2003年1月27日
第156回国会 衆議院 予算委員会

案件:平成十四年度一般会計補正予算・特別会計補正予算・政府関係機関補正予算

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(56分)「脱北者問題について」   

予算委員会における初質疑となったこの日は、いわゆる「脱北者」の問題について取り上げました。

10万人とも30万人とも言われているこれら脱北者は、北朝鮮ばかりではなく中国政府当局からも不法入国者として扱われ苦しい生活を強いられています。これらの方々の中には政治的な迫害から逃れるために出国した方もいるかもしれません。中国は難民条約に加入している以上、難民を受け入れる義務がありますが、実態は何の調査も行わず北朝鮮へ強制送還しているというのが実情のようです。

他方、これら脱北者の中には日本国籍を有する方々(いわゆる日本人妻と言われる方々)も居ます。日本人であるならば、当然邦人保護の対象となります。つまり脱北者問題とは、人道的な観点と邦人保護の観点と両方の観点から、我が国として対岸の火事と放置しておけない問題なのです。

今回の質疑では、脱北者の置かれている現状やそれに対する日本国政府のこれまでの対応状況、更には日本に秘密裏に帰国されていると言われている日本人妻の生活状況について、先ずは事実を公にするべく質問を行いました。

その結果は、これまで数十人を対象に保護を行ってきたこと、日本に帰国した人もいることなどがかろうじて明らかになりましたが、それ以外はプライバシーの問題、本人や本人の家族の安全の問題、外交上の配慮といった理由から明らかにできないという回答でした。

保護した脱北者本人の名前を明らかにできない、また個別具体例について説明できないというのは、本人や家族の安全確保の観点からある程度理解できます。しかし、保護した実績件数も言えない、どの程度お金を使っているかも言えない、何人ぐらい日本入りしたかも言えないというのはどういうことでしょうか。

もはや外務省が中国と秘密裏に交渉したうえで処理できる状況ではありません。外交上の配慮により秘密裏に処理した結果、秘密裏に北朝鮮に強制送還される方々がいないとも限りません。また、日本入りした脱北者が何の支援もなく生活に困窮しているとも聞きますが、彼らの生活を支援する制度を整備するにしても、先ずは国会が事実関係を把握する必要があります。外務省の対応に強い不満を覚えた質疑でした。

[2] 質疑項目

1.北朝鮮からの脱北者問題

  1)日本国籍を有する脱北者数及び日本国籍を有しない元在日朝鮮人の脱北者数

  2)我が国政府が把握している邦人の脱北者数

  3)脱北者数を政府が明示できない理由 

  4)国外において邦人が在外公館に保護を求めた場合の外務省の対応

  5)中国と北朝鮮との国境において邦人が保護を求めた場合の外務省の対応及び件数

  6)中国の在外公館に保護を求めた邦人の脱北者数

  7)中国に身柄を拘束された邦人脱北者の身柄引渡しを求める必要性

  8)保護を求めた邦人にNGOを紹介して極秘に日本に帰国させた例

  9)NGO以外の一般協力者に協力を求めた例

  10)邦人脱北者に係る報道(1月30日号)記事
      a.1月6日にNGOが協力者の韓国人A氏の連絡先を外務省に伝えたとする記事内容の事実確認
      b.我が国政府が中国当局にA氏を誘拐犯として通報したとする記事内容の事実確認
      c.中国当局への通報を確認することにより邦人脱北者が日本に帰国できなくなる理由
      d.当報道内容の真偽
      e.邦人脱北に協力したNGO団体への報奨金付与の事実
      f.政府によるNGO等への資金提供の有無

  11)極秘に帰国した脱北者数を明示できない理由及び帰国した脱北者の現状

  12)我が国における脱北者対応及び帰国者への支援

  13)元在日朝鮮人脱北者に対する保護体制の有無

  14)元在日朝鮮人脱北者を保護した例の有無

  15)北朝鮮へ強制送還された脱北者のその後の処遇

  16)脱北者が難民条約上の難民に該当することの適否

  17)中国・北朝鮮に脱北者の強制送還について議定書締結の有無

  18)我が国政府における中国による脱北者強制送還事実及び処遇の把握状況

  19)難民条約上で難民と認定されると思われる脱北者を中国が強制送還しているという事実確認

  20)難民の強制送還の事実を把握するための具体策

  21)邦人脱北者保護のために国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等による調査の必要性及び難民キャンプを設置する必要性

  22)多国間における脱北者問題の取組の必要性

[3] 会議録抜粋

○中村(哲)委員

 民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 私は、北朝鮮からのいわゆる脱北者について、邦人保護という観点と難民条約締結国としての義務の履行という観点から質問をさせていただきます。

 まず、外務大臣に質問をさせていただきます。

 現在まで、いわゆる脱北者は全体でどの程度いると考えているのか。また、その中に日本国籍を有する邦人はどの程度いると考えているのか。また、日本国籍は有しないが元在日朝鮮人だった人たちはどの程度いると考えているのでしょうか。

○薮中政府参考人

 今の御質問でございますけれども、脱北者全体の数というのは、これはなかなかいろいろな諸説ございまして、私どもでも確実にどういう数だということで全体をつかんでいるわけではございません。報道等々では数千人あるいは数万人という単位もございますけれども、この中身というのは私どもにはわからないわけでございます。

 他方、日本人配偶者として行かれた方々で、そのうちの、北朝鮮に渡られた方、その中で脱北されておられる方ということで、これは個々個別のケースがございます。一つ一つについて我々は情報があれば直ちに対応するということでやっておりますけれども、脱北者としてどれだけおられるかというのはわからないわけでございます。

○中村(哲)委員

 数はわからないということでよろしいんですね。

 それでは、現在まで、日本国政府による、邦人、日本国籍を有する脱北者の保護件数は何件ですか。

○薮中政府参考人

 個々個別に、今まで、脱北者として、日本人配偶者の方で出てこられた方はございます。一件一件、私どもはその時々に情報があれば対応はしておりますけれども、プライバシーの件それから安全の件がございます。その残られた家族の方がまだ北朝鮮におられるということもございまして、数も含めて、今までのところ御答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 何を言っているんだ。数を聞いているんだろう。数を答えられない、なぜ答えられないんだ。プライバシーと関係ないでしょう。数を答えてください。

○薮中政府参考人

 先ほど御答弁いたしましたように、一件一件きちんと対応してきておりまして、それが、何十名というような単位ということでは全体ではございますけれども、その一件一件については、それが特定されることによって、かえって、その家族の方がまだ残られているというようなことで、身の安全のこともございますので、具体的なことを差し控えさせていただきたいという趣旨でございます。

○中村(哲)委員

 私が聞いておりますのは、なぜ、何十名という数が、先ほどおっしゃったプライバシーやそういうものの配慮として数が明らかにできないのかという理由を聞いているわけでございます。

○川口国務大臣

 数については、プライバシーには関係がないであろうという御意見もあるかと思いますけれども、脱北者の場合には、これは中国の政府からいいますと不法入国者ということになっておりまして、中国政府と北朝鮮の政府との関係もございますので、私どもとしては、数も含めて、恐縮ですが、公表は差し控えさせていただいている、そういうことでございます。

○中村(哲)委員

 中国が、不法入国者ということですので、次の項目に移りますね。(発言する者あり)いや、そこ、関連するので、次の質問に移ります。

 一般論として、国外において邦人が日本国政府の在外公館に保護を求めてきた場合、どのように外務省としては対処しているんでしょうか。

○川口国務大臣

 外務省の設置法の四条でございますけれども、これに、日本国籍を有する者、要するに「海外における邦人の生命及び身体の保護その他の安全に関すること。」これは日本政府の責務であるということで書かれております。したがいまして、そのように対応している、そういうことです。

○中村(哲)委員

 それでは、中国と北朝鮮の国境付近において邦人の脱北者が保護を求めてきた場合、どのように対応しているんでしょうか。

○川口国務大臣

 脱北者であるとあるいはないとにかかわらず、その人が邦人である、日本人であるということである場合には、先ほど申し上げたような、外務省の、日本政府の責務でございますので、対応をそのようにいたしております。

○中村(哲)委員

 それでは、実際問題、日本国籍を有する者、または元在日朝鮮人から、北京大使館や瀋陽の領事館に対して保護を求めるような、そういう具体的な、具体例といいますか、そういう例はあるんでしょうか。あるとすれば、何件あるんでしょうか。

○川口国務大臣

 具体例はございます。ただ、先ほど申しましたように、件数については申し上げられない、そういうことでございます。

○中村(哲)委員

 そこが答えられないと、日本国政府が中国とどのように折衝するのかということが、方針として、私たちは判断しようがないのではないでしょうか。

 例えば、一月二十三日の日本経済新聞があります。そこの中で、二十二日の自民党亡命者・難民等連絡会で脱北者問題への対応が論議の的になったという記事があります。その中で、出席議員の方が、日本には北朝鮮から脱出した日本人を帰国させる権利があるはずだ、中国がこれに応じる義務はないのかと聞いたことに対して、外務省の幹部が、難しい問題だ、本人に会いたいと申し入れているが、会えない状態で、あからさまに中国を批判するのは逆効果ではないかというお話をされております。

 これは、与党の皆さんではなかなかこの公の場では質問されない、できないからこそ私が聞く必要があるのかと思って聞いているんですけれども、やはり、日本国籍を有する者を日本国政府が保護したいと思うのであれば、それをきちんと中国に言う必要があるのではないでしょうか。

○川口国務大臣

 先ほど申しましたように、我が国の邦人、日本人でございますね、日本人が日本の在外の公館に庇護を求めてきた場合、これは日本政府の責務として、その人間を保護して安全を図るということがございますので、そのようにしかるべく対応をしているということでございます。

 それで、中国との関係においては、我が国としてそのように考えているということについては、中国に対して、さまざまな場でそういうお話はしてきているということでございます。

 ただ、問題の性格が、先ほど申しましたように、中国政府の立場もございますし、それから、その人間の北朝鮮に残された家族の安全あるいは関係者の安全といった問題がございますので、またその当人の安全ということももちろんございますけれども、そういうことで、申しわけないんですけれども、具体的なことについてはここでは申し上げられない、これ以上明らかにできない、そういうことで御理解いただきたいと思います。

○中村(哲)委員

 私も、個別具体的なケースについての具体的なことを聞いているわけではなくて、件数なり、そういったことを聞いているわけでございます。

 しかし、このことを詰めていっても仕方がないので先に進みますと、その庇護を求めてきた、保護を求めてきた場合に、具体的にどのような方法をとっているのか。一説によると、外務省は保護を求めてきた邦人に対してNGOを紹介して、極秘に我が国に帰国させているという報道もあります。これは事実でしょうか。

○川口国務大臣

 庇護を求めてきた人がいた場合に、どのような形で庇護を求めてきているか、さまざまな、まさに個別個別の事情がございます。

 したがって、その対応はまさに個別個別で、その件に応じて対応を考えているということでございますけれども、一般的には、昨年の瀋陽総領事館事件というのがございましたので、それを踏まえまして、庇護を求めてきた人間が在外の公館に来た場合、あるいはそのコンタクトをとってきた場合には、そのときの対応については全在外公館に改めて指示をいたしております。それから、そのための、そういうことについては研修も強化をいたしましたし、さまざまな対応についての改善ということを考えて今やっております。

○中村(哲)委員

 私がお聞きしたいのは、NGOへの紹介というものはやっているのでしょうか。

○川口国務大臣

 まさにいろいろな対応の仕方があるということを申し上げたわけでございまして、まさにケース・バイ・ケースで、いろいろな対応を邦人保護という目的に照らして行っているということで御理解いただきたいと思います。

○中村(哲)委員

 私が聞いているのは、そのいろいろな方法の中にNGOへの紹介というものも含まれているのかということを確認させていただきたいわけでございます。

○薮中政府参考人

 まさに個々個別のケースがございますけれども、場合によっては、NGOの方とも緊密な連絡をとってやるのが適切な場合もございます。そういう場合には、そういう形での対応もしている場合もございます。

○中村(哲)委員

 それでは、NGO以外の一般のそういう協力者という人に連絡をとったりするような方法もあるのでしょうか。

○薮中政府参考人

 今のお話は中国においてということでございますか、あるいは日本の話でございますか。

 今の、中国においての場合ということでございましたら、それは、大使館等、いろいろな形で連絡がある、そういう情報を完全に把握して、そして適宜対応するということをやっておりますし、また、もちろん日本でも、こういうケースでいろいろな情報があるということであれば、その情報を参考にさせていただいて、いろいろと我が方としての対応をきちんとやっていくということに心がけております。

○中村(哲)委員

 私が今回このような質問をさせていただいているのは、邦人保護という観点から見て、保護を求めてきた人がどのような方法で保護をされるのか、その具体的なプロセスが見えないといけないというところからこのような質問をさせていただいております。

 そこで一つ、先週問題になりましたというか、週刊誌等で報道されているのが、週刊新潮のこの記事でございます。

 政府は、脱北者や邦人保護に協力する者を中国当局に通報し、逮捕させているということが報道されておりますが、このことは事実でしょうか。事実とすれば、こうしたことをすれば、今後、現地で邦人保護に協力してくれる者がいなくなってしまうということが懸念されますが、そのことについてはどのようにお考えでしょうか。

○薮中政府参考人

 個々個別のケース、そのケースごとにいろいろな対応がございますけれども、いずれにしましても、私どもとしましては、日本人の方、その方の身の安全を一番大事にしておりまして、そして速やかな帰国をする、そのために一番いい方法というのを常に考えております。当然、そのためには中国政府の協力を得なければいけない、出国の許可が要ります、そういう形でさまざまの連絡をするということでございまして、すべては身の安全の確保、そして速やかな帰国のために一番適切な対応を心がけておるわけでございます。

○中村(哲)委員

 答弁が少し抽象的ですので、一つ一つ事実を確認させていただきたいと思います。

 週刊新潮の記事によりますと、一月六日にNGOから、協力者と言われている韓国人Aさんの連絡先を伝えられたとありますけれども、これは事実でしょうか。

○薮中政府参考人

 まさに個々具体的なケースにつきましては、その方の身の安全等々ございますのでお答えできないということで、御了承いただければと思います。

○中村(哲)委員

 私が聞いているのは、この連絡先を教えられて、しかし連絡を外務省がとらなかったんじゃないか、そして秘密裏にこれを処理しようとしたんじゃないか、そのような疑念があるからこそ事実確認をさせていただいているわけでございます。だからこそ、この一月六日にまずNGOが連絡先を知らせたのかどうか、そこから事実の確認をさせていただかないと、本当に適切な保護のやり方をとったのかどうか、そこの検証ができないからこのようなことをさせていただいているわけでございます。

 もう週刊誌で明らかになっていることですから、それを答えてください。

○薮中政府参考人

 今回、いろいろな報道がございますけれども、その背景にいろいろと、私どもといろいろな方々とのコンタクトがあり、またいろいろな情報がございましたけれども、まさに今、中国の中で非常に大事な時期に来ておりまして、個々具体的な個別のケースにつきましては、先ほど申し上げましたように、その方の身の安全、そしてまた、あるいは北朝鮮の中に残っておられる方も御親族の間におられるかもしれない、いろいろな配慮がございまして、個々具体的なケースについて個々具体的な連絡の内容というのは、恐縮でございますけれども、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

○中村(哲)委員

 それだったら議論ができないわけですよ。

 それでは、先ほどの質問に戻りますけれども、この件について中国当局に通報したんですか。中国当局は日本政府からの通報によって逮捕したというふうに報道されておりますけれども、それは本当でしょうか。

○川口国務大臣

 先ほど来申し上げていますように、一人の日本人が日本に速やかに帰国をしていただくために、私どもは全力を今尽くしているところでございます。したがいまして、具体的なことについては今この時点で申し上げることができないということで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

○中村(哲)委員

 大事なことは、この韓国人の協力者と言われている二人の方が逮捕されているということなんです。そして逮捕容疑が、日本国政府に身の代金を要求したということで逮捕されているということでございます。

 だからこそ、この韓国人の協力者の人たちがどのような要求を日本政府にしたのか、それがはっきりわからないと、なぜ逮捕されたのかわからない、韓国の皆さんがそのように考えているからでございます。だからこそ、日本国政府は、今回のケースは身の代金誘拐のケースであると思い、またそれを理由にして中国当局に通報したのかどうか、その事実を確認させていただきたいわけでございます。

○川口国務大臣

 私どもとして、申し上げることができるなら申し上げたいことはたくさんございますけれども、やはりこれは、一人の日本人が日本に速やかに無事に帰ってきていただくということが何よりも大事なことでございまして、今、そのために全力を尽くしているということでございます。

 それで、おっしゃったこの具体的な中身については、今、中国の司直の手で調査をされているというふうに理解をしておりますので、日本政府としてその件についてこの場で申し上げるということは控えさせていただきたいと思っております。

 それから、日本政府が邦人の保護についてきちんとやっているかどうかということをきちんと把握したいということが委員の御質問の一番の問題意識であろうというふうに思いますけれども、これについて、具体的なケースを挙げて御説明を申し上げることができれば納得していただけるかと思いますが、事柄の性格上、そういうことができませんので、私どもがベストを尽くしているということで、ぜひ御理解をいただきたいと思っています。

○中村(哲)委員

 事柄の性質上できないという理由を具体的に述べていただきたいわけでございます。

 中国当局に通報したのかどうか、その事実が、なぜ、帰ってこない、帰ってこれないということに関係してくるのか、わかるような説明をしてください。

○川口国務大臣

 その理由というのは、先ほど来申し上げておりますように、御本人の身の安全、それから関係者の安全、北朝鮮に残された家族の人たちあるいは関係者の安全、そして政府の立場、いろいろ申し上げているとおりでございます。

○中村(哲)委員

 例えば、一月十五日には瀋陽の総領事館に引き渡す、そういう段取りになっていたのではないか、そして瀋陽の総領事館はそれを認識していたのではないか、そのようなことが言われているわけでございます。そうすると、なぜ、延吉、現地でわざわざ、その前日に、というか一日おくれましたけれども、その日に逮捕させる必要があったのか、通報する必要があったのか、そのようなことも言われているわけでございます。

 日本政府の対応が非常に不可解である、そのような報道がなされている中で、その事実の確認と説明責任、きちんと果たしていく必要があるのではないでしょうか。答えていただけないというのは非常に残念なことなんですけれども、もうこのような形で事件のケース自体は表に出ています。そして、このこと自体で、次に、政府が確認することによって、結果にどのような影響があるのか、どういうことを懸念しているのか、そのこともあわせて説明していただけましたら今のような御答弁も納得できるかと思うんですけれども、きちんとした理由を説明してください。

○川口国務大臣

 委員のおっしゃっていらっしゃることは、その週刊誌の記事が正しくて、それが間違っているかどうかということを日本政府が申し上げないと、その記事が正しいということを前提で考えられるということだというふうに聞こえますけれども、先ほど来申し上げていますように、私どもとして、申し上げたいことはたくさんございますけれども、事柄の性格上、というのは、一人の脱北者の日本人の六十代の女性に速やかに日本に帰ってきてもらう、このことが何よりも重要なことであるということでございまして、それが重要である。したがって、個別具体的なことについては、大変に申しわけないんですけれども、これを申し上げるということはできないということをぜひ御理解いただきたいということでございます。

○中村(哲)委員

 私は何も週刊誌に書いていることが正しいというふうに聞いているわけではございません。事実の確認をさせていただきたいと言っていることでございます。これが間違っているなら間違っているとして議論をしないといけないし、すべてのことは事実の確認から議論というのは始まると思います。だからこそ聞かせていただきたいということでございます。

 例えば、ここには、「本誌記者はこのあと、事態の変化を受けて外務省幹部に面会している。一月十二日のことだ。 そこでも、外務省幹部はAさんを誘拐犯と断定できていないことをはっきり明言していた。」このような事実も、一つ、こういう事実があったのかないのか、そういったことでこの引用されたAさんが誘拐犯であったのかどうか、そうでなかったのか、そういうことが外務省の中でどのように把握されてきたのかということがわかるわけでございます。

 だからこそ聞かせていただきたいわけでございますが、やはり、今まで述べてきた御理由で、形式的に、答えることができないということでよろしいんでしょうか。

○川口国務大臣

 これについては、個別具体的にはお答えをすることができないということを御理解いただきたいと思います。

○中村(哲)委員

 そうであれば、事実の確認とそれに対応しての外務省の行動が正しかったのかどうなのか、そういったことが議論できないと思いますが、こういった議論はどのようにすれば議論をさせていただけるのか、こちらは何を用意すれば議論をさせていただけるのでしょうか。

○川口国務大臣

 私どもとして、省内で常に、とった対応についてそれでよかったかどうかということの反省は不断に行っております。これについても、これはまだ解決をしたということではございませんけれども、どこかの時点で省内での検討はするということになると思いますが、私どもとして、やはり邦人保護ということをどうやったら適切にできるかということは大きな課題でございますし、関心事でございますので、それがさまざまな状況に応じてよくできるようにするために常に反省を重ねているということを申し上げたいと思います。

○中村(哲)委員

 非常に残念なお答えですけれども、ここでとどまっていてもらちが明きませんので、報奨金の問題について少し触れさせていただきたいと思います。

 先ほど、さまざまな方法があるという中で、NGOへの紹介もあるということが御答弁されておりました。NGOや邦人保護にかかわった人たちに対して、邦人保護の対価として資金の提供、いわゆる報奨金を提供しているという報道もなされておりますけれども、これは事実でしょうか。

○川口国務大臣

 報奨金とおっしゃる意味がよくわかりませんが、邦人を助けてくれたNGOに対して賞金を出す、そういうような意味でおっしゃっているということでございましたら、ちょっとその意味がよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、具体的にどのような方法で邦人の保護を図るか、特に脱北者の場合に具体的にどういうふうにして行っているかということは、先ほど来申し上げていますようにケース・バイ・ケース、その人の状況によって異なります。

 したがいまして、いろいろな今後の問題、今後あり得べき事態への対応その他、あるいは中国政府の立場、いろいろ先般来申し上げていることにかんがみまして、具体的にどのように対応しているかということについては、個別具体的に、あるいはその態様についてお答えをすることができないということを申し上げたいと思います。

    〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕

○中村(哲)委員

 私は、手数料も含めて、救出には実際費用がかかるわけですから、そういった実費負担も含めて、NGOに何らかの資金提供をしているのかどうか、報奨金という言葉が悪いのだったら、それは賞金という意味で言っているわけではなくて、何らかの資金提供をして協力を仰いでいるケースもあるのかどうか、そのことの事実確認をさせていただきたいと思います。

○川口国務大臣

 我々といたしましては、どのようにしたら邦人の保護が適切にできるかという観点から日ごろベストを尽くしているということでございます。

 例えば、その方が日本に渡ってくるというようなときには渡航費がかかるということでございますね。その渡航費について、例えばその方の親族がいればそういう方に請求するということもありますでしょうし、具体的なことは個別個別、本当にそのケースによる、そういうことでございます。

○中村(哲)委員

 何も答えないということでは非常に困るんですよ。実際お金がかかる活動じゃないですか、邦人の保護というのは。それでNGOに協力を求めるケースもあるのであれば、そういうNGOに何らかの資金を提供するということもあるのかどうか、そこの一点でも答えてくれないと、すべて邦人保護のために外務省はやって、その内容については国会では一切答えられませんということになります。きちんとこのことぐらいは答えてください。

○薮中政府参考人

 今まさに個別具体的な事案でどういう形での予算というか、対応があるかということでございますけれども、例えば旅費の問題ということでございますけれども、そういう旅費の手当て等につきまして必要な場合には、それは予算の範囲内で対応するということはございます。

○中村(哲)委員

 一般論としてNGOに資金提供をすることもあるということでいいんですね。

○薮中政府参考人

 今申し上げましたように、例えば旅費とか、そういう形での必要な場合には、それに対応しているということでございます。それはNGOを通じてある場合もあると思います。

○中村(哲)委員

 それでは、帰ってきた人たちがどのように支援されているのかというお話に移らせていただきます。

 安倍官房副長官、お待たせいたしました。先ほど川口外務大臣の御答弁では、今極秘に帰国されている方は何名かという質問に対しては答えられないというお話でした。そのことも含めて、なぜ答えられないかということを安倍副長官からも話していただきたいとともに、現在どのような支援がこの方々になされているんでしょうか。

○安倍内閣官房副長官

 この件につきましては、既に川口外務大臣からお答えをされていると思います。また、私もそのとおりだと思っているわけでございますが、この帰ってきておられる方々の人数あるいは現在の状況等につきましては、これは極めて機微な問題もございますし、関係国の性格上の問題もございまして、御本人たちの安全をまず確保しなければいけないという私どもの大きな責任もございます。そして、さらには、その方々のいろいろなプライバシーの問題等々もございまして、今この段階では、詳細についてお答えができないということでございます。

 また、どういう政府としての対応ということでございますが、先ほど若干関連して薮中局長また大臣からもお答えをしていただいているわけでございますが、ケース、ケースによって我々対応しているわけでございます。

 ただ、拉致被害者の方々に対する御支援については、議員立法していただきまして、法的な制度は整っているわけでございますが、脱北日本人、また脱北在日朝鮮人の方々については、まだそういう法的な枠組みはないということでございまして、果たしてこの拉致被害者の方々につくったスキームと同じようなものをつくるべきかどうかということについては、いろいろ議論があるということは承知をしております。

○中村(哲)委員

 それでは、安倍副長官、個人的な見解で結構ですので、新たな支援法が必要であるというふうにお感じでしょうか。

○安倍内閣官房副長官

 委員会の場でございますから、私が個人的な、このまさに具体的な問題について見解を述べるということは差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、一般論といたしましては、御指摘の支援の問題につきましては、関係者の身の安全、そして人道上の観点等の趣旨の観点を総合的に勘案しながら、真剣に検討していくべきものであるというふうに考えております。

○中村(哲)委員

 今、在日の方のお話もありましたけれども、川口外務大臣、先ほどは日本国籍を有する者に対する保護のことを聞いておりましたが、元在日朝鮮人の方たちに対してどのような保護の体制をとるつもりなのか、またとってきたのか、そのあたりのところを教えていただけませんでしょうか。

○川口国務大臣

 まず、一般論でございますけれども、外国人の方が我が国の在外公館に庇護を求めてくるということがありました場合には、これは、個々の事案について具体的にその事情を検討した上で、その上で判断をするということでございます。

 そして、在日朝鮮人の方につきましては、外国人ですけれども、その中で、特別永住者として日本に永住することができるということで、一般の外国人とは異なる法的な地位を持っていらっしゃるということでございますので、そうした点を考慮して具体的に対応をする、そういう考え方でおります。

○中村(哲)委員

 それでは、いわゆる脱北者についても、そのような在日朝鮮人の方たちについては保護をする必要もあるし、そういった実績もあるということは確認させていただいてよろしいですか。

○川口国務大臣

 申し上げていますのは、それぞれの方、庇護を求めてきた方について、個別具体的な事情を勘案してということでございまして、その中で在日朝鮮人の方については特別な、別な法的な地位を有していらっしゃるということを踏まえるということを申し上げているわけでございます。

 それで、個別具体的に何を判断するのかということであれば、これは一般的に申し上げまして、申請者の人定というのがございますし、そういった事実関係でございますね、それを確認して、その方の希望というのも伺う、そしてその方の生命あるいは身体の安全が適切に確保されるかというような人道的な観点、それから関係国との関係を総合的に考えるということでございまして、その中で、そういった外国人一般への考え方に加えて、在日朝鮮人の方の場合には違う法的な地位を有しているということをさらに考慮しますということを申し上げているわけでございます。

 過去においてどういうようなケースがあったかということについては、これもまことに恐縮なんですけれども、先ほど申し上げましたように、中国政府との関係とか、それからその方の安全、北朝鮮に残っていらっしゃる家族、関係者の安全ということがございますので、これについても日本人同様、数については控えさせていただきたいと思っています。

○中村(哲)委員

 私は具体的な数を聞いているわけではございませんで、一般的に、日本国政府によって元在日朝鮮人の脱北者について保護しているケースというのはあるのかどうかということをお聞きしているわけでございます。

○川口国務大臣

 あるかないかということでございましたら、ございます。

○中村(哲)委員

 安倍副長官にお聞きしていますが、そのようなあるケースに対して、庇護後、日本としてはある程度支援はしている、そういう体制もあるということでよろしいですか。先ほどの確認なんですけれども、そういったケースもあるということで。

○安倍内閣官房副長官

 今の段階におきましては、種々のケースを勘案して我々も検討をしているということまでしかお答えできないということでございます。

○中村(哲)委員

 このように、何を聞いてもなかなかきちんと答えていただけなくて、実質的に国会で審議をしづらいところがありまして非常に残念なんですけれども、一般論としてのことを聞いているんだから、もう少し答えていただきたい。また引き続いて、この問題については取り組みをさせていただきたいと思います。

 それでは、次に移ります。その他の脱北者について、脱北者一般の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 脱北者が北朝鮮に強制送還された場合、北朝鮮ではどのような措置がとられるのか、とられていると考えていらっしゃるでしょうか。

○薮中政府参考人

 脱北者の方がまた北朝鮮に戻されたときということで、その中で、北朝鮮でどういう形で何が行われているのか、これは私どもにも、きちんと把握はしかねておるわけでございます。

    〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕

○中村(哲)委員

 一切把握していないということでよろしいですか。

○薮中政府参考人

 もちろん、いろいろな形でいろいろな情報というのも伝わってまいりますけれども、その個々具体的なことを含めて、私どもとしてきちんと確認することができないということでございます。

○中村(哲)委員

 北朝鮮の刑法について、資料で、四十七条、百十七条という条文を少し紹介させていただいておりますけれども、四十七条では、「我が国」、これは北朝鮮ですね、「我が国公民が祖国と人民に背き外国又は敵側に逃亡、スパイ行為、敵を利する行為など、祖国に対して反逆行為を行った場合には、七年以上の労働教化刑に処する。情状が特に重い場合には、死刑及び全財産没収刑に処する。」というのもありますし、第百十七条は、「許可なく国境を越える者は、三年以下の労働教化刑に処する。」ということも書いてあります。

 このように、刑法の条文は日本国内でも、私たちでも入手することができる、そういった、このような刑法を見ても、どのように脱北者が扱われるのかということについては、もう少し私たちに説明してもいいんではないですか。どのように外務省が考えているのかということをもう少しきちんと説明してくださってもいいのではないでしょうか。

○薮中政府参考人

 もちろん、北朝鮮の中に、今委員御指摘のとおり、刑法、そういう定めがございまして、具体的にどのケースでどうした罪名になって、そしてどういう罪科が確定するかということ、それは個々具体的に違うと思いますけれども、極めて厳しい状況であることは間違いないというふうに我々も考えております。

○中村(哲)委員

 私がこのような質問をしているのは、いわゆる脱北者の皆さんが、一般的に難民条約上の難民に当たるケースが非常に多いのではないか、そのようなことを議論させていただきたいからでございます。

 資料にもあるように、難民の定義の一番重要な点は、国籍国から迫害を受けるおそれがある者かどうかというところが、難民条約上の難民に当たるかどうかの重要な判断基準でございます。そういったときに、脱北者の皆さんが北朝鮮に強制送還された場合に、難民条約上の難民に当たる者と認定できるのかどうか、そこの判断の材料のために、外務省が脱北者の皆さんについてどのように認識しているのかということを聞きたいわけでございます。

 端的に聞きますと、脱北者というのは難民条約上の難民と言えるのでしょうか。

○薮中政府参考人

 脱北者の場合に、それに該当する場合あるいはそうでない場合、難民の定義からいきまして、それは個々、両方のケースというのはあるんだろうと思います。

 いずれにしましても、問題は、まず脱北者の中で日本人の方がおられる場合には、これはもう絶対にその方の身の安全を確保して、そして日本に無事帰国していただく、これがまず第一義的だと思います。そしてまた、外国人の方につきましても、先ほどの、どういう状況であるのかということ、そしてその全体の状況を見た上で、関係国とも相談しながら対応していくというのが現状でございます。

○中村(哲)委員

 私が言っているのは、北朝鮮に強制送還された場合、脱北者の皆さんはほとんど迫害を受けるおそれがあるのではないかということを聞いているんです。だから、迫害のおそれがないようなケースというのはあるのかどうか、それを聞いているわけでございます。どうですか。今の答弁だったら、迫害を受けるおそれがないケースもあるというふうな御答弁だと思うんですが、いかがですか。

○薮中政府参考人

 まさに、脱北者の場合というので、それが北朝鮮に戻された場合にどうなるか、これは北朝鮮の中の問題でございます。当然、先ほど申し上げましたように、非常に厳しい状況が待ち受けている場合というのは非常に多いと思いますけれども、他方においてまた、脱北者の方で改めてまた出てこられる方、一度北朝鮮に戻って、そしてまた脱北して出てこられる方もございます。そういう意味で、いろいろなケースがあるんだろうと思います。

○中村(哲)委員

 それでは次に移ります。

 中国は脱北者を北朝鮮へ強制送還する内容の議定書を結んでいると聞いておりますが、これは事実でしょうか。

○薮中政府参考人

 そういう話があることは私ども承知しておりますけれども、完全な事実としては確認されておりません。

○中村(哲)委員

 事実としてなぜ把握できないのでしょうか。

○薮中政府参考人

 状況をきちんと把握すべく、日中間でもいろいろな協議を行っております。その中でもさらに確認を求めていきたいというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 それでは、日本国政府は、中国は強制送還をしているというふうにお考えでしょうか、していないとお考えでしょうか。

○薮中政府参考人

 我々といたしましては、まさに、日本側で確認した情報に基づいて、それが脱北者で、私どもがきちんと身の安全を確保すべきときには、中国側にそのことについて非常に協力を強く求めてきておりまして、これまでのところ、中国側から我々への協力に対しては非常に前向きな対応がなされているケースが多いということでございます。

 ただ、全般的に、今の委員御指摘の点につきましては、私どもとして、その全体で中国がどういうふうにすべてのケースについて扱っているかということは承知しておりません。

○中村(哲)委員

 つまり、脱北者に対してどのような措置が中国においてとられているかは外務省は把握していないということでよろしいですね。

○薮中政府参考人

 すべてのケースについて、脱北者のすべてのケースについて私どもが把握しているということではございません。

○中村(哲)委員

 それでは、すべての把握はしていないけれども、一部は把握している。その中で、難民条約上の難民に当たるような人たちに対して強制送還しているように思われるケースはありますか、ありませんか。

○薮中政府参考人

 私どもの把握している限りにおきましては、まさに難民に当たるような場合、これは国際機関もございます、そして、中国側がきちんと対応するものだというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 それでは、中国側はきちんと対応しているというふうに考えているということでよろしいですね。

○薮中政府参考人

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、全部のケースについて私どもが完全に承知しているわけではございません。

 もちろん、脱北者のケースということで、大変多くのケースがあるというふうに思いますので、我々がすべてについて把握するということはできないわけでございまして、今の御指摘の点の、仮に難民の条約に該当するかどうか、そのすべてについての状況ということは把握できていません。

○中村(哲)委員

 私は、すべての場合において把握してくれと言っているわけではございません。把握しているケースにおいて、中国が、脱北者、難民条約上の難民と思われるような脱北者を強制送還しているケースはないのかということを聞いているんです。

 今まで外務省が把握しているケースの中で、難民条約上難民と思われるような脱北者を強制送還しているようなケースはないのか。それについてもう一度お答えください。

○薮中政府参考人

 私どもが把握している限りにおいては、そういうことを承知しておりません。

○中村(哲)委員

 ということは、日本国政府が把握している限り、中国政府は難民条約上の難民と思われるような脱北者を強制送還しているという事実は把握していないということでよろしいですね。

○薮中政府参考人

 私どもの把握している限りということではそのとおりでございます。

○中村(哲)委員

 今後、このような問題についてさらに把握する努力というものはしていくんでしょうか。そして、そのためにはどのようなことをしなくてはならないとお考えでしょうか。

○薮中政府参考人

 この脱北者の件につきましては、中国側ともいろいろな形での協議というのを行っておりまして、そういう中を通じて我々もさらに勉強、努力していきたいと思っております。

○中村(哲)委員

 私は、具体的にどのようにしていくのかということを聞いているんですが、いかがでしょうか。

○薮中政府参考人

 日中の間で領事協議といったものもございます。そうした中で問題を提起して、そして協議を重ねていきたいというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 事ほどさように、ほとんど実質的な答弁がなされないということは非常に残念だと思います。

 一つ具体的な提案をさせていただきます。

 邦人保護や、日本国籍を有していない人たちへの人道的支援の観点から、各国やUNHCRと協力して、このような脱北者についてどのようになされているのかというのを、調査団を派遣するようなことを考えてはいかがでしょうか。また、今後、脱北者が増加されると予測されますが、その対応を容易にするために、現地に難民キャンプを設置するというようなことはいかがでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

○川口国務大臣

 脱北者がふえているようであるということについて、国際社会でいろいろ考えている人たちがいるということはあるかと思いますけれども、こういったことについて、難民キャンプをつくるとか、それから調査団を出すとか、そういったことを国際社会と協調して今行うということは考えておりません。

 ただ、日本としては、我が国の邦人の保護という観点から、中国に出てきた北朝鮮に住んでいた邦人についてはベストを尽くすということでございますし、それから、中国政府との間で二国間で、あるいは他の国との間で二国間で、あるいはUNHCRとも、そういったバイで話をしているということはやっております。

○中村(哲)委員

 なぜ多国間での取り組みということを考えないのでしょうか。

○川口国務大臣

 これは、北朝鮮の人が中国に出てきているということで、邦人である場合を除いて、あるいは何らかの理由で日本に庇護を求めてきているという場合は日本政府がかかわりますけれども、一般的には、中国政府としてどういうふうに対応をしたいかということをきちんと踏まえて国際的に話をしていくということであるかと思います。

 いろいろな場で、UNHCRあるいは二国間で話をするということはしておりますけれども、そういったことを国際的に大がかりにやるということについては、関係国の政府、特に中国政府の立場ということを配慮するということが必要だと思います。

○中村(哲)委員

 時間が参りましたので終わりますが、もう少し積極的な御答弁を今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


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