2002年3月5日
第154回国会 衆議院 総務委員会
案件:地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案
[1]質疑内容 [2]質疑項目 [3]会議録抜粋
[1] 質疑内容(60分)「地方財政について」 関連メルマガ「国会からの手紙」第137号
昨年6月の総務委員会で地方債について質問をしたので、今回、その続きで地方債の信用度について質問をしました。地方財政を扱う総務省と国の財政を扱う財務省とでは、見解が異なるかもしれないので、総務大臣だけでなく、財務省の政務官も答弁者として要求しました。総務大臣も財務省政務官も、国債と地方債ではそれぞれ信用度は同じとの答弁でした。
そこで、国債と地方債のそれぞれの発行額が国債の信用度にいかに影響を与えるか、政務官にたずねました。国債と地方債の信用度が同じであれば、国・地方の借金693兆円が国債の格付けに影響を与えるのでは、と考えたからです。
ところが、政務官はこの質問に正面から応えてくれませんでした。用意されたペーパーを早口で読むだけで、ご自身の考えを述べていただけませんでした。政務官というのは、内閣に与党の議員がもっと入り、政治主導で政策を実施していくことを目的として設けられたポストです。この委員会質問で、政務官制度がまだ有効に機能していないのでは、との思いを強く持ちました。
[2] 質疑項目
1.国家公務員の超過勤務の削減に向けた検討状況及び大臣決意
2.地方自治の本旨について
1)国と地方の関係の在り方
2)団体自治と住民自治の関係
3.国の影響を受けている地方財政の収支の割合
4.国庫補助金の一層の削減の必要
5.地方債と国債について
1)信用度が同一であることの確認
2)地方債がデフォルトする可能性
3)市場における評価との相関関係
[3] 会議録抜粋
○中村(哲)委員
民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
法律の審議に入る前に、大臣に一言御意見と、少しの議論をさせていただきたいと思います。
昨年の十一月八日に、私は大臣に対して、公務員の育児休業法、介護休暇法についての質問をさせていただきました。そこでメーンに聞かせていただいたのが、官僚の働き方の問題です。
昨日、夜分遅くになってから総務委員会のこの日程がセットされました。そしてその時間から、どういう質問をするんですかということでレクの依頼が入る、そういうふうな状況です。私は、この公務員の働き方自体を私たち政治家が変えないと、この国はよくならないんじゃないか、そういうふうに思うわけです。
それで大臣、十一月八日に大臣もそのとおりだなという趣旨のことをおっしゃっていただいたと思います。もう一度繰り返すことになりますけれども、端的に申させていただきます。議事録からそのまま、私が読んだところをもう一度読ませていただきます。
「私は、この国の根深い問題というのは、政策立案にかかわる霞が関の皆さんが滅私奉公を強いられているところにあるのじゃないかなと感じています。」もう少し、「公務員の働き方いかんによって、この国が変わってきます。天下りの問題にしても特殊法人改革の問題にしても、ある意味、霞が関の皆さんが一般国民と違う生き方を強いられているところにも、感覚のずれというのは起きてくると思うのですね。公というものを極大化し、私というものを極小化していくようなあり方というものは、政治家の方が認識しないといけないと思うのです。」と申させていただきました。
そして、最終的に大臣は、「いろいろな要因があるのですよ、超過勤務をせざるを得ないということには。一つは、確かに国会がありますね、本当に。もう一つは、やはり予算ですね。私は、そういうことについて総合的に改善の検討をすべきだと思いますし、委員の言われた点については関係の閣僚と十分相談してまいりたいと思います。」と大臣は述べられております。
三カ月たちました。どういう検討がされてきたんでしょうか。
○片山国務大臣
まあ中村委員、三カ月しかたっていないんですよ、三カ月もたったんではなく、三カ月しかたっていないんですが、国家公務員というか中央の国家公務員は、本当にそういう意味では言われたように超過勤務は多いですね。答弁で申し上げましたが、仕事は夜するようになっているんですよね。それを一つ直さなければいけません。それから、やはり予算や国会でなかなか夜が遅くなるんですね。そういうことで、こういうことは総合的に改善しなければなりませんけれども、しかし、一朝一夕にいきませんね、国会も予算も。
そこで、閣僚懇なんかで国家公務員の超過勤務についての議論をしたことはあります。そこで私が中村委員に答弁したのは、関係閣僚間で一遍相談してみましょう、こういうことを言いましたので相談はしましたけれども、いい知恵は出ないんですよ。だって、国会というのは政府だけで決まる話じゃないんですから。国会の先生方のいろいろなことで決まるわけですから、なかなか政府だけで決まらない。予算だって、もう長い間の、今までのやり方というのは少しずつは直っておりますけれどもね。そういうことで、短兵急に直ちに結論は出ませんけれども、引き続いて、言われたことはよくわかりますから、関係閣僚間で相談させていただきたい、こういうふうに思っております。
○中村(哲)委員
荒井聰議員の質問とも関係してくるんですけれども、与党の事前審査をなくせばかなりの部分は解決されることにもなるんじゃないでしょうか。
それから、きょうもレクにいらっしゃったときに政府参考人の登録の話が出ましたが、国会改革によって政治家同士の議論をする、そういうことを前提として国会の審議をしていく、そうしてきたら私は、レクそのもの、公務員の皆さんによる質問の事前のレクというものが要らなくなってくるんじゃないかなと思うんです。これは国会議員なり政党なりがこの問題にどれだけ真摯に取り組むのかということではないかと思うんです。
こういうことをなぜ私が申すかと申しますと、この国の問題というのはやはり官僚の働き方にあると思うんです。大臣もこの間、十一月八日の答弁でもおっしゃっていましたけれども、今、日本の家庭というものが、ある意味、問われている時代に入っています。父親というものが家にきちんと帰って、子供の面倒を見れるのかどうか、封建的な父性という意味ではない、新しい時代の、二十一世紀型の、また、それには古い日本のいい伝統も関係してくるんですけれども、そういうふうな父親のあり方、そういうものとも関係してくると思うんです。そのことは、大臣も十一月八日の答弁でお認めになっておりました。
私は、総務省に限らず、各省庁の公務員の方が私の部屋に来たときに、いつもお話しさせていただきます。今週、何回お子さんと夕食を一緒に食べられましたか。ほとんど、そういう機会がなかなかないですよね。大体、帰るのも日が変わるか変わらないか、早いときで十二時ぐらいですよね、そういうふうなことが多いわけです。
国家の根本を左右する、政策立案を左右する官僚の皆さんが、私を極小化していく、そういう生き方が強いられると、これは国民の感覚とずれてきますよ。それはしんどいですよ。これ
がこの国の、ある意味、根本的な問題として根強く残っているというか、根強い問題として認識しないといけないんじゃないですか。短兵急にすることはできないということをおっしゃいま
す。それもわかります。しかし、変革の時代です。変革の時代において力強い方針を示していただくのが大臣のお役目だと私は思います。
大臣のリーダーシップということに関しては、昨年の数回の審議のときにも常に申させていただきまして、そのことに関しては大臣と言い争いになったこともあります。例えば、研究会をつくったのは泥縄だというふうなことを私が申しまして、大臣がお怒りになったこともあります。しかし、大切なことは、この変革の時代だからこそ、時代に応じて、変えるべきものは何なのか、変えてはならない普遍的なものは何なのか、きちんと大臣の言葉で国民に、そして公務員の皆さんに御説明していただいて、方針を示していただくことが必要なのではないかと私は思います。
大臣、もう一度覚悟をお聞かせください。
○片山国務大臣
今、中村委員が申されましたように、今の勤務のあり方については、前からいろいろな御指摘があり、御意見がありますよね。そういう意味で、関係閣僚間で相談と言いましたが、関係の役所の事務方も入れて、一番実態を知っているのは皆さんですからね、そういう方々に集まっていただいて、どういう改善の方法があるか、変革の方法があるか、そういうことの議論を少ししてもらおう、こういうふうに思っております。それは、ぜひやらせていただきます。
○中村(哲)委員
大臣にお願いしたいのは、まず総務省から始めていただけないかなと思うわけです。
私の大学の同期、先輩、後輩、そして地元の中学、高校のときの仲間も総務省に何人かいます。十時ぐらいに訪問して、初当選して、当選してあいさつに行ったら、なかなか、まだまだ帰れないよねということをこぼしておりました。こういう同世代の若者たちが、ある意味、理想に燃えて総務省に入って、しかし、結婚して、というか結婚がなかなか、結婚もしんどいよねという話になってくる中で、私も独身ですけれども、そういう中で、本当にやっていくことができるかというのは、大臣の決意次第で総務省はまず変えることができる。公務員制度を管轄する総務省だからこそ、大臣のリーダーシップをもって、まず総務省から始めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○片山国務大臣
今いろいろなお話をお聞かせいただきまして、同期の方もおられるのでしょう、総務省も超過勤務が少ない役所では決してないと思いますが、不必要な超過勤務はやめてもらうように私の方から強くお願いをいたします。
○中村(哲)委員
必要か不必要かということは、またそこも議論がありますよねという話になってしまいますから、本当に必要なのかどうか、それを大臣の目で確認していただいてやっていただく。
例えば、製造業でコストカットするときに、二〇%のコストカットは非常に難しいんだけれども五〇%のコストカットは、ある意味しやすいという話があるんですよね。やり方を抜本的に変えることによって、大きく仕事を減らしていくということができると思います。しかし、それができるのは経営のトップである大臣だと思います。だから、大臣に本当にそのことをお願いいたします。
さて、本題に入らせていただきます。
地方財政についてお話しするわけでございますから、昨年質問させていただきました二月二十七日の質問、そして六月五日の質問に引き続いて、同じ観点からの質問をさせていただ
きます。
さて、大臣、国と地方公共団体の関係、役割分担についてまず押さえていく必要があると思います。大臣は、六月五日の答弁でこのようにおっしゃっています。「憲法の九十二条だったか何か、地方自治の本旨に基づいて法律で定めるとありますよね、地方自治は。だから、それが地方自治法なんです、あるいは地方財政法なのです。」また、「今の通説は、多数説は、国から分割して譲られているんだという説だ、こう申し上げたので、出先機関なんかということじゃ全くありませんよ。国と同型なんですよ、全く地方団体は。国と対等、協力の関係にあるのですよ、特に今の憲法の考え方は。」とおっしゃっております。
私も、この後、憲法の教科書を読まさせていただきました。地方自治の本旨とは一体何なのか、地方自治というものが何のためにあるのか、そういうことを勉強させていただきました。通説的な見解は、住民自治と団体自治という言葉で示されております。しかし、結局、この地方自治の本旨というものが現代国家においてどういう意味があるのかな、その住民自治、団体自治という言葉の意味を考える上でも、そこをもう一度考えていく必要があるのではないかなと思います。
佐藤幸治教授の本を手元に持ってまいりました。ここで、この本に書いてあって私が理解したことを申させていただきますと、やはり、ファシズムの経験、それから社会権が人権としてできて国家が積極化していく中で、中央集権のある意味弊害と申しますか、それを除去していくために、地方のことは地方の住民が団体をつくってそこで決めていく、そういうふうな仕組みになっていると私は理解しております。
佐藤幸治先生の言葉によりますと、「このように、地方自治制度が立憲民主制を維持して行く上で不可欠な機能、すなわち、権力の抑制機能と“民主主義の学校”としての機能を果たすという認識は、第二次大戦後の政治社会の展開過程の中で経験的に実感されて行くことになる。」というふうに書いております。
大臣、この今の時代において、地方自治体というもののあるべき姿は、国との関係というものはどういうものだとお考えになっておられるでしょうか。
○片山国務大臣
国と地方の関係は、対等、協力の関係ですね。分担と協力と言ってもいいのか、対等で、お互いが役割を分担して、協力していく関係だと私は考えております。
地方自治は民主主義の学校だということがよく言われますけれども、民主主義のしっかりした国は地方自治がしっかりしているんですね。そういう意味で民主主義の学校だと私は言
われると思いますし、憲法は、せんだっての答弁でも恐らく言ったと思いますけれども、団体自治と住民自治が確保されるような地方自治を想定して今の地方自治をつくっている、こうい
うふうに私は考えております。
○中村(哲)委員
団体自治と住民自治の具体的な内容については、大臣流に定義すると、両者はどういうふうな定義になるでしょうか。
○片山国務大臣
住民自治というのは、住民が選挙で執行機関である首長さんを選んで、意思決定機関、議決機関である議会も住民が選ぶ、これが住民自治ですね。あるいは、部
分的には直接民主主義でリコールその他をやれる、これが住民自治です。
団体自治というのは、国とは別の独立した人格を持つ団体として意思決定ができ、行動ができる、こういうことですね。
だから、昔の幕藩体制、徳川時代の幕藩体制では、団体自治はあったんですね。だけれども、住民自治はなかったんです、殿様はああいうことで決まったのですから。今は住民自治
と団体自治がある、こういうふうに理解すればいいと思います。
○中村(哲)委員
ありがとうございます。
手元に「地方財政計画の歳出の分析」という紙を総務省からいただきました。このように網がかかっている部分がたくさんあります。これによりますと、多くの部分の地方の歳出が国に
よって決められているということになっております。
事前の説明では、七割の地方歳出が国によって定められているとおっしゃっているのですけれども、この七割という数字はこれでいいんでしょうか、大臣。
○片山国務大臣
ざっと集計すると七割、こういうことでございまして、国が法律なり政令なりあるいは省令等で決めているもの、あるいは通達で決めているもの、あるいは補助金を出
して拘束しているもの、そういうものを入れますと、地方団体の収支の七割は国の影響下にある、こういうふうに我々は考えております。
○中村(哲)委員
七割という数字は多いとお感じでしょうか、少ないとお感じでしょうか。
○片山国務大臣
私は多いと思いますね、多いと思います。
だから、やはりそれは、国と地方が協力してやる仕事はたくさんありますけれども、この七割はもう少し少なくてもいいんではなかろうか。そういうことで、地方分権一括推進法だとか、
機関委任事務をなくするとか、関与を縮めるとか、いろいろなことをやってまいったわけでございまして、そういう意味では、端的に七割は多いか少ないかと言われると、私は、まだ多
い、こう考えております。
〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
○中村(哲)委員
七割が多いという御認識だと確認させていただきます。
多いのであれば、やはり少なくしていく努力をしていかぬとあかんのじゃないかなと思うんですね。それが本当の意味での地方財政の改革なんじゃないかと思います。
例えば、手元に「地方財政 二〇〇一・四」というものがあります。そこの百二十九ページには、こう書かれております。
自治体の経費は住民の負担で賄うべきというのが、地方自治の考え方である。地域間で税収格差があり、財政調整が必要であるとしても、税収が主であり、交付税が従であるべき
であろう。残念ながら現状は、理想とはかなり離れている。
また、百三十七ページには、
地方自治を充実するためには、「護送船団方式」で国がこれまでのような財源保障を続けるわけには行かない。もちろん、地方団体が行っている事務の多くは国が義務づけたもので
あり、財源保障は事務の義務づけと表裏一体になっている。
地方が自立するためには、この事務の義務づけを解き放ち、そして自ら徴収する税にシフトしなければならない。そのためには、自治体が自分で住民に「負担」をお願いしなければな
らないし、地域間格差が拡がることは避けられない。
このように書かれております。
このことに対して、大臣はどのようにお感じになられるでしょうか。
○片山国務大臣
全文を読んでみないとわからないと思いますけれども、基本的には、やはり税を中心に物を考える、それから、国がいろいろなひもをつけない、こういうことは私は正
しいんじゃないか、こういうふうに思っております。
○中村(哲)委員
総務大臣であられればこの論文は読まれているだろうという認識で質問させていただいたんですが、結構でございます。総務省の方が書かれた文章でございます。
七割の部分をいかに今後減らしていくのか、そのタイムスケジュールが必要だと思うのですね。大臣としては、国務大臣のお一人として小泉改革を支えていかれるお立場ですから、この七割をどのような形で減らしていこうとお考えになっておられるのか、それをお聞かせください。よろしくお願いします。
○片山国務大臣
地方分権一括推進法が一昨年の四月から施行になりまして、その後どうするかということを地方分権改革推進会議がいろいろアフターケアを含めて現在御議論いただいておりますので、一定の御提言か御報告はいただけるんじゃなかろうか、こう思っております。
私は、今、経済財政諮問会議なんかで言っておりますのは、できるだけ国庫補助金をなくしていく、零細、少額なものや地域の事業と一体になっているようなものはやめていく、そういうものを、特定財源じゃなくて、税か交付税か一般財源で交付してほしい。
これによって、相当、七割の制約が減ってくるわけですよね。そういうことをお願いしておりますし、まだ残っております必置規制、国が指導して、これは必ず置けとか、このポストはどうだとか、そういう必置規制や関与についてもこれは縮減してもらう、こういうことを言っております。
どうしても補助金で残すものも、箇所づけその他は地方団体が自由に選べるように、大きい用途だけ決めて、個別の使い方や箇所づけは地方団体の自由にする、総合補助金というのですけれども。そういうことを私としては意見を言っておりまして、来年度の予算で総合補助金が九千億になりました。今まで七千億だったのが九千億。非公共も今度は総合補助金化しよう、こういうことになりまして、まだまだ九千億が多いか少ないかというところはありますけれども、そういう努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
○中村(哲)委員
非常に努力はしていただいているような気もしますが、まだまだ足りないんじゃないかなと思うのですね。
具体的に、なぜ大臣がおっしゃっているような方向に進まないのでしょうか、それを聞かせていただきたいのですね。国庫負担金がなぜ減らないのか、そういうことを具体的に問題として考えていかないと、なかなか改革というのは進まないんじゃないかなと思います。ほかの省庁の抵抗があるのであればそのように言っていただきたいですし、何が問題なのか、おっしゃってください。
○片山国務大臣
各府省は、自分の仕事を一生懸命やっている、こういう認識で仕事をやっておりますから、補助金というのは、こういうことをやってください、やっていただければ国が財政的に応援しますよ、そういうのが補助金ですから、なかなかそれを、地方の自由にする、一般財源にするとか、あるいは今の総合補助金にするとかということには各省的な感覚だと抵抗があると思いますね。
しかし、そこは説得をして、できるだけ地方の自由な裁量の余地が大きくなるような形にする必要があると思いますね。
地方団体に全部任せると何をやるかわからぬというような、やや地方不信も中にはあるんではなかろうか。地方はもう何をやるかわからぬし、そんな、人材といいますか、ちゃんとできる人もいるんだろうか、あるいは範囲も狭いではないか、そういう意見も中にはあると思いますので、私どもは、市町村合併を推進して、地方団体を大きく強く元気にして、人材も集まるようにして、財政的にも強くして、そこで仕事をやってもらう、地方団体の自分の判断で仕事をやってもらうようにしようというのも、市町村合併を我々進めている理由の一つであります。
○中村(哲)委員
市町村合併は一つの方法だとは思うんですが、これは鶏が先か卵が先かみたいなところもあります。
小泉総理は、民間でできるものは民間でやっていこう、地方でできるものは地方でやっていこうとおっしゃっています。やはり、箇所づけを伴うようなものというものは地方自治体に移しいくという大きな方針を示して、僕は総理は示されていると思うんですね。それにやはり各省庁は従わなくちゃいけないんじゃないかなと思うんです。
なぜ総務大臣の意見が通らないのか。そこはどのようにお感じになっておられるでしょうか。
○片山国務大臣
経済財政諮問会議なんかでそういう話をしまして、総理も賛成、財務大臣も賛成なんですが、各府省、各府省の立場と言い分はありますよ。だから、それは強権を持ってやるんではなくて、やはりある程度話し合って、納得してもらってやっていく方が私はベターだと思いますので、七千億が九千億になって、大したことないじゃないかと言われればそうかもしれませんが、着実に毎年度ふえているという意味では、私は前進していると考えております。
○中村(哲)委員
吉田政務官はそのことについてどのようにお考えでしょうか。
話をお聞きにならなかったんでしょうか。
○吉田大臣政務官
中村委員の質問にお答えいたします。
積極的に取り組んでいるというふうに認識をしておるところでございます。
○中村(哲)委員
政務官はなぜ国会で答弁なさるんでしょうか。そういう構造的な役割というものを認識してここにいらっしゃっているのか、それを自覚していただきたいわけでございます。
言うまでもなく、政府参考人制度に政府委員制度がなりました。つまり、国会の答弁というのは政治家同士でやるということが前提になると思っております。なぜ本日、吉田財務大臣政務官をお呼びしたのか、来ていただいたかということに関しては、総務省と財務省の見解が、ある意味食い違う部分があるんじゃないか、そういうことの確認で、きょう予算委員会もありますから副大臣もいらっしゃることができない、だから政務官に来ていただいているわけでございます。
だから、その御答弁であるならば、別に政治家がいらっしゃらなくてもいいわけだと思うのですね。そして政務官というものがこの国になくてもいいと思うのですよ。ちょっと厳しい御意見を述べさせていただいたかもしれないのですけれども、これがやはりこの国の政と官の問題だと思うんです。
先ほど最初の方にるる述べさせていただきましたけれども、政務官がなぜこの国に制度としてあって、官僚の人たちの仕事を、ある意味引き受ける立場にあるのかといったら、やはり政務官が政治のリーダーシップで、今までメリットシステムで上がってきた、積み上げ型で仕事をしてきた行政官、公務員の皆さんじゃできない仕事をする、改革の時代だからこそ政務官がそういうふうな仕事を担う、そういう意味で設けられるんだと思いますので、その点ぜひ御認識をしていただきたいと思いますし、ぜひそういうふうな制度という建前を本音で、本音なるように、この国の国会のあり方それ自体をともにつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、次の質問に移らせていただきます。本番に入らせていただきます。地方債の問題でございます。
大臣、大臣は地方債についてこのようにおっしゃっております。まず、私が述べましたのが、これは最終的な結論部分だけですけれども、地方債については国が最終的に面倒を見るとおっしゃったので、地方債というのは国債とほぼ限りなく信用度が近いというふうに思ってよろしいんですね。
○片山国務大臣
許可を受けた地方債について言われるならば、国債と同じです。それは国が責任を持つということですから、リスクはありませんね。そういう意味では同じだと思います。
○中村(哲)委員
繰り返しになりますけれども、許可を得た地方債及び協議の上同意を与えられた地方債については信用度は国債と一緒だ、それは最終的には国がその信用について担保しているからだ、それでよろしいですね。
それに対して片山大臣は「そのとおりです。」とお答えされています。
地方債と国債が、信用度が同じである、これは非常に大きな御答弁だと思っております。その点について、大臣、今も御認識は変わっておられませんね。
○片山国務大臣
全く変わっておりません。
○中村(哲)委員
吉田財務大臣政務官、同じでしょうか。
○吉田大臣政務官
地方債についての御質問でありますが、地方債というのは、各地方自治体が将来の歳入を、返済のためのその原資としてみずからの責任において借り入れるものと認識しております。その返済についてですが、各地方自治体が責任を持って行うべきである。
そして、その政府保証債と全く同様の意味であるのかということに際しましては、政府による債務保証は付されていないというふうに私は認識しておるところであります。
○中村(哲)委員
吉田政務官、それじゃ答えていないのと一緒ですよ。それは御認識されておりますか。もう一度わかるように説明してください。
○吉田大臣政務官
今、中村委員からさらに説明せよということでございましたので、続けさせていただきますと、一方では地方財政計画において歳入に計上されております地方債の元利償還金につきまして、地方行政の計画的な運営を保障する必要があることから、後年度の地方財政計画において公債費としてこれを計上いたし、地方財政計画の歳出全体に対し地方交付税も含めて必要な財源を確保することとしておるわけであります。以上であります。
○中村(哲)委員
吉田政務官、それじゃ国債と地方債と信用度が同じでないケースというものは、今からあることはない、どういうふうに国家のシステムが変わっても、あることはないとお考えでしょうか。
○吉田大臣政務官
差があるかどうかというような御質問であるというふうに認識をしました。私自身は……(中村(哲)委員「違います、違うよ」と呼ぶ)では、まず答えてからいきまし
ょう。
基本的には国債と差はないものというふうに考えております。
○中村(哲)委員
差がないというのはもうわかっているのですよ、総務大臣がそういうふうに答弁しているのだから。どういう仕組みで差がないことになっているのか。その仕組みが今後どういうふうに、変わるかもしれない、変わる余地はあるのか。そこを財務省の立場としてどのように考えているのか、それを聞いているわけです。(発言する者あり)
○吉田大臣政務官
先ほどお答えをしたことに尽きるわけでありますが、もう一度お答えをいたします。
地方財政計画において、歳入に計上された地方債の元利償還金につきまして、地方行政の計画的な運営を保障する必要があることから、後年度の地方財政計画において公債費としてこれを計上し、地方財政計画の歳出全体に対し、地方交付税も含めて必要な財源を確保することとしております。
〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
○中村(哲)委員
そうすると、吉田政務官、地方債はどういうケースにデフォルトするとお考えでしょうか。
○吉田大臣政務官
ただいまの質問でありますが、地方債は総務省がしっかりとその指導を行っているというふうに認識をしております。したがって、そのようなことは発生しないのではないかというふうに私自身は認識しております。
○中村(哲)委員
地方債はデフォルトしないとおっしゃったのですか。もう一度答弁をしてください。
○吉田大臣政務官 私自身はそのように考えております。しないと考えております。
○中村(哲)委員
地方債はデフォルトしない、それは国会の議事録に残りました。
地方債はデフォルトしない。総務大臣、地方債はデフォルトする可能性はないのでしょうか、お答えください。
○片山国務大臣
財務省の大臣政務官が答えているとおり、地方債がデフォルトすることはありません。そのための許可制度です。しかも、ちゃんとアフターケアの制度まであるのですよ、元利償還は地方財政計画をつくり地方交付税で見るという。トータルですよ、トータル。
それから、地方団体そのものが赤字をたくさん出すことはありますよ、地方団体のデフォルトというものが。その場合には財政再建、地方財政再建制度というのが御承知のとおりありますし、だから、そういうことで、地方債そのものがデフォルトすることはありません。
○中村(哲)委員
国債がデフォルトされた場合はどうなんでしょうか。
○吉田大臣政務官
全く想定しておりません。
○中村(哲)委員
国債がデフォルトした場合にはどうなるかということを聞いているわけです。それは想定していないという答えで、仮定の話でデフォルトした場合というのを聞いているわけですから、それに対する誠実な答えをお願いいたします。(発言する者あり)
もしデフォルトの意味がおわかりでないのならば隣から聞いていただいて、きちんと答弁をなさってください。
○吉田大臣政務官
国債の債務不履行というのは想定をしておりません。
○中村(哲)委員
このまま同じ質問をしてもらちが明かないので、なぜ私がこういうことを聞いているのか、そういう観点から申させていただきます。
ムーディーズが二月十三日に日本国債の格下げの検討に入りました。国債の格下げに地方債の信用がかかわってくるというふうに私は感じておるんですけれども、この国債の発行額と地方債の発行額、これが国債の格付にどういう影響を及ぼすのか、吉田政務官の御見解をお聞きいたします。
○吉田大臣政務官
お答えをいたします。
国債市場への影響ということでありますが、国債の需給のみならず、景気や為替の動向、財政金融政策等、複合的な要因によって変動するものである。また、ムーディーズ等の格付の見直しという特定の要因の影響に基づいて分析、予測することは、そうそう簡単ではないというふうに思っております。
いずれにしろ、政府といたしましては、財政構造改革に積極的に取り組むことにより財政の規律を確保し、国債の信認を維持すること、そして、国債の発行に当たっては、市場情勢を反映した発行条件の設定、個人向け国債の導入等を通じた保有者層の多様化、市場との緊密な対話を行うことにより、国債の確実かつ円滑な消化に万全を期してまいりたいというふうなことを申し述べて、そして、影響というのはあるかないか、それを答えろということだと思います。直結して大きな影響はないというふうに考えております。
○中村(哲)委員
国債の発行に対する信頼、信用というのは、私が聞きたかったのはこういうことです。問いを変えます。
格付機関が日本の国債を格付することの材料として、一、国だけの残高四百十四兆円を想定するのか。二、国の長期債務を合わせた五百二十八兆円に対するものなのか。三、国と地方を合わせた残高は六百九十三兆円になるものなのか。この一、二、三の選択肢、どれだとお考えでしょうか。(発言する者あり)
○吉田大臣政務官
これ以上、個々の会社、格付会社に対するコメントというのは控えさせていただきたいというふうに思います。
○中村(哲)委員
私は、国債と地方債の関係がどういうふうに市場の評価につながってくるのかという認識を聞いているわけですよ。何も一つの格付会社に対する対応を聞いているわけではありません。そのことについて最初から聞いているのに、なぜ答えられないんですか。もう一度答えてください。
○吉田大臣政務官
先ほどお答えをいたしましたように、ムーディーズという言葉が出た以上は個々の格付会社に対する評価あるいはコメントとしての発言になるわけでありますので、控えさせていただきたいと申し上げたわけです。
○中村(哲)委員
もう一度繰り返します。ムーディーズという言葉を使っておりません、私は先ほどの質問においては。国債と地方債の関係が市場における評価にどう結びついていくのか、そのことをお聞きいたします。
○吉田大臣政務官
ムーディーズ云々ということは、その点に対しては、私、今委員がお話をされたということに対しては、おっしゃっていないということであればおわびを申し上げるわけでありますが、いずれにしても、格付の、おのおのに対する、先ほどの一番、二番、三番、一体何なんだというような感じの質問というのは、それぞれの格付会社に対する、中に対する質問に対する答えになるわけですから控えさせていただきたい。
その後の御質問に対しては、明確な影響は出ないというふうに考えるというのは、先ほど申し上げたと同様のお答えをさせていただきます。
○中村(哲)委員
らちが明かないので、私の見解を述べますので、それに対する御感想をお願いいたします。
総務大臣が答弁されたように、地方債の信用度が国債と一緒である、そうであるならば、国債の評価というものは国、地方を合わせた債務の総額六百九十三兆円に対して評価されると私は考えますけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○吉田大臣政務官
すべてそれだけで評価をするということは私自身はしないわけでありますが、先生のお考えというのは、そのようなことであれば、それぞれの人がそれぞれの意見を持っているというのが我々人類のあかしであるわけでありますので、先生の意見としてはしっかりと承ります。したがって、それだけではちょっと評価がしにくいというのは私自身の考えであります。
○中村(哲)委員
政府答弁でありますから、政府の見解をお聞きしたいということでございます。そして、私の考えと違うのであれば、その理由は何なのか、論理的な答えをお願いいたします。
○吉田大臣政務官
中村委員の質問にお答えをします。
先ほど、一番か二番か三番か、いかがなものかという質問がございました。その点に対しては、格付会社の、その格付の中にかかわる、あるいは会社の中に非常にかかわることであるからコメントすることは差し控えたいということは申し上げました。
今の、自分の考えに対していかがなものかというような質問を政府に求めていらっしゃるということですので、それこそ個人の先生の御意見に対する政府としての見解というのは、私自身一人の議員としては、それこそ政府の見解を先生の意見に対してここで述べるというのはいかがなものかというふうに思います。
○中村(哲)委員
それでは政務官が政府答弁をできないということになるのではないでしょうか。それは非常に大きな問題だと思うんですが、その点についていかがでしょうか。
○吉田大臣政務官
政府答弁として先ほどお答えをしたのは、格付会社のその格付の内容に対してかかわることであるので、一つ一つコメントすることは差し控えさせていただきたい、これが政府の答弁として御理解をいただきたいです。
○中村(哲)委員
何回も繰り返すことになりますけれども、私は、格付機関の評価に対してどういうふうに考えるかと聞いているわけではないわけです。国債と地方債の関係というものが市場の評価にどういうふうに結びついていくのか、そのことについてお聞きしているわけです。
そして、私が先ほど自分の見解を申させていただきました。吉田政務官が、それについて、どの点がどういう理由で私と違うのか、それを述べていただかなければ政府答弁とはならないと私は思います。いかがでしょうか。
○吉田大臣政務官
影響が出ない、影響があるとは思わないというのを、先ほど私がお答えをしたわけであります。そして、その一番、二番、三番、これに対して答えろという質問に対しては、コメントすることは差し控えたいというふうに申し上げたわけでありまして、さらにそこからの質問であるのか、もう一回答えろという、同じ質問に対してもう一度答えなさいという質問なのかというと、私は、同じ質問であると認識をしております。したがって、先ほどと変わらないお答えになるかと思います。
○平林委員長
答弁がありましたが、中村君、いかがですか。質問をなさいますか。
○中村(哲)委員
納得できないですね。
○平林委員長
今まで答弁したとおりだという趣旨だと私は解釈しました。
ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○平林委員長
速記を起こしてください。
吉田財務大臣政務官。
○吉田大臣政務官
先ほどもお答えしたと思いますが、地方債だけでは影響は、地方債の発行高だけでは決まらない、そして、国債市場というのは、国債の需給のみならず、景気や為替の動向、そして財政金融政策等複合的な要因によって変動するものである、ムーディーズ社の格付の見直しという、特定の要因による影響に基づいて分析そして予測することはそうそう簡単なことではない、困難である。先ほどお答えしたとおりであります。
○平林委員長
中村君、質問時間がほぼ経過しておりますので、簡潔に御質問を願いたいと存じます。
○中村(哲)委員
委員長、これは先ほど私が冒頭に申しました政と官の役割分担の問題です。何のために政務官が政府の代理人として、代表として総務委員会で答弁しているのか。あるべき姿というものは、与党議員の意見というのを政務官が集約して、それを政府に持っていく、そしてガバナンスを行っていくというのが政務官制度のあり方だと思います。
与党の議員の皆さんがきょうは大分やじられましたけれども、本当にきょうの御答弁で政府答弁として成り立っていくのか、国会審議の基礎をなすものであるのかどうか、そのことを実感されているのかということを私はお聞きしたいと思います。
委員長、こういうふうなやり方では国会はなかなかいい方向に向かっていかないと思います。人事権、任命権、それから、政党から与党議員としてだれを政務官で出すのか、その専門分野は何か、そういうことを議論されなくてはならないんじゃないでしょうか。
私、きょう、吉田政務官に余りこういう口調で議論したくなかったんですよ、個人攻撃みたいになるのも嫌なんで。きょうも、口調に関しては、吉田政務官、不快に思われたことがあるかもしれません。その点に関しては私も陳謝いたします。
しかし、職責とその態度とかいうのは別の問題です。国家の機関として政務官はここに答弁なさっているわけでございますから、きちんとした答弁をしていただきたい。そして、そのことを、その答弁が返ってきて、さらに私は深い議論をしたかったんですけれども、それができなかったことに対して非常に残念に思っております。
最後に、吉田政務官に本日のこの答弁に関して御感想をお願い申し上げて、そして、その後に大臣に聞かせていただきますけれども、吉田政務官と大臣、順に、きょうの質疑に関する感想をお願いいたします。
○平林委員長
吉田政務官、時間が経過しておりますので、簡潔におっしゃってください。
○吉田大臣政務官
御理解をいただけなかったことは非常に残念ではありますが、今、中村委員のおっしゃったことに対しても十分私自身理解をしながら、今後またこの機会をお与えいただきたいと思うわけであります。
何度も同じような答弁をさせていただいたわけでありますが、あくまでも私と委員との質問のやりとりということでありまして、その辺も一言申し上げたいというふうに思うわけであります。
○平林委員長
大臣、ありますか。よろしいですか。それじゃ大臣。
○片山国務大臣
今言われた格付は、我々が頼んだ格付じゃないんですね。勝手格付というもので、民間の。全部じゃなくて二つだけやっていますね。それで、若干差がありますけれども、何度も吉田政務官も答弁しておりますように、国債と地方債は差は基本的にはありません。こういうことでございます。ひとつよろしくお願いします。
○平林委員長
時間が経過しておりますので、終わってください。
○中村(哲)委員
この続きはまたさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
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