として、まさに公共的利益のために行政を公正かつ能率的に、そうした職責を有しておりますので、長期間さまざまな服務上の制約のもとで勤務をする公務員の退職後の所得を保障する、安心をして公務を遂行してもらうということでやっておるわけなんです。
今御指摘の職域年金相当部分につきましても、このような公務員制度の一環というふうなことで設けられた趣旨から、これも先ほど若干御議論がありましたけれども、実は長期間勤務をして退職をした者を中心に考えさせていただいております。結果として、組合員の期間が二十年以上である者と二十年未満である者については給付の差をつけさせていただいておるというふうなことでございます。
○中村(哲)委員
その差が合理的な範囲内なのかどうかということなんです。それをもっと考えないといけない。
それから、今おっしゃったような理由であるならば、公務員をやめて民間企業に勤めることは許されませんよ、その理由だったら。しかし、現実的には民間企業に勤めているし、そして民間の公益法人にも勤めているじゃないですか。そっちは許されて、理屈が合わないじゃないですか。それは公務員制度の制度改革のときに議論するんです、全部そういうふうに逃げていますけれども、つじつまが合わないんですよ。
そこに対してどういうふうにこれから政治家は考えていくのか。これは官僚に任せていたら丸め込まれますよ、大臣、また政務官。そういった議論をぜひ与党内でしていただきたいんです。そして、あるべき公務員制度改革というのはどういうものなのか、もう一度しっかり議論していただきたい、私はそのように思います。
戻りまして、第三項目のマクロ経済スライドについて伺います。
私も、なぜ厚生年金と同じスライド方式をとるのかな、地共済では地共済の独自のスライド方式をしてもいいじゃないか、そのように事前に事務方とお話しさせていただきました。そうすると、いや、これは厚生年金と給付水準を合わせるために仕方がないんです、だから一緒にさせていただくんですと。私としてはわかったようなわからぬような、そういうお答えでした。
マクロ経済スライドは何が問題かというと、過去賃金の読みかえ率は今まで手取り賃金の上昇率だけだったわけです。そこに、調整期間、特例期間に限って人口要因変化率を加えるということなんです。人口要因変化率というのは何かというと、公的年金全体の加入者数の減少率、これが二〇二五年ごろまでの平均が〇・六%程度と言われています。そして平均余命の伸び率、これが二〇二五年ごろまでの長期予想で〇・三%程度だと言われています。つまり、この二〇二五年ぐらいまでは、合わせて〇・九%分、過去賃金の読みかえ率が自動的に下げられてしまうわけです。
そしてまた、これがなぜマクロ経済スライドという名前で呼ばれているのか。経済状況と一切関係がないんです。人口要因にすぎないわけです。私は、本当にこれは羊頭狗肉だと思いますよ。こういったマクロ経済スライドという名前をつけたら、経済状況に合わせて変わっていくんだろうな、みんなそういうふうにだまされちゃいますよ。これは羊頭狗肉、私はそういうように思います。
時間がないので本質的な話を聞きますけれども、このスライドの特例期間、調整期間、二十年程度と見込んでいるというふうに聞いていますけれども、何で二十年なのか。スライドするにしても、もうちょっとロングスパンにとってもいいんじゃないか。そうすると〇・九%というような激変のそんな利息じゃなくても済むわけですよ。なぜ二十年と見込んでいるのか。これは結局、過去債務の急激な清算にすぎないのではないか。
総務大臣に伺います。
○竹本大臣政務官
厚生労働省の方からお答えさせていただきます。
今、マクロ経済スライドという言葉が適切でないというお話でございますけれども、我々は今回の改正案において基礎年金の国庫負担の割合の引き上げの道筋を明らかにするわけでございますが、保険料負担の上限を明確に示すことによって、現役世代の負担が過重にならないようにまず配慮いたしました。
もう一つは、既に年金を受給している人も含めて、年金を支える力の変化、今おっしゃっていた人口の減少ということでございますけれども、そういったことも含めた調整をしなきゃいけないということでありまして、最終的に段階的な保険料水準の引き上げや給付水準の調整というのはソフトランディングをさせないと、特定の世代に偏ってはならないということで、全体で調整する、そういう精神でやっておりますので、その名称としてマクロ経済スライドと。適切でないと言われればそうかもしれませんけれども、一応そういうことを慣例的にも使ってきておるということであります。
○麻生国務大臣
今、中村先生御指摘のあったように、この数字を見ていますと、約二十年後の平成三十五年に終了する見通しというのが、調整期間の終了年次というのに……(中村(哲)委員「二〇三五年ですか、三十年後ですか」と呼ぶ)約二十年後の、三十年か、ごめんなさい、に終了する見通しになっているということは、私もそれは承知しています。一応、このスライドのあれでいくとね。
ただ、私に言わせると、これは厚生年金の財政の再計算をやっている、単純計算しただけの話ですから、それからいくと、社会の経済情勢やら何からまた変わって、さらに出生率が落ちたり平均余命が伸びたりすると、これは変更し得るとか変わり得るという可能性があり得るものだと思っております。
それから、スライド調整期間中の受給者というものは、その後の時代、その後の時代ということは中村さんよりもっと後になるのかな、後の時代の受給者の人に比べて給付水準が高いというようなことで、特に不利益をこうむるというようなわけではない。ここのところは大事なところで、こっちはよくてこっちは悪くなったというんじゃいかがなものかという感じがしたので、私もその点は聞いてみたんですけれども、それはないということになっておるように思っております。
ただ、名前については、最初これを見たとき、何じゃらほいと正直私も思いました。
○中村(哲)委員
時間が参りましたから終わりますけれども、大臣でさえ調整期間が二十年なのか三十年なのかはっきり御認識できていないという状況でもありましたし、それから、二〇〇二年の十二月に厚生労働省が年金改正のたたき台を発表したときには、これは〇・三%程度というふうに考えていたわけですよね。そのときに、まさに賃金支払い総額の伸び率に着目して、〇・三%という数字をたたき出してきたわけです。だから、そのときだったらマクロ経済スライドという名前は適切だったんですよ。それを、今回、どういう理屈かわからないけれども、人口要因の方にすりかえられてしまって、〇・九%になったんです。毎年毎年〇・九%下げられるんですよ。非常に大きな利息の変更なんですよ。
このことを最後に指摘しまして、本当にここで議論することはたくさんあるということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
▲up
質疑一覧に戻る