2002年3月18日
第154回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会
案件:沖縄振興特別措置法案
[1]質疑内容 [2]質疑項目 [3]会議録抜粋
[1] 質疑内容(30分)「沖縄振興策について」
2月に党の沖縄調査団に参加したことから、沖縄振興特別措置法案の審議の際、差し替えで委員会質問を行いました。この法案には、沖縄経済発展のため情報特別区を設けることが入っており、総務委員会メンバーでもあることから、担当することになりました。
まず、観光産業と並んでなぜ情報通信産業が沖縄振興の柱となっているのか、についてたずねると、情報通信のソフト面では、あまり技術上の蓄積がなくてもできるから、とのことでした。
地域振興を行うときに大切なことは、優秀な人材をいかにたくさん集めるか、です。この法案では、大学院大学に世界中から人材を集め、育てた人材を世界中に供給する、その過程で沖縄の人たちへのいい影響や、中には沖縄へ定住する人たちが出てくることも期待しています。人材が集まってくるためには、沖縄の住環境、クオリティーライフが高くなければいけない、ことを主張しました。
この大学院大学は、海外の大学との連携も想定しています。連携のためには、通信回線を安く利用できるようにすることが必要です。沖縄は、中国からアメリカに通じる光ファイバー網の通過点だそうです。尾身大臣によると、沖縄の有利な地理的条件を生かしてネットワーク整備を行いたい、とのことでした。
[2] 質疑項目
1.本法律案において情報通信産業の振興を一つの柱とした理由
2.「沖縄経済振興21世紀プラン」最終報告と本法律案との関係
3.沖縄県マルチメディアアイランド構想で掲げる雇用目標に対する国の協力意思の有無
4.大学院大学構想についての沖縄及び北方対策担当大臣の考え方
5.情報通信分野における南フランスのソフィア・アクロポリスの成功例についての沖縄及び北方対策担当大臣の考え方
6.沖縄への人材誘致のための条件として生活環境に関する措置の必要性及び情報通信環境の整備に対する沖縄及び北方対策担当大臣の考え方
7.理想的な労働環境としての沖縄という誘因付与のため緑豊かな開発を目指す必要性
8.通信コストの低減化に向けた施策についての今後の取組み
9.国際的なIX(インターネット・エクスチェンジ)の誘致の必要性
会議録抜粋
○中村(哲)委員
民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。大臣におかれましては、六時間半の質疑、大変お疲れさまでございます。残り三十分ですが、どうかよろしくお願いいたします。
きょうは、私は情報通信産業のことに絞って大臣とお話をさせていただこうと思います。
先ほどのお話にありましたように、この振興法の柱が情報通信産業のところにあるというふうなお話、知識集約地域、知的中核地帯、知的クラスターとしていきたいという大臣のお話というのは非常に心を打つものでありました。もう一度御確認だけさせていただきたいのですけれども、なぜこの振興法におきまして観光業と並び情報通信産業が沖縄振興の柱となっているのか、大臣の思いをもう一度お聞かせください。
○尾身国務大臣
観光業については言うまでもありませんが、情報通信産業につきましては、私はこれだけの短い期間に四千人もの雇用を生み出したということは、実は大変に成功したと思っております。
情報通信のソフトの関係につきましては、実を言うと、それまでの間に余り基礎的な技術上の蓄積がなくてもそのソフトの面についてはやれる、そういう新しい分野である、逆に言うと、日本全体が少なくともソフト面においてはそんなに特別の蓄積がなかったわけであります。そういう中で、これは先人が情報通信産業、特にソフト面に着眼をして、これを沖縄振興の大きな柱にしてきたということは、大変に適切であり、よかったことだなというふうに感じております。
○中村(哲)委員
私の手元に、「沖縄経済振興二十一世紀プラン」という最終報告があります。これは平成十二年八月に出されたものでありますけれども、これと今回の法案、振興法との関係はどのように考えたらよろしいでしょうか。
○嘉数大臣政務官
お答えいたします。沖縄の発展のためには情報通信産業の振興は重要であると考えて、政府としてもいろいろな施策を展開してまいっております。
情報通信関連企業の通信コストの低減に向けて、それを二十一世紀プランの中において、通信・放送機構情報通信研究支援センターに、通信コスト低減化に向けた研究開発を実施できるように、共同利用型研究施設を整備し、研究開発用ギガビットネットワークを活用した研究開発の実施を支援するとともに、情報通信振興制度に基づく特別措置を進めてきたところであります。
今回提案している沖縄特別措置法においては、情報関連のさらなる集積を強力に牽引するという意味で、データセンターなどを対象として、情報特区等を情報産業振興のために制度面で整備していきたい、そういうことであります。
○中村(哲)委員
私が聞いているのは、内容もいいんですけれども、その前に、この最終報告と今回の法律の関係と申しますか位置づけ、これを積極的に推進していくのか、この内容を踏まえてこの振興法をつくられて、言ったら、この最終報告はエンジンでありまして、それで今回の法律というのは車でいうと車体の部分に当たる、そういうふうなものであるのかどうかということをもう一度お聞かせいただきたいと思いまして、聞かせていただいた次第でございます。
○嘉数大臣政務官
お答えいたします。二十一世紀プランの精神をしっかりと踏まえて、沖縄における情報特区を、情報産業をしっかり根づけるという方向性のもとに実はこの法律ができておりますというふうに御理解していただきたいと思います。
○中村(哲)委員
この方針をしっかり引き継いでやっていきたいという御趣旨だと思います。
そして、この中にありますのは、沖縄県が策定いたしました沖縄県マルチメディアアイランド構想、それに基づいた沖縄県の意思というのも十分取り入れてこれからやっていこうという話だと思うんですね。
そこで、その沖縄県マルチメディアアイランド構想には、二〇一〇年には現在の四倍の二万五千人程度の雇用をこの沖縄県で実現していきたいという目標も出しております。
こういうふうな二万五千人の目標というのは、国家目標として二〇一〇年には二百四十五万人ですか、沖縄県は一%であるから二万四千五百人という数字でこの数字になっているというふうに沖縄県マルチメディアアイランド構想には書いておりますけれども、こういうふうな数の雇用を生み出すようなことをともに協力してやっていきたい、そういうふうに把握してよろしいわけでございますね。
○嘉数大臣政務官
そのとおりでございます。
○中村(哲)委員
私は、ここでちょっと大臣と議論を、大ざっぱな議論で構わないんですけれども、やらせていただきたいんです。
地域振興をするときに大切なのは、私はやはり人の問題だと思っております。大臣のさっきのお話で非常にすばらしいなと思ったのは、大学院大学をするときに英語を公用語とするその意味というのは、全世界から優秀な人材を引っ張ってくる、そういうことだと思うんですね。
ある意味、よく考えられることで、その地域で人材を生かして育てて、そこでやっていこうとするんですけれども、かなり閉鎖的になりがちである。そうじゃなくて、大臣のお考えというのは、すごくオープンにしてたくさんの人材を中に入れて、そこで新しく来た人が地元の人もすごく刺激をして、影響をして、インスパイアして、そして、地元の人たちが外から入ってきた人から刺激を受けて学んで、そこの中から人材が育成されていく、そして、そういう人たちが定着してくれることによってその地域が発展していく、そういうイメージだと思うんですね。
そして、こういうふうなことを定着させていくためには、私は、ある意味文化的な、そういうふうな土壌というか、そういうふうな仕組み、仕掛けみたいなものも必要なんじゃないかなと思っているんです。そういったことがこの法律の中に入っているのかなと思ったら、そういうふうな文化的な仕掛けみたいなのはちょっと入っていないんじゃないかと思うんです。
ただ、運用の面なりでそういうことが補えると思いますので、そのあたりのところの大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○尾身国務大臣
実は、この大学院大学の構想は、私が昨年の四月二十六日に就任をいたしましてすぐ後の昨年の六月ごろ考えたことでございまして、実は、そのときまでに既に振興法についての考え方というのは、ある意味で言いますと、ある程度考え方はまとまっていた状況でございます。
そこで、そういう中に、例えば科学技術の振興とか、あるいは世界的な知的クラスターに沖縄をするとか、あるいは人材の育成とか、そういうことを入れていただいて、そして国際的な大学院大学をつくる、こういう内容を実は盛り込んでいただいたわけでございます。
この大学院大学につきましては、直接に沖縄の人をこの大学院大学に入れて育てるということは現実にはできません、最初は。どうしてできないかというと、世界の最優秀な人材を集める、世界じゅうから集める、そのかわり、授業料とかなんかはほとんどただにするということにしていく、それで、集めて、ここで研究し、勉強した人材をまた世界じゅうにばらまく、また新しい人を集める、これは教授陣も学生も同じなんですが、そういう中で、その活動を繰り返す場を沖縄として提供していただく。
そういう中で、自然現象的にもちろん沖縄の例えば今ある琉球大学との協力もできると思いますし、沖縄のほかの大学との協力もできる。それから、もちろん沖縄の方もこの大学にいろいろな形で入ってくるということで、物すごく高い水準の大学院大学を沖縄につくることによって、実は、沖縄という地域が世界の科学技術の国際交流の、これはバイオの関係を考えていますが、その中核になる。
これによって、日本でほかにないような形の大学院大学をつくることによって、実は、日本じゅうから人材を集めて、もちろん沖縄で、場合によっては沖縄の方と結婚して居つく人もいるでしょうし、また世界じゅうに展開する人もいる、そういうことはちっともこだわらないで、どんどんと世界じゅうから人材を集めて、どんどん世界じゅうに人材を供給するそういうセンターになる。そのセンターになるプロセスを通じて、沖縄自体の水準も、成功すれば日本で最高水準の知的水準を持つような状況になるだろう。そうすれば、日本の企業も、研究所などを中心としていろいろな企業が自然に集まってきて、そこにもっと高い知的水準ができて、一度トップに上がればトップはますますトップになるということで、最初にこの大学院大学を日本のトップにする水準に持っていくまでが、これは死ぬ苦しみではないかと思っていますが、大変に大事な側面だと考えておりまして、そういう構想を実現していきたいと考えておる次第でございます。
○中村(哲)委員
非常に感動するような夢を聞かせていただいたと私は思っております。やはり政治家は夢を語らないといけなくて、そういうふうな夢を語ることによって人の心を動かしていって、地域を動かしていく、活力を生んでいくんだなということを、大臣の答弁をお聞かせいただきまして改めて実感しております。
一つの例として、福井雅さんという方が「南仏ソフィアに学ぶ」というのを新聞で連載されていまして、これは通告していなかったので簡単に御説明させていただきますと、南フランスのコートダジュールという地域があります。ニースとかカンヌとかモナコとか、そういう地域を有するリゾート地帯なのですけれども、このリゾート地帯が、先日、観光収入よりもITの収入がとうとう上回ったそうなんです。ソフィア・アンティポリスという、そういうふうなサイエンスパークをつくったからだそうなんです。今や千二百社が立地していて、二万五千人が働く地域になっているそうです。これはくしくも、二〇一〇年の、沖縄県の、二万四千五百人働くということとかなり一致しているわけなんです。
そこの成功した理由が幾つかあるんですけれども、一つが、英語を公用語としたということがあって、まさに先ほど大臣がおっしゃった、英語のみで最先端の教育をやっていく、そして人を集めていくということとすごくリンクしているなということもありました。そして、そこで言われていることが、ヨーロッパの通信標準化機構というような、そういうふうな国際的な規格をつくるような機関というのを誘致してきたというふうなこともあります。
そういう点については、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○尾身国務大臣
これは、例えばカリフォルニア工科大学、カルテクと言っておりますが、カルテクとかスタンフォードとかあるいはMITとか、そういう大学との連携をやっていきたい。
例えば、シンガポールで、最近バイオの大学をリー・クアンユー首相の肝いりでつくったのでございますが、そこも、実は世界じゅうから人材を集め、それから、例えば朝、MITで教授が講義をする、その講義は夜、シンガポールで、もちろん同時に映像で見て、質問もできる。それにまた、朝、講義をするMITの教室には、朝七時とか八時とか、そういう早い時間ですが、MITの学生も入る。それからシンガポールの学生は、夜の時間ですけれども、こちらでその講義を聞いて質問もできる。そういう、まさに情報化時代の新しい形の大学院大学になるのではないか。
そういう、あらゆる全世界のネットワークを使うような、つまり、今の日本の大学制度のもとではそういうことができません。ですから、特別立法をつくって特別の大学にして、そういういわば日本で初めての実験をしてサクセスストーリーをつくりたい。そして、そのことによって日本全体の大学の改革にまで波及をさせたい、こういうふうに思っておりまして、これが実現した場合には、まさに沖縄が世界最先端の頭脳集団になれるというふうに考えているわけでございまして、道は遠いのですが、必ず実現できると考えております。
○中村(哲)委員
非常に楽しい議論をさせていただいていると思います。
大臣、それで、こういうふうに人が集まってくるには、あと二つの要件が要るのではないかなと私は思っております。先ほど南仏ソフィアの話もしましたけれども、ここはやはり観光地であるということの非常に大きなメリットを生かしていると思うんですね。つまり、人が集まってくるためには、そこに住む環境が、クオリティー・オブ・ライフが高くないといけない、そういうふうな措置をどういうふうに考えていくのかということがまず一点必要だと思います。
それから、やはりここに優秀な人材が集まって、やるときに、先ほど大臣も、ほかの大学との連携、ほかの海外の大学との連携とおっしゃいましたけれども、そういうときに、通信の基盤の、やはり通信の回線が安く使えないといけない。そのようなことも考えていかないといけないと思います。
そういうふうな二点、クオリティー・オブ・ライフの問題と情報通信環境の整備の問題と、その二点についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせください。
○尾身国務大臣
十数年前に、カリフォルニアのサンディエゴという場所があるのですが、そこは非常に風光明媚で、一年じゅう暖かくて、海があって、非常にきれいな場所なのですが、二十年ぐらい前はそんな大きな学校、研究所はございませんでした。しかし、その場所にスクリプス研究所とかソーク研究所とか、いろいろな研究所が出てきて、非常に発展して、今サンディエゴ地区は、UCサンディエゴ校、カリフォルニア大学のサンディエゴ校もございます。私も参りましたが、要するに、生活が非常に豊かで、自然が豊かであるという、そのことによって、アメリカの最高水準の研究者、学者がそこに集まる、これがクラスターの一つの条件であるというふうに考えておりまして、沖縄はそういう意味では非常にいい条件を整えていると私は考えております。
それから、中国からアメリカに向かう光ファイバーは実は沖縄を通っておりまして、そういう意味でも、沖縄は光ファイバー網の設置という点では非常に有利な条件を整えている。それから私どももまた、九州地区と光ファイバーで結ぶとかいうような、そういう意味の、いわゆるネットワークの整備を進めてまいりまして、少なくともネットワーク上は、ブロードバンドの時代にふさわしいような施設、設備を整えるというふうなことをやっていきたいと考えております。
また同時に、今は空港が、アメリカ直行便がありませんし、それからシンガポール直行便もないわけでありますが、こういう直行便もつくっていって、羽田経由で、成田から羽田に来て、羽田からこっちに来るというようなことは、少なくともアメリカの教授に来てもらうためにはだめなので、直行便をつくるとか、そういうことも含めて、全体のネットワーク、人的交流も含めたネットワークを、この大学院大学を一つの契機として整備していきたいというふうに考えております。
○中村(哲)委員
大臣の答弁を二つに分けて御議論させていただきたいと思います。
まず、緑の問題です。
緑豊かな地域にしないといけないというふうに大臣もおっしゃいました。南仏のソフィアの場合にも、土地の三分の二は緑を残すことということが条件になっているそうなんですよ。そういう意味では、開発をするときに、緑をいかに残していくのかということが、今後沖縄開発の一つのキーワードになっていくのではないかなと思います。
農業開発との調和とかいうことも非常に難しい問題があると思うんですけれども、やはりここで一つの大きな方針を示すべきだと思うんです。やはり知的生産者というのは、かなり自分の生活環境に対して敏感です。だから、幾ら都市的なビルとか空調とか、そういうふうな都市的な環境を整えるだけでは、やはり情報集積地域としての国際的な都市間の競争、そこに沖縄が勝てないように思うんですね。
そういった意味で、やはり沖縄というものは、情報通信の労働者が働くための、そういう人が来やすいようなインセンティブを働かすような、緑豊かな開発に、もう方針を大きく立てるのだ、そういうふうな宣言をここらで日本はすべきではないかなと思うんですけれども、その点について、大臣、いかがお考えでしょうか。
○尾身国務大臣
緑というのは大変大事な要素でございまして、私も一月にアメリカに参りまして、世界トップクラスの学者の意見をいろいろ聞きましたが、この大学院大学を世界超一流にするためには、どうしても本当の自然と触れ合うような中に施設をつくって、そこで、行ってみたら、ああここならインスピレーションがわくなというふうに実感できるような場所にしてもらいたい、こういう話がかなりの方からございました。
ですから、そういういわゆる研究環境を理想的なものにして、研究者のインスピレーションがわくように、思っていただけるような場所にしていきたいと考えております。
今のソフィアの例は大変参考になると考えておりますので、何かの折には私もそこにお伺いして、現場を見せていただきたいなという感じでございます。
○中村(哲)委員
非常に何か心に響く答弁をいただきまして、ありがとうございます。
あともう一点、通信ネットワークのことなんですけれども、この「二十一世紀プラン」の最終報告でも、政府としては以下の諸施策を取り組むこととするということで、通信コストの低減化ということについて取り組んでおられます。
そして、「沖縄経済振興二十一世紀プラン 実施状況」というものが手元にあるんですけれども、これは細かくは通告していませんでしたので、しっかりと読ませていただきますと、その低減化については、「平成八年度補正予算により那覇市に整備された「共同利用型研究開発施設」を拡充し、民間企業等が利用する研究開発設備を設置し、研究開発用ギガビットネットワークを活用した研究開発の実施を支援する。」もう一つが、「また、情報通信関連産業の支援策の一環として、情報通信産業振興税制の効果的な活用を行う。」と書いてあります。
先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、結局、設備をきちんとつくりますよということと税制でしっかり支援しますよという、研究開発のための設備と、あとそれを税制で見るということなんですが、それ以外に今後国として、情報を集約していくような政策として、通信コストの低減化として何か取り組んでいくことが政策として考えられるのかどうか、その点について大臣にお聞かせいただきたいと思います。
○尾身国務大臣
今のお話の共同利用型研究開発施設整備、あるいはネットワークを整備するということは大変大事であると思っておりまして、この沖縄の大学院大学の整備のときに一番学者の方々が心配するのは、沖縄では情報過疎になってしまうのではないかと。つまり、世界の研究の流れとか学者の動きとか、そういうものから取り残されてしまうのではないかという心配が一番の問題点でありまして、現在の沖縄の状況を考えますと、これは非常にもっともな心配でございまして、そこをどうやっていわゆる情報格差をなくしていくかということが大変大事でございます。
今のネットワークの整備もしなければいけませんが、やはり一年に何十回か、数回じゃなくて、何十回か学会を沖縄でやって、世界じゅうからトップクラスの大学院大学に関係のある発表会をいろいろな分野ごとにやって、そこを一つの、世界のトップの方々が来るいいリゾートであり、中核地であり、情報交換の場である、したがって情報格差はむしろないし、また、そこに来ると世界じゅうの情報が集まるというような、そういう運用も大変大事であるというふうに考えております。
○中村(哲)委員
大臣のお話、学会を何十回とやるというのは非常にすばらしい御意見だと思うんですけれども、その日々暮らす中で、大学人が大学で暮らすときにほかの地域と交流する。大学だけじゃないと思うんですね。やはり集積していく、大学院大学が一つの核とはなるんでしょうけれども、民間のベンチャーがそういうふうなものを利用したり、そういうふうな地域として発展していくためには、通信コストのハードルというのは結構高いんじゃないかなと思います。
今沖縄県が、年間十億円ほどとは聞いているんですけれども、例えば通信料金の補助をしております。なかなか通信料金の補助というのは、政策としてとっていくのは補助金ですから難しいのだとは思うんですけれども、何かいい知恵がないかなと。学会だけじゃなく、日々暮らしていく上での通信コストの低減という意味で何かいい知恵がないかなと思うんですけれども、その点に対して、大臣、何かありませんでしょうかね。
○尾身国務大臣
これは、研究開発を実施していく上だけではなしに、これからいい企業がそこに立地するためにも必要な条件であるというふうに考えておりまして、ありとあらゆる政策を進めて、通信コストがほかより安いという状況をぜひつくり上げたいと考えております。
○中村(哲)委員
非常に力強い御答弁だったと思います。ありとあらゆる手段を使って通信コストがほかの地域より安いことにするということは、今まで考えられないような御答弁だったんじゃないかなと思います。
そういったことで一つまた考えられるのが、IX、すなわちインターネットサービスプロバイダー(ISP)が相互接続をして情報の流出をきちんとやっていくという仕組みも考えられると思うんですけれども、国際的なIXの誘致というものは二十一世紀プランの方にも書かれておったと思うんですけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。どちらでも結構です。
○尾身国務大臣
私どもとしても、今のIXの問題は、インターネットサービスプロバイダー間を相互に接続する事業でございまして、現在は東京を中心とする大都会にしかないわけでございますが、これを解消するということがやはり沖縄の発展にとっては不可欠であるというふうに考えております。情報特区制度の対象事業として、このインターネットエクスチェンジを政令で定めることを検討しているところでございます。
これによりまして沖縄へのIXの立地を促進することで、沖縄県内のインターネットサービスプロバイダー相互の通信の品質、信頼性を確保することが可能であるというふうに考えております。
○中村(哲)委員
もっとたくさんのことを御議論させていただきたいと思うんですけれども、非常に楽しい三十分を過ごさせていただきました。
時間が参りましたので、ここで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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