2002年11月5日
第155回国会 衆議院 法務委員会

案件:法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案
    司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(60分)「法科大学院について」   

この日の法務委員会では、司法制度改革の一環として提出された法科大学院の設置に関する法案と、司法試験の改革に関する法案の2法案について審議されました。

中村は、20代のほぼ大半を司法試験の受験に当て、計5回受験を行いましたが断念しています。また、同世代の友人の中には、アルバイトを続け、厳しい生活に耐えながら受験を継続している者もいるということです。そういう意味で本件は、大変思い入れのあるテーマでしたので、差し替えをお願いし質疑を行いました。

これからの日本が法治国家として成熟していくためには、法曹人口を増やすことが必要不可欠であり、その点で今回の司法制度改革の方向性を評価しています。ただし、その法曹には誰でも挑戦できるよう、広く門戸を開放される必要がありますし、この法案そのものが、改革の理念をきちんと実現するような内容となっているのかどうか、また具体的にどう実現されていくのかが明らかにされていないということもあり、そうした点を中心に質疑を行いました。

最も懸念しているのは学費の問題です。一般に法科大学院の授業料は年間200万円とも300万円とも言われています。育英会の奨学金の場合、無利子で年間約100万円、有利子の場合約150万円貸与されます。両方借りてやっと授業料に達するわけですが、生活費までは賄えません。

これでは金持ちの子弟しか法科大学院を受験できない。ましてや社会人が会社を辞めて受験するなどということな困難になってしまう。これで公平、公正な司法が実現できるのでしょうか。

こうした状況に対し、政府として具体的にどのような手当てを用意しているかということについて、奨学金や国民金融公庫の学資ローンを所管する文部科学省や財務省に確認しました。 文部科学省及び財務省の答えは現在検討中ということでした。

既に来年には法科大学院を受験するかどうか決めなければならない司法受験生が居る状況で、そのような消極的な答えでは、納得できませんでしたが、「速やかに、真剣に検討する」という言葉を聞き、とりあえずその場は納めました。この点については引き続き確認していく必要があります。

また、今般の司法改革では、司法過疎の問題が指摘されています。この問題を解決するためには、法科大学院そのものも、地域にあまねく配置することが望まれます。その点について、政府として地方への優遇策についてどのように考えているかということも確認しています。

その他、法科大学院入学試験のスケジュールや形式、試験の内容、更にはこれまでの大学の法学部はどうなるのか等、今回の改正に関する基礎的な事実について意識して質問しています。これらの点は、特にこれから法曹を目指す方々、或いは法科大学院を受験しようと思っている方々が、最も知りたい内容だと思われるからです。御関心のある方は、是非、その審議議事録の一問一答を読んでみてください。

[2] 質疑項目

1.現行司法試験の問題点に対する森山法務大臣の見解

2.法科大学院
   1)募集要項
   2)全国的な適正配置のための国の支援策
   3)入学試験の形式及び内容
   4)学費及び奨学金制度のあり方

3.今後の法学部教育の役割

[3] 会議録抜粋

○中村(哲)委員

 民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 私は、二十代のほぼ大半を司法試験の受験に当てました。司法試験は私自身五回受けております。家庭の事情で結局それは断念せざるを得ませんでした。  私の同世代の友人の中で非常に多くの人が、まだ依然として受験生活を送っております。  

 九〇年代初頭のバブル崩壊の後、多くの法学部生が、この日本を公正、公平な世の中にしていかなくてはならない、その理想に燃えて法曹を目指して勉強をしてきました。この十年 間、受験者数は非常に大きな増大を遂げておることは、皆さん御存じのとおりでございます。  ある人は銀行員をしておりました。その現場で感じた矛盾、それを法曹となって変えたい、その思いで三十を過ぎても今受験を続けております。また、京都大学法学部の大学院を修了 し修士号を取りながら、またことしも論文試験に落ちてしまったと嘆いている友人もおります。

 大臣、きょう質問通告はしておらなかったのですけれども、一般社会的な感覚から見て優秀だと言われている人たちがこのような形で、就職もできずにと申しますか、受験生活を続け ている中で、社会に隔離されるような状態に置かれながら、もちろんアルバイトをしながら生活の糧を稼いでいる人はたくさんおりますけれども、そのようなぎりぎりの生活の中で一発勝 負にかけている人たちが強いられている状況についてはどのようにお感じでしょうか。

○森山国務大臣

 そのような方々の法曹への情熱ということには敬意を表しますが、それにも限界があるのではないかなと思います。ですから、適当な機会に自分の進路を真剣に考 えられて、方向を定めた方がよろしいのではないかと思います。

○中村(哲)委員

 試験に落ちている人間は自己責任でやっているのだから仕方がない、恐らくそういう趣旨ではないかなと思います。それでは、なぜ現行の司法試験制度を変えて 法科大学院制度をつくるのか、そこの問題意識が不明瞭になると私は思います。

 確かに、現行制度だから、その中でされるのは個人の勝手かもしれない。しかし、そういう感覚で本当に今の時代に必要な制度改革ができるのであろうか。そこを感じていただきたい わけでございます。  

 例えば、現行の司法試験で問題と言われている点として、いわゆる丙案の問題があります。受験開始三年内の人を論文試験において優遇するという制度であります。本当にこの制 度が優秀な法曹を育成するためにプラスになるのかどうか。制度開始から数年たち、もう丙案はなくなることは決まっておりますけれども、この総括も含めて、法科大学院の制度設計を 司法制度改革の中に位置づけていただきたいと思います。

 質問通告はありませんけれども、大臣、もう一度御答弁をお願いできますか。

○森山国務大臣

 今の司法試験、あるいはそれに合格して法曹になられた方々の中に多少の問題を感じたというところが、この司法制度改革の大きな要因だと思います。

 いわゆる一発勝負といいましょうか、試験に受かりさえすればいいということで、先ほど例に出されたような方々が一生懸命に準備をし勉強をして受験した、だけれども、多くの方はう まくいかない、合格する方はごく少しでというような状況でありますので、何とかしてこの試験に受かりたいという気持ちで、受験のためにだけ勉強する、受験の点が少しでもよくとれるよ うにという試験の技術に熱中するというような傾向になってまいりまして、それが、広い視野を持った、人間関係もよく保てる、あるいは人を説得したり説明したりすることが十分できると いうようなことが求められるにもかかわらず、そういうことは二の次、三の次になってしまって、目の前の試験に受かることだけに夢中になるというようなことが全体として非常に大きな問 題だ。  

そういう意識からこのような改革を提案され、そして今私どもが御審議願っているということでございまして、法科大学院は、そのようなことにならないようにするために、ある一定のとき に試験を受けるというだけではなくて、プロセスによって教育をし、その中で直接、少人数の教育で、しかも討論、議論等を中心にした内容のものにしていきたいという考えから、この構 想が出てきたわけでございます。

 おっしゃるような問題点を少しでも解決したい、そういう気持ちからでございますので、先生の御指摘になったことにこたえるものであるというふうに私は思っております。

○中村(哲)委員

 つまり、現実的には現行制度に問題点も多々あるということだと思います。

 伝え聞く話では、論文試験などであらかじめ採点基準を決めている。最近は、考える問題をたくさん出したいということで、その考えてもらうための試験にする、そして、そのための基準 をつくっているということなんですけれども、その基準を変えざるを得ないという話も聞いております。

 というのは、採点基準を決めて何千人という答案を見たときに、ほとんどパターン化し た答案がたくさん出てきて、最初の基準では引っかからない人ばかりになってしまう。これじゃ採点ができなくなる。どうしても多くの受験生が書いている論点に点を振らないといけな い。そういうことになっているのではないか。それは司法試験の制度としては本末転倒であると思います。

 現行の司法試験制度の運営のあり方。法科大学院の卒業生が出てくるまでにもまだ時間がありますし、また、経過措置も五年間あります。その間は現行の司法試験制度も残るわけ ですから、現行司法試験制度の運用の見直しも内部で行っていただきながら司法制度改革を進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○森山国務大臣

 現行の司法試験が問題がある、それも検討しろというお話でございますが、それは当然、毎年新たな問題を考えるわけですし、考査試験もするわけでございますの で、そのようなときに、今の世の中にふさわしい法曹が出るように、この場合も努力していっていると思います。

○中村(哲)委員

 非常に積極的な答弁をいただきましたので、引き続き運用の改善もお願いしたいと思います。

 それでは、質問通告をさせていただいた質問に入らせていただきます。 私は、本日、法科大学院の入学試験、そして法科大学院の内容を中心に質問をさせていただきます。

 まず、法科大学院の入学試験はいつなされるのか。募集要項はいつ出されるのか。今法曹を目指されている学生さん、また法科大学院に入学したい学生さんたちにはそれが一番大 きな関心事だと思いますので、確認させていただきたいと思います。

○河村副大臣

 この法科大学院の設置認可は十二月ごろが予定されておりますので、入学試験はそれからになるわけでございます。

 一般の大学院は、御承知と思いますけれども、 大体十月ごろに、前年度やってしまいます。そして四月入学ということでございますが、この法科大学院については、最初の設置認可、特に初年度はそうなりますので、当然募集要項 についても大学院の入学者選抜が行われる二カ月前までには発表するということで今進んでおるところでございます。

○中村(哲)委員

 つまり、二〇〇三年の十二月に認可が出る、そして入学するのが二〇〇四年の四月ですから、その間に初年度は試験がなされるのではないかという話だと思いま す。そして、例年は、普通の大学院の場合は十月ぐらいになされることが多いので、それぐらいになされることになるのではないか。うなずいていらっしゃるので、答えは聞かずに、次の 質問に移らせていただきます。

 法科大学院を検討している大学は幾つぐらいあるのか。いかがでしょうか。

○河村副大臣

 多くの大学で法科大学院設置について御検討いただいておりまして、各大学の自発的な取り組みを文科省としては尊重しているわけでございますが、設置基準を満 たしていただければ、これは広く参加していただきたい。先ほど議論もございましたが、適正配置の問題もございます。

 現時点で、直接照会、相談にお見えいただいた、御相談をいただ いた大学等は約五十件程度でございます。

○中村(哲)委員

 五十件でいいのかどうかというのは、自発的な取り組みですから、多いか少ないかというのは国が指導するわけにもいかないでしょうから、五十件ということを想定 しながら質問をさせていただかないといけないなと思っております。そして、そのときに関心として出てくるのが、全国にあまねく法科大学院を設けていく必要があるのではないかという ことでございます。

 昨日、十一月四日の朝日新聞に、全国に法律サービス拠点を設ける、政府が検討、司法過疎解消目指すという記事が出ております。このことと関連して、ゼロワン地域をなくしていく ためにも、やはり全国に法科大学院をつくって、その出身者がその地域で法曹として活動していける、そういう仕組みをつくるべきなんじゃないかなということを私は感じます。

 小泉総理も十月二日に、司法制度改革推進本部顧問会議第六回会合のあいさつ趣旨で、全国あまねくリーガルサービスが必要であるということも述べられております。  地方への優遇策ということが必要になってくるのではないかと思うんですけれども、森山大臣及び文部科学省にお伺いいたします。

○河村副大臣

 先ほども御答弁申し上げましたが、法科大学院の設置については各大学の自発的な創意、これが基本でございます。同時に、法曹教育の根幹をなすための適正な教 育水準をいかに保つかということが非常に大事になってまいります。

 そのことを中心に置きながら、どうしても大学が大都市に集中いたしておりますので、その点から法曹人口そのものが地方に少ないということであって、そのために、法科大学院をつく ろうとする場合の、いわゆる実務家教員といいますか、スタッフの確保等々、いろいろ御苦労があるわけでございます。そういうことも十分配慮をしながら、しかし、あくまでも教育水準だ けは確保してもらうという前提で、多元的な、できるだけ全国に法科大学院ができるような取り組みについては、文科省としてもこれを支援したい、このように考えております。

○中村(哲)委員

支援したいという力強い御答弁を伺ったと思います。  

つまり、その地域に本当はつくりたいんだけれども、創意工夫をしているんだけれども、なかなか自分たちの力だけでは及ばない、だから相談に乗ってほしい、そういう相談、申し出が あったときに文科省としては力強く支えていく、そのように考えてよろしいですか。

○河村副大臣

 いわゆる司法制度改革審議会の意見においてもそういうことが指摘されております。

 当然、情報をいろいろ教えてあげるとか、そのためにできるだけできやすい形で御 支援を申し上げる。あるいは、一つの大学だけではなかなかそろわない、そうすると、二つの大学が一つになっておつくりになったらどうでありましょうかとか、そういうような提言をさせて いただく。いろいろ努力をしてみたい、このように考えております。

○中村(哲)委員

 予算措置などでの協力はいかがでしょうか。

○河村副大臣

 今どういう形で支援をできるかについて検討中でございますが、できるだけ適正配置ということを考えながら、そうした財政的な支援等々については十分考えられるの ではないか、このように考えております。

○中村(哲)委員

 財政的な支援も考えられるという、本当に誠実な答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 それと同時に、過疎地対策としては通信教育ということも考えられるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○河村副大臣

 授業そのものに、インターネット等、衛星通信、そういった多様なメディアの活用ということは、これは社会人等々の方々には非常に学習需要にこたえられる有意義なも のだというふうに考えますが、ただ、そこまで中村先生お考えかどうか、通信制のものをつくるというところまで今の時点では制度設計ができておりませんので、いわゆる手段としての効 用といいますか、そういうものは大いに可能ではないか、こう思っておるわけでございますが、これについては、どのような形なら適用できるか、さらに検討を要するのではと考えており ます。

○中村(哲)委員

 意見書の方にも「夜間大学院や通信制大学院を整備すべきである。」との意見が載っておりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 英会話学校などでは、インターネットを使って、またテレビ電話を使って教育がもうできておりますので、そういったものも活用しながら、過疎地の人たちが近くに法科大学院がないから 法曹になれない、そのようなことを排除していただきたい。

 もうITで補えるところは補えるんですから、そこは十分に活用していただきたいと思います。うなずいていただけましたので、次 に行きたいと思います。

 法科大学院の入学試験について伺います。法科大学院の入学試験というのは、どのような形式になるのでしょうか。

○河村副大臣

 法科大学院の入学者選抜につきましては、単なる法学的知識ではなくて、いわゆる法曹としての適性を問う、判断力でありますとか、思考力、分析力あるいは表現 力、この適性検査をまずやる。そしてまた、各大学院においても、小論文や面接等を実施して、学業成績がベースになっておりましょうが、学業以外の活動実績、あるいは社会人として の活動実績等も総合的に考慮できるものというふうになっておりまして、法曹の多様性を確保して、各法科大学院においても、社会のさまざまな場面で活躍する法曹が養成されること が望ましい、こう考えております。

○中村(哲)委員

 確認なんですけれども、適性検査というのは適性試験のことだと思うんですが、その適性試験を含めて考えられるものというのは、まず共通の適性試験がある、そし て各大学ごとに面接や小論文を行い、かつ、先ほどおっしゃった学業成績、また社会人としての実績なども考慮をしながら総合的に判断される、そのように考えてよろしいですね。

 そういうことだとおっしゃっていますので、その適性試験の問題というのは、どこがつくることになるんでしょうか。

○河村副大臣

 適性試験でございます、適性検査と申し上げましたが。

 適性試験については、今、大学入試センターから、また日弁連の関係財団がその実施に向けて準備をされているというふうに伺っております。

○中村(哲)委員

 モデルになっているアメリカの場合は、どういうところがつくっているんでしょうか。LSATですね。

○河村副大臣

 アメリカの場合は、ロースクール・アドミッション・カウンシルというところが実施しておりますLSAT、いわゆるロースクール・アドミッション・テスト、ここにおいて、いわば 選抜の資料の一つとして活用されているというふうに伺っております。

○中村(哲)委員

 大学入試センターを想定しているという話ですけれども、大学入試センターは大学入試じゃないかと私は感じておるんですね。

 私は、実は大学入試センター試験の 一回目を受験しておりまして、そういうことからしてもすごくなじみのある試験ではあったんですが、その実施機関、大学入試センターがこの適性試験をやるというのは何かちょっと違うの ではないかというような感覚を持つんですが、そのあたりの点は問題はないのでしょうか。

○河村副大臣

 大学入試センターが法科大学院の適性試験をやることについていかがであるかという御指摘でございますが、大学入試センターは、既に御案内のように、国から一定 の距離を置いた独立行政法人という形で、もちろん、現時点でやっているのは大学入試のことでありますけれども、これについてはもう二十年の歴史を持っている、実績を持っておりま すから、そこに、もちろん今のスタッフがそのままということじゃなくて、今までやってきたことを生かして、組織を生かして、そこへ適性試験にふさわしいスタッフをそろえて、そこで適性試 験をやっていただいたらどうだろうと。

 もちろん、法曹、日弁連等も第三者機関を考えておられるようでありますから、そういうものもできることも望ましいことだというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 ちょっとイメージがわかないのは、適性試験を実施する機関が二つあれば、二通りの試験が適性試験の場合に起こってくる可能性があるということなんでしょうか。

○河村副大臣

 これは、二つできた場合にどっちを選ぶかという問題があろうと思います。これは、恐らく制度の問題、中身の問題になってくると思いますね。

 これは、これから始めることでありますから、そういうものを生かして今後また司法試験をお受けになる、そうした結果との相関性はどうであろうかとか、ある程度実績を積んでいかない と何とも言えませんが、まさに、少なくとも両方、これはどちらでやられてもという評価であれば、受験者がどちらをお受けになってもいいという制度設計になれば、私はそれはそれで結 構ではないかというふうに思うんです。

○中村(哲)委員

 おっしゃることはわかるんですが、手続的なことをそれじゃちょっと聞かせていただきたいんです。

 事前にお話を担当省庁から伺ったときに、手続的には、現時点では法科大学院協会設立準備会ということになると思うんですけれども、そのような法科大学院の集まりが委託すること になるんではないかというふうに聞いておったんですけれども、そこがもし委託するのであれば一つに限られるのか、それとも、大学院ごとに選べるように複数委託して、その中で各大 学院が選ぶことになるのか。そのあたりの整理はどのようになっているのでしょうか。

○河村副大臣

 まだ明確に決まっているわけではございませんが、今おっしゃった準備会が今、実は、大学入試センターと日弁連の法務研究財団の両者に対して適性試験に係る調 査研究の依頼をなされておるところでございまして、その結果を踏まえて、それが適性試験をやる実施機関としてふさわしいかどうかという評価をいただいて、そして各法科大学院へ推 薦するということになっておりますから、これはどう見てもこっちの方がいいんだということになればそちらを推薦するということもありましょうし、どちらかをやっていただいて、あとはまさに 法科大学院間でいわゆる教育の内容を競争していただきたい、適正であるということになれば、どちらか大学側でお選びください、こういうこともあり得るだろう、このように考えます。

○中村(哲)委員

 つまり、適性試験の実施機関は一つの場合もあるし複数の場合もある、それは準備会なり設立後は協会の方が自主的に判断して決めることである、そのように考 えてよろしいですね。そうそうとおっしゃっているので、次に行きたいと思います。

 次に、適性試験から各大学院の入学試験までの流れというものはどのようになるのか。と申しますのは、法学部出身者と他学部出身者と同じ条件で同じ試験を受けて入学が決まる のかどうかというところの整理も含めてお聞きしたいと思います。

○河村副大臣

 適性試験を受けるところまでは一緒でございますが、法律を専門にやってきた方々には、二年に短縮ということになっておりますから、いわゆるこれまでの法律知識の 試験をあわせてやるということになっております。

○中村(哲)委員

 つまり、適性試験をまず受けますよね。その後に、その適性試験を指定している法科大学院、恐らく数校あると思いますが、その数校に願書を出す、そして各校の 入学試験を受ける、入学試験自体の判定は適性試験と先ほどおっしゃったような総合的な判断で決まる。

 一方で、三年を二年に短縮するという試験は入学合格者を対象にして別途行 う、そういうことでよろしいんですね。

○河村副大臣

 出願の時点で、いわゆる法学既修者と法学の未修者がおられるわけでございます。そこで、法学既修者については、適性試験とあわせて法学の基礎知識を問う試験 が課せられるということになるわけであります。

○中村(哲)委員

 ここは大事なところなので確認をさせていただきたいんですが、まず、入学試験自体が法学履修者とそうでない者で定員が分かれるのかどうなのか。

 事前の説明で は、入学試験自身は、法学部出身であってもそうでない者であっても、法学を学んだ者であってもそうでない者であっても、まず三年間の期間の法科大学院の試験として関係なしに試 験される。そして、それは同じ日に入試をやるのかどうかということは技術論としてはあると思いますが、一定の法学知識がある者というようなことを入学合格者対象に別途判断して、その試験をクリアすれば二年に短縮する。その二年に短縮される人も、法学部出身者というのではなくて、その試験において法学の知識が一定程度あるという者を対象としている。

そのように私は事前に説明を受けているんですけれども、いかがでしょうか。

○河村副大臣

 これは、法科大学院へ受験をする場合に出願しますね、そこではっきり申告をしていただくわけです。

 例えば、経済学部なりあるいは医学部の出身でも、もう私は十分 法学も一緒に勉強してきた、自信がある、それで二年で行きたいと言われれば、そちらを選ばれれば、法学の知識の試験も一緒に受けていただくということになるわけです。

 それから、先ほどちょっと御指摘になりましたが、その比率をどういうふうに選ぶかというような問題があろうと思いますが、これはもうそれぞれ法科大学院の自主性といいますかそれ に任せて、こちらの方から何割がこれでしなさいとかいうことは考えていないわけで、各大学院の自主性に任せるということになっております。

○中村(哲)委員

 それは私が事前に聞いていた話と違うんです。三年の履修期間というパターンが原則であって、その三年の合格者をまず決める。その中で、入試のときに法学履 修の検定試験もやる場合もあると思いますよ、それは大学によって検定の仕方というのはいろいろあると思いますけれども、三年間を二年に短縮するのかどうかというのは別の試験で やると。

 だから、あらかじめ枠を決めるという話ではなくて、まず定員数を適性試験プラス小論文、面接などを含めた総合テストで決める、そしてその合格者を対象にして、その試験が入 試の日にやるのか後日やるのかは大学の判断でしょうけれども、その後で二年に短縮する人というのは別の試験で短縮すると。

 だからこそ、入学試験の出願申請の段階では、ある意 味で、後で二年に短縮するのはだれかわからないわけですから、定員枠は設けていない。そのような制度だと私は聞いているんですが、いかがでしょうか。

○河村副大臣

 委員御指摘のとおり、原則は法科大学院は三年制だとしているわけですね。二年制のコースもあるわけです。これをどういうふうな割合にするか、どういうふうに決める かについては、法科大学院の判断によってお決めいただいたらいいということになっておるわけです。

○中村(哲)委員

 確認なんですが、最初の段階で、入学試験の合否の段階で二年のコースと三年のコースときちんと分けて募集要項に書くということでよろしいんですか。

○河村副大臣

 その問題についても各大学院の独自性でおやりいただくということで考えております。だから、最初からきちっと分けてやるところもありましょうし、一緒にやるところもある。

 ただ、適性試験でおしまいの方と、いわゆる法律基礎試験を受ける方と、両方もちろん出るわけでございますが、そこの仕分けについては各法科大学院の判断にお任せしたい。

○中村(哲)委員

 私は何でこんなにこだわっているかと申しますと、入学試験自身が法的な知識というものを加味して行われるのか、そうでないのか。

 例えば法律履修者という枠をつ くってやるのであれば、そっちに申請していても、三年というコースの中では通っていても、法学の知識がないから落ちるということもあるわけですよね。募集要項の時点でそれを分けてやるのか、そうでないのか。

 私が事前に聞いていたのは、まず三年の試験をみんな受ける、受かった人を対象にして二年に縮めるかどうかというのは別途試験で判断する。私はこの方が合理的だと思うんですね。私、事前にもそのように聞いているんです。いかがでしょうか。

○河村副大臣

 原則はそれが基本になるだろうというふうに思います。

 しかし、大学院によって、もう最初から試験をそういうふうに分けてやることも現時点の設計では可能だというふう になっております。

○中村(哲)委員

 そうすると、適性試験を受けながら、論文試験と面接をしながら、かつ法的な知識も加味して入学試験を行う大学も出てくる可能性はある、入学の合否判定におい てですよ、それも可能であるということでしょうか。

○河村副大臣

 できるだけ大学院の自主性に任せたいと思うんですが、さっき申し上げたように、入学試験はあくまでも、適性試験というんですか、これが最大問われるわけですね。 そこでは、法律的な要素ではなくて、法律的要素を問えば法学部でやってきた方が当然有利になりますから、本当の法曹の適格人材かどうか、まず基本的なところを見ようというのが適性試験。

 今委員の言われたように、それでまず選んでおいて、二年を希望する人にはもう一度さらに試験を課するというやり方もありましょう。  

 どちらにしても、適性試験は全員受けていただくということが大前提で、二年コースを選ぶ人が法律的な基礎要素の試験をさらに追加で受けていただく。それが同時になるか明くる日 になるか、その日に一遍にやるのか、そこら辺はもう大学院の側の判断でやっていただきたい、こういうことになると思います。

○中村(哲)委員

 これ以上議論をしても仕方ないんですが、それなら、法案審査をするときの事前に省庁と打ち合わせなり、実質的な審議をするためにやりとりをすることの意味自体 が問われるんじゃないかと私は思いますが、そんなことを幾ら言っても仕方ないので、次に進みます。

 適性試験を受け、その後複数校に出願をすることができると。その複数校の受験が可能な場合、滑りどめというところで、早く合格をしたところに例えば入学金を払い込まなくてはなら ない。その払い込みについては、滑りどめの場合は後で返してもらうとか、そういったことを検討すべきではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。

○河村副大臣


 今の御指摘の問題は、今までの入学試験で相当問題になってきたところでございまして、大学も、経営上できるだけたくさんの人に受けていただいて、入学検定料以 外にも入学金も取る、施設整備費も取る、もっとひどいのになると授業料まで取ったというケースがあって、これはもう大問題になったわけでございます。  

 現時点で、授業料とか施設整備費等に関するものは、両方受かった場合にどちらかに入れば返却するということになっておりますが、恐らく、大学院側にとっても定数確保という問題 がありますから、あらかじめ定数を確保するための予約金的なものは求めていくのではないか、こう思っております。

 ただ、できるだけ、費用負担の低減というのは必要なことでありますから、ぎりぎりのところまでは、返却できるものについては返却してもらう。ただ、いわゆる学生確保のための予約 金程度のところまでは認めざるを得ないのではないか、こう思っております。

 そういうことのためにも、法科大学院に入るための経済的措置については十分対応していかなきゃいかぬ、このように考えておるところでございます。

○中村(哲)委員


 副大臣、入学金が、例えば百万で済めばいいけれども、二百万、三百万というところが出てくる可能性があるわけですよ。早く受験だけさせておいて、滑りどめの学 生だけ確保する、そういうふうなケースになったときに、果たしていいのかどうか。

 普通の大学と違うのは、これは専門職大学院です。法曹になる人というのは基本的にこの法科大学院 に行くわけですよね。そういったところで、二百万、三百万のような入学金を取って滑りどめをさせなくちゃいけない、そういう制度を果たして許すのかどうか。  

 今、御存じのとおり、大学の入試でさえこの入学金の返還訴訟というものが起きております。どういった思想で、入学金を払い込ませての滑りどめをしてもいいというふうに大学に認め るのか、そこが問われると思います。それは、この法科大学院に進まれる人たち、個人の人たちにどのような金融的なケアをするかという問題とも大きくかかわってくるわけですよ。  

 今から議論させていただきますけれども、育英会の問題や、また国民金融公庫の問題、その融資枠を幾らにするか、その検討のときに入学金が幾らになるかわからない、そんな査定 では、金持ちしか法科大学院に行けないということになるじゃないですか。金持ちの子供しか行けない。そうして本当に公正、公平な世の中をつくれるのかどうか。  

 今の私学の医学部の問題というものは、みんな承知のとおりです。「ブラックジャックによろしく」という漫画が今大ベストセラーになっております。専門職につくために多額のお金が必 要であるとすれば、それは日本の社会が階級化していくということでもあります。そこは強く検討していただきたい。  

 では、議論を続けていきたいと思います。  入学金そして授業料、こういった学費は幾らぐらいになりそうなのか、モデルとなっているアメリカではどうなのか、あわせて伺いたいと思います。

○河村副大臣


 入学金、授業料がどのぐらいになるかというのは一つの大きな課題、関心事だというふうに考えておりまして、法科大学院の授業料については、各設置者といいます か、各大学、法人側の判断に従って設定されることになっております。  

 現時点で試算はいたしておりませんが、アンケートをとって、これは文部科学省というよりも、司法制度改革推進本部が公私立大学に対してお願いをしたものでございますが、これに よりますと、これに回答してきた大学が四十七大学あったわけであります。昨年の十二月に公表されたものでありますが、百万円以下でやるということを検討されている大学は五つ、百 万円から二百万円の間が二十六、二百万円を超えるものを検討中、まあ三百万までだと思いますが、これが十六大学という結果が出ております。  

 現段階でどの程度になるかということはまだ把握しがたいのでありますが、法学系の修士課程の授業料よりは割高、高額になるということが今想定をされておるところでございます。  

 アメリカでございますが、ロースクールの学費は、これはちょっとデータが古いんですけれども、平成十一年、そんなに変わっていると思われませんのでそれを申し上げますが、州立大 学が平均九十九万八千円といっておりますから百万、それから私立大学が年額二百七十一万九千円というんですから二百七十二万、これが平均になっております。

○中村(哲)委員

 そのような試算がなぜ必要かというと、金持ちじゃない子弟でもきちんと法科大学院に行けるような奨学金の制度、スキームをつくらないといけないというところから なんですね。ある意味、授業料が幾らになるのか、入学金が幾らになるのかといったら、市場原理の話かもしれません。

 しかし、きちんと機会が保障されるためには、国の方で賄える仕組みをつくれるのかどうか、そこが問われるわけでございます。だからこそ、査定も必要だし、そのような仕組みづくりも必要なんだと思います。

 今、副大臣おっしゃいましたけれども、アメリカの場合であれば、各種の奨学金制度が充実しております。民が主導した奨学金制度もたくさんあります。篤志家も、自分の出身大学の学生に対して奨学金を設けたり、直接自分の出身大学に寄附をする、そのような形でお金を回していっているのがアメリカの姿だと思います。

 そんなことを考えると、日本の場合、どのような奨学金の仕組みにするのか、まず理念を問わなくてはなりません。金持ち以外でもなれる、つまり、個人の収入として幾らあったのか、個人の資格で奨学金がもらえるかどうかを決めていく、このような仕組みにしていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○河村副大臣


 お話のように、当然個人の資格で得られます。当然それは大事なことだというふうに思います。

 そこで、私の基本的な認識からいきますと、奨学金が必要だと言われる方には、その制度があまねく受けられるような制度設計にすべきだろうというふうに、これは今の大学について も私は同じように考えているんですが、そういう基本的な認識に立ってこの制度を設計すべきだ、このように考えています。

○中村(哲)委員


 私が質問をするということをメールマガジンで流した後に、今受験をされている三十五歳のサラリーマンの方から意見をいただきました。  

 その意見の中では、私たちが大学院に行こうとしたら、その企業に対して将来プラスになるのかどうか、そういうことをきちんとプレゼンテーションしないと認められない。もしそれにかなわなければ私たちはやめて行かないといけない。しかし、三十半ばになって、子供も二人いている。その中で全く生活がそれで成り立っていかないのであれば、その時点で法曹になる 道を断たれてしまう。だから、将来きちんと返すということを約束して、それは約束して、しかし、子供を二人抱えながら、妻も養いながら、キャッシュフローとしてはきちんと手当てをしても らえるような、そういう仕組みにしないといけないと私は考えます。副大臣の意見もそのようなお気持ちだということを確認させていただきたいんです。

 それと関連して、日本育英会の奨学金というものもどのようになるのか、あわせて副大臣に伺いたいと思います。

○河村副大臣


 生活者の皆さんにどうするかという問題も当然、年齢層が高くなれば出てきましょうし、一般の貸与基準にプラスアルファして別途貸与するという方法も、今の育英制度 の中にはございます。これは、二十万とか三十万とか、そんな大きい金額ではありませんが、プラスして乗せるということも今の制度上ございます。

 それから、これは専門職の大学院ですから、今の大学の修士課程、それから博士課程でもらっておられる方々がおられます、大体その辺が一つの目安になって決まっていくというふ うに考えております。

○中村(哲)委員


 それでは、この首都圏では家賃も出ないような状態になるのではないでしょうか。  十三万掛けるということは、百五十万ほどですか。そういった額で本当に足りるのかどうか、そんなようなところはいかがお考えでしょうか。

○河村副大臣

 無利子奨学金の年額は百二万、それから有利子奨学金は、上限の月額、一番多くを選択した場合で百五十六万ということですが、それではさらに足らないという方々 には、プラス有利子奨学金もあわせてやれば、併用貸与制度でやれば、修士課程で二百五十八万まで受けられることになっております。

○中村(哲)委員

 それでもやはり授業料ぐらいしか出ないということになると思います。だからこそ、国民金融公庫の融資の額を引き上げるなどの措置が必要なのではないかというこ とになってくるんです。

 財務省に伺います。日本育英会の奨学金を拡充するためにも、予算を拡大する必要があるのではないか。そして、日本育英会の独立行政法人化が検討されているけれども、それに ついて財務省がどのように考えているのか。まず、その育英会に対する財源措置について、財務省に伺います。

○田中大臣政務官

 お答えをいたします。

 日本育英会においての法科大学院の学生に対する奨学金についてどのように対応するかというお尋ねでございますが、その財政措置をどうするかについても、今後具体化される法 科大学院の実情というのを十分踏まえていかなければならない、こう思っております。

 今、委員の御質問の趣旨は、私も実は過去に日本育英会の奨学金をいただいた学生であった時代もあるわけでございまして、十二分によく承知をしているつもりでございますが、今 後、当局、関係者等と打ち合わせをしながら、真剣に検討をしていかなければならないと思っております。

○中村(哲)委員


 真剣に検討していただくということですが、奨学金の額の拡大があるのかどうか、そこはきちんと言及をしていただきたいと思います。  

 あわせて、国民金融公庫の融資額は今現在幾らなのか、そして、法科大学院制度をつくることによってこれを拡大していく必要があるとお考えなのか、まずそこを御確認させていただ きたいと思います。

○田中大臣政務官

 国金の年間の貸付限度額は、現在、平成九年度から、学生や生徒一人当たり二百万円以内ということになっております。ちなみに、平成十三年度の平均貸付単 価は約百三十万円、こういうことになっておるわけでございます。

 今、法科大学院の学生についての奨学金の制度等に言及があったわけでございますし、国金の貸し付けについても、そういうことになれば、その時点で関係者とも相談をしなければ ならないと思っておりますけれども、これは、今の時点ではまだ具体化しておりませんので、今後の課題、このように承っておきたいと思います。

○中村(哲)委員


 田中政務官とお話しさせていただいて、それでは、まず大前提をお伺いしたいと思います。

 田中政務官は、先ほど私が、金持ちしか行けないような法科大学院ではおかしい、そういうふうな主張をさせていただいたときに、うんうんとうなずいていただいていたわけでございま すから、今の制度では現実的に法科大学院に行けないという人に対して、そういう人たちを少しでも減らしていく、そういった意味で財務省としては取り組んでいきたいという御決意がお ありなのかどうか、まず、そこだけ確認させていただきたいと思います。

○田中大臣政務官

 まず、恐縮でございます、年間二百万と言いましたけれども、貸し付けの総額が二百万でございましたので、訂正をしておきたいと思っております。

 今のお話についてでございますけれども、私も先日この委員会で御答弁をさせていただいたのですが、貧しいゆえに法曹を目指す人たちの勉学ができ得ないということは、答申にもな されたように、重大な問題でございまして、やはりその資金の手当てをどうするかということは、財務省にとっても当然重要なことだ、国の将来を考えるときに極めて重要なことだ、このよ うに思っております。

 ただ、先ほど来からお話ございますように、まだ今検討されている段階でございまして、具体にどのようにするかということは今後の事項だと思っておりますけれども、私自身、これは やはり真剣に検討しなければならない、このような思いを持っております。

○中村(哲)委員

 真剣に検討しなくてはならないというのは、私にとっては甚だ残念な、不十分な御答弁だなと感じております。現実に、もう再来年からは法科大学院の入学者が生 じるわけですよ。そのときに、自分が会社をやめて、子供を二人抱えて、法科大学院に行っていいのかどうか、そのことはもう来年、サラリーマンの皆さんは決断を迫られるわけですよ。

 この国が本当に人に投資することにシフトできるのかどうか。財務大臣は、「人間力向上、それから科学技術の振興ということを重点の一つに入れておりまして」と本会議でも御答弁な さっております。我が国が、物をつくることに投資する、そういう国から、いや違うんだ、二十一世紀は情報化の時代でもあるし、人への投資が非常に重要なんだ、そういうことを考えるの か、今、その岐路に来ていると思います。  政務官、どうですか。

○田中大臣政務官

 委員の御質問の趣旨は私も十二分に承知をしておるつもりでございますし、理解もしておるつもりでございます。

 ただ、財務省の当局の立場ということになってまいりますと、やはりどうしても数字をはじいていかなければならないということが出てまいります。そういうことで、責任ある答弁につい て、実は数字をもって、まだ関係の皆さんとの協議、また申し入れ等ございませんので、今後詰めていかなければならないことが山積しておるわけでございます。

 ただ、大臣の発言もあったということを今御紹介いただいたわけでございますが、私もそのとおりだと思いますし、既に答申の中でも十二分にそのことについては強く指摘されておりま して、私どもも、本当に重ねて、速やかに、真剣に、そのときをひとつ迎えるために準備をしてまいりたいと思います。

○中村(哲)委員


 かなり積極的な答弁、意気込みを聞かせていただいたんではないかと思います。財務省としても真剣に取り組んでいく、財務大臣に頑張っていただく、そういうこと で次の質問に行きたいと思います。

 時間がありませんので、質問の順番を変えまして、法科大学院ができることによって従来の法学部はどのように変わるのか。例えば、法科大学院を擁する大学の法学部と法科大学 院を有しない大学の法学部はどのような違いを持つのか。いわゆるリーガルマインドを学ぶことの意義が見出せる場としての法学部としての位置づけとするのか。

 今までの法学部という ものが法曹養成の役割を担っていたことも事実です。もともとそのような趣旨で法学部はできたはずでございます。ここのあたりの整理をどんなようにするのか、政府から見解を伺いまし て私の質問とさせていただきます。

○河村副大臣 

極めて重要な御指摘だと思います。

これまでの法学部教育というのが、いわゆる基礎的教養教育とか、あるいは法学教育とか、その役割が十分明確でなかったのではないかという指摘もあったわけでございまして、法 科大学院が法曹に特化してそちらの方へ移っていくということによって、それ以外の法学部の役割というのが強く出されるということで、法的素養を中心にした教養教育、これに重点的 にシフトできましょうし、複数の専門分野を同時に履修できるようなカリキュラムというのも含まれる、それから、法曹以外の法律関係の専門職の養成を中心にやれるというようなことで、 これは各大学もそれに向けて努力をいただかなきゃなりません。

 卑近な例で申し上げてあれでございますが、私も、法曹にたくさん人材を送り込んでいるある大学の学部長から、法学部の三年、四年の授業がやりにくいんだ、現場にもう学生がいな くなる、法曹に行くために予備校に行ったりとか自宅研修、自分でやってしまっている、これで非常に困っておるんだということからも、今回の法科大学院の設立を非常に歓迎する言葉を 聞いております。

 そういう意味で、私は、充実した法学教育ができて、その方面に生きるいわゆる法曹だけじゃなくて、その法学素養を生かした場所というのはあるわけでありますから、法学部教育と いうものが充実していく、このように確信をいたしております。

○中村(哲)委員

 時間が参りましたので、終わらさせていただきます。ありがとうございました。



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