2002年6月27日
第154回国会 衆議院 総務委員会

案件:日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(60分)「信書便法案について(2)」   

前回の総務委員会質疑に引き続き、信書便法案について質問に立ちました。前回の質疑では、信書は基本的な通信手段である、という点で総務省と見解が一致しました。

今回、電気通信よりも基本的で重要である理由をたずねると、パソコンなど特別な装置が要らないから、とのことでした。具体的には、人間の一番基本的な能力である、目で見て読むことができるから、と考えます。信書といえるには、@文書であること、A受け手が特定されていること、B送り手の意思が通知されていること、が必要と今回の政府案では明記されました。

このうち@について、たとえば、冷蔵庫に貼り付けられた説明書に、販売店の店主が買主に対して通信文(「中村様、お買い上げありがとうございます」など)を書いた場合、説明書が信書にあたるかについて議論をしました。前回の質疑では、総務省は、意志の通知であるからには冷蔵庫全体として信書である、との応えでした。

しかし、冷蔵庫を信書として、その運搬にユニバーサルサービスの保障を確保する必要性は、常識的に考えてありません。この場合、冷蔵庫は文書ではなく物品であって、公社や民間信書便事業者でなくとも運搬できる、とすべきです。冷蔵庫全体で見ると、送り手の意思は主に冷蔵庫の運搬を希望しているのであって、説明書の通信文の配達を希望しているのではありません。ここでの判断に、目で見て読むことのできる、という信書の重要性の趣旨を基礎とする必要がある、と訴えました。

Aについて、たとえば、生命保険の申込書のひな型が送られてきて、記入欄に受け手の個人情報がすでに印刷されている場合は、特定性の要件が充たされるか、について議論しました。無記入であれば、チラシやカタログとして、現在すでに宅配事業者も取り扱える、とされていることとの比較としてたずねました。これに対し、総務省は、契約書といっても色々な物があるので、個々の判断はパブリックコメントを受けつけ、事業者や利用者の意見をもとにガイドラインをもとに行う、との応えでした。

特定性の要件を充たすかどうかは、外形的・客観的に行う必要があります。そのためにもガイドラインを審議の場に出してもらうよう、訴えましたが、委員会の議事録をふまえてガイドラインの作成を行う、との答弁でした。

[2] 質疑項目

1.地上波デジタル放送の実施に係る財源に携帯電話会社等が負担する電波利用料を
  充当することが、電波利用料の値下げを招く可能性

2.信書の要件等について
   1)国家が信書の送達を保障する理由
   2)郵便が国民の基本的通信手段とされる理由
   3)電気通信との相違
   4)文書性の要件の基準の有無
   5)ガイドラインの作成にあたっては文書の可視性を考慮することの確認
   6)特定性の要件と通信の秘密の関係
   7)フロッピーディスク、設計図面や特定されたグループに送付されるカタログ等の
    信書への該当の有無
   8)特定性の要件の判断基準の明確化の必要
   9)ガイドラインを公の場で議論する必要

3.信書の定義は立憲主義に基づくべきとする意見に関する見解

4.信書便差出箱(ポスト)の設置を十万本とする根拠

5.信書便法案の内容について
   1)第9条第2号ロ「1週間につき6日以上」とする根拠
   2)第9条第4号「能力を有するもの」の判断基準及び条文に詳しく明記しない理由
   3)第12条第3項において届出で足りるとする「軽微な事項に関する事業計画の変更」の内容
   4)第13条第2項「一般信書便事業者たる法人の合併及び分割は、総務大臣の認可を
    受けなければ、その効力を生じない」とすることへの疑義
   5)第14条第1項「被相続人の死亡後60日以内に、総務大臣の認可を受けなければならない」
    において60日を経過して認可されていない場合の取扱い
   6)第15条第3項「公共の利益が著しく阻害されるおそれがある」ことの具体例
   7)第16条第1項「一般信書便役務に関する料金を定め、あらかじめ、総務大臣に
    届け出なければならない」とする理由

[3] 会議録抜粋

○中村(哲)委員

 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。  

 私は、逐条担当は、信書便法の九条から二十二条であります。その質問が終わらなければ、質問主意書で残りを聞くことになりますので、ぜひ大臣、副大臣には、端的な答弁をお願 いいたします。 この質疑に入ります前に、一点だけ、質問通告にはなかったんですけれども、昨日の新聞の記事についてお聞きいたします。  

 昨日、六月二十六日の日本経済新聞で、地上波デジタルの記事がありました。国が二千億円負担するという記事です。そこにはこのように書いてあります。「総務省はその財源に携 帯電話会社から徴収して電波の不正利用防止などに使っている電波利用料を充てる方針。電波法でアナログ放送を停止すると定めている二〇一一年まで同利用料を毎年二百億円程 度投入する。」というふうに書いてあります。  

 四月二十五日の武正議員の質問に対して総務大臣は、この二千億円になってもなかなか電波利用料を上げるということにはならないですねとお答えになっていたと私は記憶しており ます。 今、個人の携帯電話、年間五百四十円の電波利用料がありますけれども、この新聞の方針になったとしても、携帯の電波利用料は上げないと考えていると考えてよろしいですね。

○佐田副大臣

 先般のニュースにつきましては、私も拝見させていただきました。  結論から申し上げまして、電波利用料を上げるという方針は今ありません。  そしてまた、先ほどもありましたけれども、今のいわゆるアナ・アナ変換、これにつきましては、各地域そして中央で協議会を設けまして、どのぐらいかかるかということを試算しており ます。これが七月の下旬から中旬にほぼ出てくる、こういうふうに考えておりまして、その二千億という話は我々は聞いていないところであります。

○中村(哲)委員

 詳しいことは、また後日、武正委員が質問させていただくことになると思います。

 さて、本論に入らせていただきます。 信書便法九条から二十二条に入ります前に、前回からの引き続きとなっております信書の定義の問題について議論をさせていただきます。

 この間の質疑で、私はこのようにお聞きいたしました。「本日の片山大臣の御答弁を総括いたしますと、信書の送達、ユニバーサルサービスの提供というものは、日本国が立憲主義を とる限りにおいては、必ず国民にあまねく保障しなくてはならない、そういう性質のものだと政府は考えていると考えてよろしいですね。」それに対して片山大臣は、「そういう考え方です ね。」とお答えされております。

 改めて確認から入らせていただきたいんですけれども、なぜ国家は信書の送達を保障しないといけないのでしょうか。

○片山国務大臣

 前回も中村委員からそういうお話がございましたが、信書による通信は、国民の思想、信条の自由や表現の自由に密接にかかわるものであり、かつ通信の秘密が 保障される必要がある、その上であまねく公平に提供される必要がある、そういう基本的な考え方に基づくからであります。

○中村(哲)委員

 つまり、立憲主義の要請だと考えてよろしいですね。

○片山国務大臣

 そのとおりであります。

○中村(哲)委員

 そうすると、国民の基本的な通信手段だというところが一点、ポイントになると思います。大臣も前回の六月六日の質疑において、「国民にとっては基本的な通信手 段ではないかと考えております。」と御答弁なさっております。

 なぜ国民の基本的な通信手段なのか、電気通信との違いは何なのか、その点についてもう一度御確認いたします。

○片山国務大臣

 電気通信の方は、これは設備の購入をし、契約をしなきゃいかぬのですね。基本的な違いは、同じく基本的な状況に今なりつつありますけれども、現物性だとかい ろいろな意味での特色が信書の送達にはある、私はこう考えておりまして、電気通信の方も基本的な通信手段の一つになりつつありますけれども、こちらの方は、もう昔から基本的な 通信手段、今でもそういう意味では基礎的なものだと考えております。

○中村(哲)委員

 昔からということ、何がポイントなのかということで、きのう、質問取りという言葉を使っていいのかわかりませんが、質問の内容について総務省の皆さんがいらっしゃ ったときに、なぜ基本的なのか、なぜ昔からあったのか、そこのポイントは何かという話をさせていただいたときにあらかじめ詰めさせていただいたことがあるんですけれども、そこの点に ついて、大臣、なぜ昔からなのか、そのポイントについてもう一度御確認させていただきたいと思います。

○片山国務大臣

 委員が言われましたように、立憲民主主義ですか、立憲制度ですね、憲法に基づく、そういうことは、基本的には表現の自由、これが根っこにあるわけでございまし て、その表現の自由を基本的には保障しているからであります。しかも、それは、秘密を守るということがどうしても不可分のものとしてこれに付随しておりますよね。それが、我が国が 明治以降の立憲政治の発展の過程でこの郵便事業、信書の送達事業というものが一体として今日まで来た、こういうふうに考えているからであります。

○中村(哲)委員

 通信の秘密という話になると、電気通信でも同じことでございます。なぜ電気通信と違って昔から基本的な通信手段として認められるのか、そこはきちんと把握して おく必要があると思います。それについてもう一度大臣の御見解をお願いいたします。

○片山国務大臣

 それは先ほども言いましたが、なるべく安い料金であまねく公平に提供される、そういう意味では、基礎的な通信手段として広く国民に提供され、現物性、儀礼性な どの電気通信に見られない特性があり、大変重要だ。電気通信の方も、先ほども言いましたように、かなり基礎的な通信手段になりつつありますけれども、郵便の場合と異なりまして、 利用に当たっては事前の契約と設備の購入を必要とする、こういうことがございますので、そういう意味で私は信書は違う、こういうことを申し上げたわけであります。

○中村(哲)委員

 つまり大臣、特別な設備が要らないということだと思うんですね。そうすると、それは具体的に何なのかというと、直接的な可視性、可読性がある、そういうことなの ではないか、そう思うんです。そこはきのう確認できていたんですけれども、なぜ答えられないのかと私は思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○片山国務大臣

 まさに言われるとおり、可視性あるいは記録として残る、そういう特性がある、これが目に見えるという、そのところが大きな特色だと思っております。

○中村(哲)委員

 まず目で見える、目で読める、そこが一番大きなポイントだということですね。だからこそ、立憲民主主義を支える通信手段として一番基本的なものとして、人間の能 力として一番基本的な能力である目で見えるということで、きちんとコミュニケーションをとれる手段として信書は保障しないといけない。だからこそ、立憲民主主義を支える一番基本的 な通信手段として信書の送達は国家が保障しないといけない、このように考えてよろしいですね。

○片山国務大臣

 そのとおりであります。

○中村(哲)委員

 信書の定義について、さらに詳しく考えさせていただきます。 信書の定義として、今回総務省は三つの要件を定めております。特定性の要件、そして意思表示、これは事実の通知も含みますけれども意思表示の要件、そして文書性の要件。

 それでは次に、文書性の要件について質問をさせていただきます。  六月六日に私は佐田副大臣とかなりやり合いましたけれども、やはり文書性の要件ということをきちんと詰めていく必要があると思っております。私がなぜ冷蔵庫まで持ち出して議論 をしたのかというと、信書というものの文書性を判断する上においては、可視性、目で読めるということが一番ポイントなんじゃないか、そう思ったからでございます。

 私は、その物体に書 かれた文字、記号から、可視的、目で見て読める情報のみで、一般人から見て、送り手、受け手、その通信の主体が意図するその物体の本来の役割が果たせる、そういうものが文書 なんじゃないかと考えております。それについてどのようにお考えなのか、見解を伺います。

○佐田副大臣


 先生のお考え、確かに可視性ということは非常に重要なことだと思っております。また、この文書の面ということを考えますと、文書というものは本質的にどういうものか というふうに考えたときに、文字であるとか記号または人の感覚によって認識することができる情報を記載した紙その他の有体物、例えば、先生が先般言われました携帯であるとか冷 蔵庫に当たるわけでありますけれども、すなわち、通信文がそういう中に記載されているか否かによりまして判断すべきことでありまして、要するに、通信文が記載されているものが、素 材が何であるか、これにはこだわらないんじゃないか、こういうふうに思っております。

○中村(哲)委員

 通信の素材が何であるかは問わないというのは、まさに私もそのとおりだと思っておるんですね。しかし、それは目で見えるという可視性を重んじているからでござ います。そこが立憲主義と密接に関係してくるからなんです。

 もし私の定義で不都合ならば、総務省の見解をそのまま当てはめることになります。そうすると、この間言ったように、例えば冷蔵庫に通信文を書いた場合、これは文書性に当たるの かどうか。

 二つあると思いますよ。冷蔵庫の使い方みたいなものを書いた添え状、送り状に当たるものを書いた場合、もう一つは、本当にそれとは関係のない、例えば契約書とかラブレ ターとかそういうものを冷蔵庫に書く場合、二つあると思いますけれども、どちらにせよ総務省の考え方では信書には当たる、冷蔵庫自体が信書に当たるということになるんじゃないです か。

○佐田副大臣

 その辺の判断でありますけれども、要するに、何に書くかということは、この間もちょっと申し上げたんですけれども、そういうことよりもやはり、定義として、事実または 特定の方に対する意思を伝える、こういうことをかんがみてみた場合に、やはり常識的に、冷蔵庫に、だれが見ても秘匿性もないですし、例えば説明書きみたいなものが書いてある、こ れについては全く問題はないんじゃないか。

 ただ、冷蔵庫に文章、こういうことは常識的にまずないですけれども、手紙を書いたら、これはやはり信書と判断せざるを得ないんじゃない か、こういうふうに思っております。

○中村(哲)委員

 冷蔵庫に文章を書いた場合、それが信書に当たるというのならば、先ほど申しましたように、信書の送達というものは国家が保障しないといけないものとなります。 だから、冷蔵庫に通信文を書いた場合に、それが信書に当たるのであれば、この冷蔵庫の運搬に関して国家が保障しないといけないわけになるんですよ。これはどう見ても社会的に私 はおかしいと思います。だから、文書性の定義から外すように考えることこそが立憲主義の要請にかなうと思っているわけでございます。

 つまり、総務省の観点、総務省説をとると、信書の範囲は広くなるけれども、実際信書の保障をする範囲はもう少し狭いですよ、四キロ以上のものは保障していないというのはそういう 趣旨ですよという議論になるわけですね。

 しかし、これは立憲主義からしたらおかしい。立憲主義の要請として信書の送達は国家が保障しないといけないというその大前提から考える と、やはりそういう考え方は論理的におかしいことになると私は考えます。その点についてはいかがでしょうか。

○佐田副大臣

 先生、冷蔵庫に文章を書いてそれを信書として送達することに対して国が保障をする、これはおかしいんじゃないかと。確かにおかしいと思います。常識的に考えて、 そういうことが今までなかったわけですから、実際問題としてそれは、原則論を述べるのはいいけれども、これは具体的に私は存在しないんじゃないか、こういうふうに思っております。

○中村(哲)委員

 常識的に考えるという感覚は非常に大切だと思います。それは法だからです。社会通念、社会規範となっていないと、国家が強制力を持って国民に押しつける社会 規範とはならない、それが法ですからね。

 そうとはならないという意味で、常識的というものは非常に重要なんですよ。だから、常識的な感覚を厳密に定義に生かしたときに、文書性の 要件にやはり可視性と、その可視性から認められる情報のみでその本来の役割が果たせる、そういった感覚を私は定義の文言解釈に生かすべきなんじゃないかと考えているという趣 旨でございます。

 これ以上問答を繰り返しても仕方がないので、ガイドラインの策定に関しては、必ず文書性の判断において、可視性またその前提となっている特別な設備は要らない、そういうことを考 慮していただく、そこは約束していただけますね。

○佐田副大臣

 もちろん、可視性は非常に重要なことだと思います、これを見て。ただ、そういうものも踏まえまして、先生も御存じのとおり、判例に基づきまして、いわゆる信書の定義 としての基本となります判例を踏まえまして、もちろん可視性も含めます。可視性も踏まえてガイドライン、非常にあいまいな部分もありますから、判断をしていきたい、こういうふうに思っ ています。

○中村(哲)委員

 立憲主義の要請から、どんな信書の範囲を国家は保障しないといけないのか、そこを改めて考えていただく。そこは改めてお願いしまして、次は特定性の要件に入 らせていただきます。

 先ほどから特定性の要件について、通信の秘密とは関係がないという主張もありましたが、私は、総務省が言われておる、通信の秘密とは関係があるとおっしゃっている答弁に非常 に論理性を考えております。そこについて、もう一度佐田副大臣に御確認させていただきたいんですけれども、特定性の要件と通信の秘密について、いかにお考えでしょうか。

○佐田副大臣

 定義がありまして、特定の受取人に対してという定義があるわけでありますけれども、そういうふうに通信の秘密の保護の必要性の有無を考慮することは非常に重要 なことだと私は思うんですね。そういう中で、先ほども秘匿性という話が出ました。

 ただ、その必要性の有無について、個々のケースごとに差出人あるいは受取人の主観を一つ一つ確認するということは非常に難しい部分もありまして、そうなってくると、客観的に外 形的に信書というふうな形で判断せざるを得ないんじゃないかな、こういうふうに思っております。

 憲法上の要請でもあります表現の自由、通信の秘密の確保の観点からも、そういう疑問に感じた部分は、やはりそういうふうな慎重な取り扱いをしなくてはいけないんじゃないかと思 っております。

○中村(哲)委員

 まさにおっしゃるとおりだと思うんですね。信書がなぜ国家が保障しないといけないものなのか、そういったことを考えたときに、通信の秘密が非常に重要である、表 現の自由も、まず信書の秘密が守られてこそ表現の自由が成り立つ。だからこそ、信書には特定性の要件があって国家が保障している、そういうことなんでしょう。

 そして、佐田副大臣がおっしゃったように、通信の秘密を送り手が意図しているのか、受け手が期待しているのかということの判断については、主観的に判断するのもなかなか難し い。一般的に、これは枠をはめて、それをそういうふうに扱うということですから、外形的、客観的な基準を設けないといけない、それはおっしゃるとおりだと思うんですね。ここは改めて確 認しないといけない部分だと思っております。

 さて、そうしてくると、具体的にどういうものがこういうものに当たるのか、その検討をしていかなくてはいけないなと考えております。いつも総務省の皆さんと議論をさせていただくんで すけれども、そこでまず挙がってきたのが、企業秘密が載っているような、そういった資料、文書を今のクロネコのメール便で送ったような場合、違法なのかどうかという観点です。

 まず、 その資料、文書というものをフロッピーというような電磁的記録で送る場合には問題がない、そこはそのとおりですよね。

○佐田副大臣

 電磁的なものにつきましても、これはこれからガイドラインで考えていかなくちゃいけないんですけれども、電磁的なものを送るときには、やはりその中に、添え状的なも のを書くかもしれませんし、その説明書みたいなものを書くかもしれませんし、そういうことになると常識的にはどうなるか、その辺の非常に境的な送達物になってくるんじゃないか、こう 思っております。

○中村(哲)委員

 企業秘密が載っているもののフロッピーというのは、今の特定性の要件ではなくて、いわゆる文書性の要件ですから、さらっと答えていただいたらよかったと思うん ですが、これは当たらないということですよね。

 次に、紙で新社屋の設計図みたいなものはどうなのかというと、これはまた難しいなと思うんですけれども、こういうのはどうお考えでしょうか。

○佐田副大臣

 設計図というのは、私も昔技術屋だったものですから、中に何も書いていないということはまずないですから、図形だけならばいいですけれども、中にはいろいろな特定 な、寸法であるとか仕様書、図面だけ送るというのは意外とないものなんですね。仕様書というのが一緒にありまして、その中にいろいろなものが書いてある。こうなってくると、かなり特 定の方に対して送るものになってくるんじゃないかな、私はこういうふうに思っております。

○中村(哲)委員

 次に、それでは、ある程度特定されたグループに同じ文書を送る場合であっても、信書に当たらないケースというものがあるんじゃないかなと思うんです。例えば通 信販売のカタログ、例えば学生が受験して合格したその合格内定者に送る学校からのパンフレット、こういったものは、今のメール便など物品として送られております。

 こういったもの は、ある程度特定されたグループに送るものであっても信書に当たらないというふうに扱われると思うんですけれども、そういうものもあると考えてよろしいですね。

○佐田副大臣

 先生、やはりどの程度の数で送るかという点があると思うんですね。例えば同窓会の通知だとか、それはかなり限定されますけれども、物すごい広い範囲でやるという ことになってくると、これはまた議論の中に入ってくると思うんです。

 また、先生が今言われました合格通知みたいなものがありますね……(中村(哲)委員「合格通知じゃないです、合格した人に送るものです」と呼ぶ)もう既に合格をした人に送るもの ですね。そうした場合には、例えばパンフレットでやった場合、特定のものの場合、本当に狭いものについては、これはまた議論の余地があると思います。

○中村(哲)委員

 さらに進めて考えていきますと、例えば契約に使うときの文書、それについても議論があると思うんです。  例えば、よく最近でも新聞広告の中に、生命保険なり損害保険なりで申込書のひな形みたいなものがついているケースがありますよね。これというのは、チラシとかカタログに類する ものだと思うんですよ。例えば、これをそのまま送った場合に信書と言えるのかどうか。

 これは、秘匿性を考えても、一般人から見ての通信の秘密の範囲から考えても、これは当たるだ ろうとはなかなか言えないと思うんですよ。ただ逆に、契約書のひな形のたぐいであっても、例えば私の名前が書かれたものが送られてくる。私の住所だけ書かれてあって、あと収入要 件とかそういうものが書かれてきたら、これはかなりの特定性があるだろう、そういうふうに私は考えます。

 契約に使う文書には、申し込みの勧誘のレベルのものと申し込みのものと二つあると思うんですよね。申し込みのもの、つまり自分の名前を書いて、住所を書いて、収入要件もすべて 書いて出すようなもの、これが信書に当たることは論をまたないと思います。しかし、それ以前の申し込みの勧誘のレベルのものは、やはり特定性があるものとないものと二つに分けら れるんだろうな、そういうふうに考えるんですけれども、その点については、いかがでしょうか。

○佐田副大臣

 先生言われるように、非常にそれは微妙な部分があるんじゃないかと思います。  例えば、契約書といっても、本当に個別の契約書か、または例えば新聞なんかで物すごく広く、こういう契約といっても非常に簡単なものの契約のひな形をわっと送る場合もあるわけ ですし、また、受取人の方がもう当然それを契約するということを約束していて送ってくるものであるとか、そういうことを考えたときに、いろいろの場合が考えられる。それは先生の言わ れるとおりだと思います。その辺が非常にあいまいな部分があろうかと思います。

○中村(哲)委員

 議論をもとに戻しますと、なぜあいまいなのか、そういった議論が出てくるのかというのは、特定性の要件があるかどうかの判断においては、外形的、客観的に判断 しないといけない、通信の秘密があるのかどうかということを外形的、客観的に判断しなくてはならない、そこにやはり帰結すると思うんです。

 そして、この外形性、客観性ということが実 は人によって違う、そこにあいまいさというものが出てきているんじゃないか、だからここはガイドラインでしなくちゃいけないというのが総務省の見解だと思うんですよ。だからこそ、私 は、ガイドラインというものを法案審議の中で出していただきたいと思うわけでございます。そうしないと、何が客観性を持っているのか、客観的な当てはめと言えるのかどうか、そこを議 論できないからでございます。

 ここは、きちんと今後、法案審議はまだ継続しておりますから、その採決までにガイドラインを出していただいて、そして議論していただくということが必要なんじゃないかと私は考えま すが、いかがでしょうか。

○佐田副大臣

 先生、この間もお答えしたんですけれども、非常に難しい部分もありまして、もちろんこれはあくまでも利用者の利益にかなうことでなくちゃまずいわけですから、利用者 の方々や事業者の方々の意見をじっくりと聞いて決めたいと思いますので、施行までには何とかそれをつくっていきたい、こういうふうに思っております。

○中村(哲)委員

 私は、やはりガイドラインを出していただかないと審議の前提を欠くんじゃないか、そういうふうに考えているわけでございます。

 先ほど赤城委員もおっしゃったとお り、やはり法案に書くのかガイドラインに書くのか、いろいろなバージョンはあると思います。しかし、きちんと出していくこと、国会の場に出していって公の場で議論すること、それが大切 なんではないでしょうか。公の、公開の現場で議論をして議事録に残していくこと、それが大事なんではないか、そこが担保されないとなかなかこの法案には私は賛成できないのかな、 そういうふうな印象を持っております。  この点について、大臣、副大臣、どちらでも結構ですから、もう一度お考えをお聞かせください。

○佐田副大臣

 先生、これは、やはりそういうふうな危惧があるということを先生方にこれだけ言っていただき、それが議事録に残っております。我々は、それを踏まえまして、決して無 にしないように、繰り返しになって恐縮ですけれども、事業者の方、利用者の方々にいろいろな意見を聞いて、しっかりとそれは決めていきたい、こういうふうに思っております。

○中村(哲)委員

 今政治に問われているのは、言葉をいかに実行していくかということだと思うんですね。そして、そのこと、政治家が言った言葉というのがそのとおりに実行されなく て国民が政治不信を抱いてしまっているというのが今の状況だと私は考えています。言ったことはきちんと守ってください。そして、それを前提にして次の国会、また、施行されるときに はどういうふうなことになるかわかりませんけれども、そういったときにまたきょうの議事録をもとにきちんと質疑をさせていただきたいと思いますので、そこは覚悟してください。

 具体的な逐条解釈の方に入らせていただきます。私は、九条から二十二条が担当です。

 許可、認可ということを中心に法体系が組まれております。私は、これを、総務省が事前にするのがいいのかどうかということについて非常に違和感を感じています。確かに、信書の 送達ということは国家が保障しなくてはならないユニバーサルサービスです。しかし、その事業形態を考えていくときには、事前裁量の形式ではなく事後チェック型の規定も柔軟に取り 入れていくことが必要なんではないか、そのように考えております。そういう視点から、以後、具体的な文言の解釈に入らせていただきます。

 九条です。九条二号のイ「総務省令で定める基準に適合する信書便差出箱」、これがいわゆるポストの問題だと思っております。  佐田副大臣は以前の答弁で、まあ十万本かなということをおっしゃっておりますから、なぜ十万本なのか、どのような基準か、明確にお答えください。

○佐田副大臣

 十万本と言ったかなと思うんですけれども……。まあ、これはもうあくまでも基準で決めていくわけでありますけれども。

 民間参入の効果を全国の利用者が享受できる ようにするために、この法案は、一般信書便事業者に対しまして、全国で随時かつ簡易な引き受け方法を提供することを条件としておりまして、だから、これはできるだけ広くやっていか なくちゃいけないわけです。

 現在検討している基準というのは、人口を尺度とするものですけれども、その場合、市町村によっては人口の集中度に大きな格差があることから、仮に全市町村に対して一律の基準 を適用すると、人口の希薄な地域においては設置数が少なくなり、また、差出箱までの距離が遠くなるなどの不便が生じることが想定されるわけであります。

 そこで、基本的には、市町村を政令指定都市、過疎地及び人口規模により五つの区分にし、そのグループごとに人口当たりの設置本数が人口集中度の低い地域に相対的に厚くなる ような基準を定めることを考えております。  この基準となる数を算出するに当たっては、現在の郵便差出箱、ポストの設置本数を基礎としているものでありますけれども、郵便差出箱の設置には市町村により疎密があることか ら、参入事業者が設置する差出箱の基準は、郵便差出箱の設置密度が相対的に低い水準の市町村並みとなるように、要するに、できるだけ田舎の方には手厚くしていこう、こういうこ とであります。

○中村(哲)委員

 立憲主義の要請からすべて考えていく必要があるわけですよ。だから、人口何%以上の人が徒歩十五分以内にポストに届くような、そういうふうな基準だとか、そう いう立憲主義の要請に基づく基準を立てなくちゃいけないんですよ。その点についてはいかがお考えでしょうか。

○佐田副大臣

 ですから、先生、ユニバーサルサービスなんかのことも考えまして、ただ人口要件だけではなくて、要するに、とりに行く方々、差出箱に行く方々が遠くてもこれは困る わけですから、そういうことも考えて今いろいろ議論をさせていただいているところであります。

○中村(哲)委員

 つまり、算定基準においては、一人一人の国民があまねく信書の送達のサービスを受けられるような基準を考えないといけない、そういった気迫が答弁に感じられ ないわけですよ。

 五つの区分に分ける、そして人口で考えていく。だけれども、総務省としては、国民がひとしくあまねくサービスを受ける、そういうふうな観点から基準をつくっていくんで すよ、そういう主張をしてもらわないと、何で信書の送達が国家独占だったのか、また、国家が今後も国民に保障していかなきゃいけない普遍的価値を持ったものなのか、そこは言えな いわけですよ。非常に大事な点なんですよ。そこをはっきり言ってください。

○佐田副大臣

 先生の言われるとおりでありまして、これはもう、とにかく田舎においても都市部においてもできるだけひとしくなるように努力をしていかなくちゃいけないことだと思って おります。したがって、例えば実際にやってみて不備がある場合は、それはまた直していかなくちゃいけない。先生、全部平等というわけにいかないと思いますよ。でも、田舎にいても都 市部にいてもできるだけ平等にサービスが受けられるようにしていく、これは当然のことで、先生の言われるとおりだと私は思います。

○中村(哲)委員

 だからこそ、明確な基準が必要なんですよ。民間事業者は、総務省が示してきた省令の基準で入ろうかどうかを決めるわけですよ。そのときの省令を決めていく基 準、考え方、哲学、こういったものが明確に示されないと、何だ、総務省の裁量じゃないか、官僚が全部自分勝手に決めていくんじゃないか、立憲主義の要請だと口ではいいことを言い ながら、自分たちの思いで全部決めていくんじゃないか、そういうふうに言われることにつながるわけですよ。

 だから、理念とか考え方とか、省令をつくる上での考え方なんかをきちんと、きょうは無理かもしれない、だけれども、今後聞かれたときには詰めてもらう、こういった考え方、理念、哲学 でこのポストの設置というのは省令を決めていきますと。恐らくきょうは無理でしょう。どうですか。無理ですか、答えられますか。

○佐田副大臣

 ですから、先生、先ほども申し上げましたように、田舎に手厚くと言ったのは、全部が平等になるかどうかというのはわかりませんから、ただ、やはり都市部よりも田舎 の方が距離があったりするから、できるだけ手厚くしていってサービスが平等に近づいてくる、こういうことを申し上げているんであります。

 また、いろいろなユニバーサルサービスに対しましては、事業者が入ってきてもクリームスキミングにならないような条件を、毎日一通でも配達するであるとか、三日以内に送達するで あるとか、あらゆる条件をつけて、そしてひいてはユニバーサルサービスが損なわれないように、そしてユーザーの、いわゆる利用者の方々の利益が損なわれないように全力でやって いきたい、こういうふうに思っております。

○中村(哲)委員

 私が言っているのは、その基準が明確にならないといけないと言っているわけですよ。結果的にそれが保障されたらいいだろうというのが総務省の見解なわけです けれども、これは信書便法ですから、対象となるのは事業者なんです。事業者が自分でこの事業をやろうかなと思うときには、法令として、法律、政令両方、省令も含めた法令としてき ちんとオープンになっていて、考え方もよくわかる、理念もよくわかる、それじゃ、私たちは事業計画をつくって参入しようかな、そういうことになるわけですよ。

 だから、ここは非常に、限界ぎりぎりの事例なんですよ。ユニバーサルサービスは確保しないといけない、しかし、信書便事業者は参入しなくてはならない、そうじゃないと競争の公平 さが担保できない、そこのぎりぎりの線の議論をしているわけです。  だから、結果としてユニバーサルサービスが担保できるような基準にすればいいですねと総務省としては言っていると思うんですけれども、そうじゃないんですよ。

基準自体が明確にな って、参入を検討している業者がきちんと考えられるような、そういうふうな理念、思想というものが省令をつくる上において明らかにされていかなくてはならない、そういうことを言ってい るわけです。だからこそ、今なかなか答えられないかもしれないけれどもということを言わせていただいたんですよ。いかがですか。

○佐田副大臣

 今も申し上げましたように、ユニバーサルサービスをしっかり守っていくということは基本であります。  

 要するに、これは一つ一つの要件についてわからなければ事業者が入れないじゃないですかという御質問、条件が理解できないというふうにお話しだと思うんですけれども、例えば、 一つポストの例を挙げさせていただきます。  ポストの例につきましても、人口であるとか距離であるとか利便性につきましても、勝手に決めるんじゃなくて、審議会にもかけますし、パブリックコメントにもかけまして、そういう中で 本当にいろいろな方々の御意見を承りながらこれは判断をしていきたい、こういうふうに思っております。

○中村(哲)委員

 この点についてもう少し誠実な答弁を期待いたしておりますけれども、次に移ります。

 ロの六日以上の配達とありますけれども、なぜ六日なんでしょうか。週休二日の時代ですから、月から金まで五日間というのでも、ぎりぎりユニバーサルサービスとしては是認できる 範囲かなということを思う、そういう考え方もあると思うんですよね。なぜ六日なのか。七日でなく六日なのか、五日でなく六日なのか。その点について、いかがお考えでしょうか。

○佐田副大臣


 現在との比較という話になるんですけれども、現在は郵便の方で週六日の配達を行っておりまして、国民の生活や社会経済活動の基盤として定着しておりまして、こ の品質水準の維持が求められるというふうに考えております。

 民間参入、利用者の利便の向上を目指すものである以上はこの品質が低下することは適切ではなくて、特に、一般信書 便事業者に対しても一週間につき六日ということは、この質を下げないという意味においても、利用者の利益ということを考えても、これは必要なんじゃないかと判断しております。

○中村(哲)委員

 これも、立憲主義の要請から最低限の参入条件として何が必要なのかという観点からもう一度考えていく必要があると思うんですね。今あるサービスが六日だから 六日なんだ、これじゃなかなか通らないわけです。今ある水準が立憲主義の要請として最低限のレベルなのかどうか、そこが問われているわけです。

 だから、そこについての明確な考え方、いや、そうじゃないんだ、やはりこの点に関しては、立憲主義の要請からしたらもう少し少なくてもいいかもしれないけれども、六日でないといけ ないと考えているんですよ、そういうふうに言っていただくんだったらまだわかるわけです。その点について、いかがですか。

○佐田副大臣

 先生、やはり、よりよい国民のサービスというものを考えたときに、この法律の後で品質が落ちたなんという話になると、これはちょっと国民に対しても申しわけないわけ でありますから、これは現状の六日というものを維持していかなくちゃいけないというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 すべて答弁があいまいなわけですよね。これからずうっとまた聞いていきますけれども、そんな答弁じゃなかなか議論にならないわけですよ。

 これは、僕は、副大臣の能力の問題だと思いたくないわけですよ。組織としての対応のあり方が問われているんですね。私は、これは去年の六月十二日にこの総務委員会で質問さ せていただいています。そのときに、私から大臣に言って、大臣とこれはけんかみたいなことになりましたけれども、政治家主導できちんと議論しないといけないんじゃないですかと。大 臣は、今から検討会で議論をしていくんですと。

 今日の政治状況を見て、どうでしょうか。研究会に任せて、結局この法案はちゃんといけているでしょうか。そういったことも含めて、佐田 副大臣の個人的な問題じゃなくて、省全体、政治全体、そういうことが問われているんだというふうに考えております。

 それ以上はこの件に関しては難しいと思いますので、次に行きます。(発言する者あり)淡々と進めていきます。  四号で、「その事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。」と書いてありますが、「能力を有するもの」ということも、これは非常に裁量的ですよね。どういうふうな能力 なんでしょうか。

○佐田副大臣

 「その事業を適確に遂行するに足る能力を有するもの」ということでありますけれども、一般信書便事業を申請された事業計画に従って事業運行ができるかどうかを審 査するということでありまして、これは、具体的に申し上げますと、財務諸表や資金調達計画を通じて財産的基礎その他経営的な基礎があると認められるかどうかというものをチェックし ていくわけであります。

○中村(哲)委員

 そういうことであれば、ちゃんと条文に書けばいいわけですよ。何で書かないんですか。そこが今批判されているわけでしょう。何で書かないんですか。

○佐田副大臣

 
大変申しわけないんですけれども、その辺につきましては、ほかの立法例に倣って、横並びということでやらせていただいております。

○中村(哲)委員

 改革の時代に横並びという姿勢が本当にいいのかどうか、それが問われているんでしょう。違うんですか。今までやってきた前例を踏襲していくんですか。片山大臣 は不易流行とおっしゃっていますよ。違うんですか。大臣、どうですか、片山大臣。横並びでいいんですか。

○片山国務大臣

 立法例というのは、いろいろこれは相当な吟味を経て決めてきておりますし、内閣法制局の審査も受けますから、そういう表現になりましたけれども、この表現で、大 体「その事業を適確に遂行するに足る能力」というのは、一つはやはり財政的な、財務的な基礎ですよね。そういうことでございますので、この表現でも十分読める、こういうことでござい ます。すべて横並びとは全く考えておりません。横並びもいいことは参考にさせていただく、よくないことは変える、それが不易流行だと思っております。

○中村(哲)委員

 私が言っているのは、やはり今時代が要請していて、普遍的だということは、オープンであること、明確であること、ちゃんと書き込んでいくということなのではないで しょうか。

 そこについて、やはりそれは不易流行の観点から見て云々かんぬんと大臣が言われると、ああ、期待していた改革の政治家ではないのかなという印象も持ってしまう、また国民に持 たれてしまうわけでございます。だから、その点は、きちんと今後考えていただかないといけないと思います。そして、そういうふうなトーンであると、法案にはなかなか賛成できない、改 革の視点をきちんと示したというふうには受け取れないということで、また次に行かせていただきます。

 第十二条、「事業計画の変更」。事業計画の変更で、この三項においては、軽微な事項に関しては届け出で済むと書いてあるんですね。最初、許可の対象であったものを、何で変え るときは届け出でいいのか。軽微とは何なのか、そこの考え方はどういう考え方なのか。そもそも、届け出で済むのであれば、事前規制じゃなくて事後チェックでいいんじゃないか、そう いうことも含めて、ここはどのように考えているのか、副大臣、答弁お願いします。

○佐田副大臣

 軽微ということは、本当に軽微なことでありまして、変更の影響が微少であるということで、また事業者の負担軽減のため、届け出で足りるということで、そういうことに しておるわけであります。

 具体的な例ということで、例えば、一日の配達回数の許可基準の範囲内での変更などで、一般信書便役務に関して、この法律で条件としている基準を上回る変更であるとか、一般 信書便役務以外の役務についての改廃や業務区域の変更であるとか、そういうふうなことであります。

○中村(哲)委員

 そういったものが届け出で済むのであれば、もともと許可のときにも、そういうふうなことを許可の要件にしなくてもいいんじゃないですか。一定基準を決めておいて、 そこがチェックするかどうか評価を下すだけでいいんじゃないでしょうか。いかがですか。

○佐田副大臣

 ですから、先生、非常に軽微な問題であって、要するに、事業計画であるとか、こういうことは大局的に非常に重要なことでありますから認可しなくちゃいけませんけれ ども、細かいことについて、やはり負担軽減ということもありますから、その辺のところにつきましては、先ほど挙げさせていただいたような例につきましては届け出、こういう機動性という ものを考えたときに、届け出というふうにさせていただいているわけであります。

○中村(哲)委員

 私が聞いているのは、届け出にすることができるのであったら、事前審査ではなくて事後チェックでいいんではないか、そういうことを聞いているわけですよ。いかが ですか。

○佐田副大臣

 今回の信書便法自体が、非常にこれは、ユニバーサルサービスを守ったり、そして信書の秘密を守ったりする重要な部分もあるわけでありますから、その辺を含めて、 やはりきちっと事業計画を出せるようなところに委託していかないとこれはだめですから、そういう意味においては、やはり事後チェックというよりも認可にしていかなくちゃいけないんじゃ ないか、こういうふうに考えております。

○中村(哲)委員

 すべてがこの調子ですよね。

 十三条に移ります。なぜ企業の合併、分割、営業譲渡のときに、すべて総務大臣の認可を得なくちゃいけないのでしょうか。こういうときには大体、迅速な意思決定というものが経営 者には要求されるわけですよね。これを、認可を受けなければ効力を生じないわけですから、株式市場の迅速な意思決定に対する要求ということを考えても、これはちょっと厳しいんじゃ ないかと思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。

○佐田副大臣

 先生今も申し上げましたように、そういう秘匿性の問題やらユニバーサルサービスの問題、いろいろありまして、事業譲渡や法人の合併や、今先生が言われました分 割、事業主体の変更を来すことから、一般信書便事業者としての重要性を考えて、適格性を有する者であるかどうかを再度しっかり審査する必要があるために、総務大臣の認可制、こ ういうふうにしているところであります。

○中村(哲)委員

 相続の場合の十四条、六十日以内に認可を受けられなかった場合はどうなるのでしょうか。

○佐田副大臣

 事業相続については、相続人が必ずしも事業者として適格性を有する者であるとは限らないという場合もあるわけでありまして、先ほどと同じような答弁でありますけ れども、総務大臣の認可制というふうにしておるところであります。

 また、被相続人の死亡後六十日以内の経過期間を設けることとしているわけは、継続的な役務の提供の観点からでありまして、相続人が引き続き事業を経営するか否かは、この期 間中に相続人の自由にゆだねることとしておるわけであります。この期間中に申請が行われない場合は、被相続人は一般信書便事業を営むことができない。また、各種事業法制で も、事業の相続については認可制とされているのが通例であるということであります。

○中村(哲)委員

 私は、六十日以内にできなかった場合の法的効力を聞いているわけです。聞かれてないことを延々と答えないでください。一事が万事、この調子ですよね。

 次に行きます。第十五条。事業の休止、廃止のときには総務大臣の許可を受けないといけない。三項で、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、許可をし なくてはいけないということですから、このおそれというものがあるかないかということを総務省が判断するということがポイントなんだと思います。それは、どういう場合なのか、具体的な 基準をお示しください。

○佐田副大臣

 一般信書便事業は、広く一般公衆の需要に応じて全国の区域において信書便物を引き受け、配達をするという重要な仕事でありまして、これの休廃止に先立って、信 書便差出箱に信書便物を投函できなくなったり、送達不能で保管している信書便物を処分する等、利用者の利益を保護するための措置を講じておく必要があるということで、許可制とし たわけであります。

 したがって、「公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認める場合」とは、こういうふうに利用者の保護、適切な措置を講じられずに、一般公衆の利益が阻害される、こういうこと というふうに思っております。

○中村(哲)委員

 そのときには、どういうふうな具体的な指導をするのかとか要請をするのかとか、そういうことが重要になってくるわけでしょう、具体的にやる能力が非常に減退して いるときなんですから。そのあたりのところの担保も何もなく、こういう規定を置くことだけでは、立憲民主主義の要請から帰結される信書の送達ということにおいては、非常に不十分だと 言わざるを得ないわけですよ。

 らちが明かないので、次に行きます。  第十六条。一項であらかじめの届け出と書いてありますけれども、なぜ事後届け出はできないんでしょうか。「総務省令で定める額」と二項二号に書かれておりますよね。これは八十 円を予定しているということを事前に総務省から伺っておりますけれども、八十円を超えないものというふうに決められているのであれば、事後届け出でもいいんじゃないでしょうか。ここ は重要な点ですから、明確にお答えください。

○佐田副大臣 

一般信書便役務につきまして、クリームスキミング防止のために、その料金につきましては、全国均一で、特に二十五グラム以下のものにつきましては一定の上限以 下であること等を条件としていることでありまして、こうした条件を満たしていることを確認する必要があることから事前届け出制、これは先生の言われるように重要な料金の体系であり ますので、事前届け出制としているというものであります。

○中村(哲)委員

 佐田副大臣、違うでしょう。  この規定というものは、例えば信書便事業者が、ある人に対しては安い値段をやっていた、事後届け出をやったら、いや、実はもう中では変えていたんですよ、後で届け出たときに、そ れは不公平、不公正になりますよね、だから事前届け出でないといけないんですよ。公正性を担保するために事前届け出でないといけない、だからこういうふうにしているんですよ、こう 答えないといけないじゃないですか。  ちゃんと、法の精神、立憲主義の要請からこういう規定にしているということをきちんと把握して答弁していただかないと、できないわけですよ。どうなんですか、私の言ったことじゃない んですか。

○佐田副大臣

 先生、要するに、後になってやって、金額が違うということになると不平等であるということは、だから私も今クリームスキミングというところで申し上げているのでありま して、後でやって、いいところだけ安くしたりしたなんて話になると、これはクリームスキミングになるわけでありますから、今先生の言われたとおりだと思っております。

○中村(哲)委員

 質疑時間が終了いたしまして、まだたくさん質問項目が残っております。  私にもう一度質問時間を与えていただきましたら続きをしますが、もし与党が、強行採決などなさらないと思いますけれども、十分な審議時間をとれない場合には、きちんと質問主意書 で問わせていただくことになると思いますので、ぜひ皆様、質疑をきちんとさらに続けていただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。


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